MDM比較7選|機能・料金と失敗しない選び方
Intune・Jamf Pro・CLOMO MDM・LANSCOPE・Optimal Biz・mobiconnect・Workspace ONE の7製品と、KDDI・ドコモ・ソフトバンクのキャリア系MDMを、対応OS・課金単位・料金目安・サポート体制で比較。端末課金とユーザー課金の損得、自社に合うMDMの選び方と、導入後に効いてくる資産管理連携まで解説します。
「MDMを比較したいが、どの製品も『一元管理できます』と書いてあって違いが分からない」「1台300円と書かれた国産製品と、すでに契約しているMicrosoft 365に含まれるIntune、どちらが得なのか判断できない」——端末管理の担当を任された情シス・総務担当者から寄せられる典型的な悩みです。MDM製品の差が出るのは、機能一覧の丸(○)の数ではなく、対応OSの得意分野・課金単位・サポート体制・既存ライセンスとの重複という4点です。本記事では主要7製品を同じ軸で並べ、自社の端末構成からどれを選ぶべきかの判断基準を整理します。あわせて、MDMだけでは埋まらない「買ったが登録されていない端末」の問題にも触れます。
結論:主要MDMの選び分けまとめ
先に結論からお伝えすると、選定の分岐は「すでにMicrosoft 365を使っているか」「Apple製品中心か」「1人1台か共有端末か」の3つでほぼ決まります。
- Microsoft 365 E3/E5/Business Premium を契約済み:Microsoft Intune が第一候補。ライセンスにすでに含まれているため、追加コストなしで始められる
- Mac・iPhone・iPad が中心、または開発部門でMacを配布している:Jamf Pro。Appleの新OSへの対応速度と設定項目の細かさで優位
- 国内サポート・官公庁要件を重視し、iOS/Android中心:CLOMO MDM。ISMAPに登録されており、24時間365日の電話サポートを備える
- PCの資産管理・操作ログまで1製品で見たい:LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版
- 大量のモバイル端末をキッティングして配布する:Optimal Biz、mobiconnect といった端末課金型の国産製品
- 数千台規模・複数OS・グローバル拠点:Omnissa Workspace ONE UEM
【比較表】主要MDM7製品の対応OS・課金単位・料金目安
まず全体像として、選定に直結する項目を一覧にまとめました。
| 製品 | 提供元 | 得意なOS | 課金単位 | 料金の目安 |
|---|---|---|---|---|
| Microsoft Intune | Microsoft | Windows・iOS・Android・macOS | ユーザー課金 | 単体購入は年間契約で月額1,199円/ユーザー〜。M365 E3/E5/Business Premium には同梱 |
| Jamf Pro | Jamf | macOS・iOS・iPadOS・tvOS | 端末課金 | iOS/iPadOS は約3.67ドル、macOS は約7.89ドル(いずれも1台あたり月額・年間契約) |
| CLOMO MDM | アイキューブドシステムズ | iOS・Android・Windows | 端末課金 | 初期費用 19,800円/月額 300円/台〜 |
| LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版 | エムオーテックス | Windows・macOS・iOS・Android | 端末課金 | 初期費用 30,000円/月額 300〜500円/台 |
| Optimal Biz | オプティム | iOS・Android・Windows・macOS | 端末課金 | 初期費用 45,000円/月額 300〜500円/台 |
| mobiconnect | インヴェンティット | iOS・Android・Windows・macOS | 端末課金 | 初期費用 33,000円/年額 1,980〜3,300円/台 |
| Omnissa Workspace ONE UEM | Omnissa | Windows・iOS・Android・macOS | 端末/ユーザー課金 | 個別見積もり |
※料金は2026年9月時点で各社が公開している情報および比較メディア掲載値をもとにした目安です。プラン構成・契約期間・台数帯・税表記によって実際の金額は変わるため、最終的な判断は必ず各社の見積もりで行ってください。
回線とセットで使うキャリア系MDMという選択肢
KDDI・NTTドコモ・ソフトバンクといった通信キャリアも、法人回線とセットで利用できるMDMを提供しています。いずれも自社開発ではなく、国産MDMをベースにしたサービスとして提供されている点が特徴です。
| サービス | 提供元 | 提供基盤 | 月額料金の目安 | 押さえておきたい点 |
|---|---|---|---|---|
| KDDI Smart Mobile Safety Manager | KDDI | Optimal Biz ベースのOEM提供 | 基本プラン 330円/台(税込)、4G LTEケータイプラン 110円/台(税込) | iOS・Android・Windows・Mac に対応。3週間の無料トライアルあり |
| あんしんマネージャーNEXT | NTTドコモ/NTTコミュニケーションズ | CLOMO MDM ベース | 275円/台(税込) | 他社回線の端末やWi-Fi専用端末も管理対象にできる。回線の利用中断・再開にも対応 |
| ビジネス・コンシェル デバイスマネジメント | ソフトバンク | 公表情報なし | iOS・Android 300円/ID、Windows・Mac 400円/ID、4Gケータイ 100円/ID(初期費用無料) | 最低利用1ID・1か月から利用可能。SSO・多要素認証などはオプション |
※2026年9月時点の各社公開情報に基づく目安です。税表記は各社ページの記載に準拠しており(KDDI・ドコモは税込表記)、オプション機能は別料金です。
キャリア系を選ぶ利点は、端末・回線・管理ツールの契約と請求の窓口が1本化されることと、ケータイ(フィーチャーフォン)向けに安価なプランが用意されている点です。一方で注意すべきなのは、回線を他社へ乗り換える際に管理基盤ごと移行が必要になる可能性があること、そしてベースとなっている製品の全機能が使えるとは限らないことです。必要な機能がキャリア版でも提供されているかは、提供元の製品ページではなくキャリア側の機能一覧で確認してください。
各製品は何が得意で、何が苦手なのか?
同じ「MDM」でも、製品の出自によって得意分野ははっきり分かれます。ここでは選定時に押さえるべき特徴と注意点を製品ごとに整理します。
Microsoft Intune:Microsoft 365 契約済みなら追加コストなしで始められる
Intune の最大の利点は、Microsoft 365 E3/E5 や Business Premium にすでに含まれている点です。Entra ID の条件付きアクセスと組み合わせることで、「MDMに登録され、かつ準拠状態の端末からしか社内データにアクセスさせない」という制御が実現できます。Windows 端末の管理、Autopilot によるキッティング自動化との相性は当然ながら最良です。
注意点は、設定項目が多く体系の理解に一定の学習コストがかかること、そしてiOS・Androidの細かな制御では国産MDMのほうが管理画面が分かりやすいという評価があることです。また、単体で購入する場合はユーザー課金のため、1人が複数台持つ場合は割安に、共有端末が多い場合は割高になります。
Jamf Pro:Apple環境なら設定の細かさと新OS対応で優位
Jamf は Apple 製品の管理に特化したベンダーで、macOS・iOS の新バージョンに対する対応の速さが強みです。OSのメジャーアップデート当日から新機能に対応する体制を持ち、Appleの管理仕様に沿った細かな設定が可能です。Macを開発端末として配布している企業や、店舗・現場でiPadを大量運用している企業では有力な選択肢になります。
一方、Windows端末は管理対象外のため、WindowsとMacが混在する環境では Intune など別の製品との併用が前提になります。また最低契約台数が設定されているため、数台規模では割高です。Apple端末が3台程度までであれば、より軽量な Jamf Now から始める選択肢もあります。
CLOMO MDM:国内サポートと公共調達要件を重視する場合
CLOMO は国内で長く提供されているMDMで、ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)への登録、24時間365日の電話サポート、Android Enterprise Recommended 認定といった、調達要件として挙がりやすい条件を満たしています。iOS・Android の管理画面が日本語で分かりやすく設計されており、情シス専任者がいない組織でも運用しやすい点が支持されています。
LANSCOPE エンドポイントマネージャー:PCの操作ログ・資産管理まで含めたい場合
エムオーテックスの LANSCOPE は、もともとPCの資産管理・操作ログ管理の製品として普及した経緯があり、MDM機能はその延長線上にあります。「どのPCに何がインストールされているか」「誰がいつファイルを持ち出したか」まで1製品で押さえたい場合に候補となります。内部不正対策の文脈で導入されるケースが多い製品です。
Optimal Biz・mobiconnect:大量のモバイル端末を配布・運用する場合
いずれも国産の端末課金型MDMで、キッティングの効率化や、遠隔地の端末に対する一括操作に強みを持ちます。共有端末(1台を複数人が使うタブレット等)が多い運用では、ユーザー課金の製品よりコストを抑えやすい構成です。mobiconnect は年額表記のため、月額換算して他製品と並べて比較してください。
Omnissa Workspace ONE UEM:大規模・複数拠点で統合管理する場合
旧 VMware Workspace ONE で、2024年の事業分離により Omnissa ブランドで提供されています。OS横断の統合管理、仮想デスクトップやID基盤との連携を含めた大規模導入が主戦場です。機能は豊富ですが、その分だけ設計・運用に専任の体制が必要になります。数百台規模であれば、より軽量な製品のほうが運用が回りやすい場面が多くあります。
MDM選定ではどの軸を優先すべきか?
MDM選定で優先すべき軸は、機能の網羅性ではなく「自社の端末構成にかかる総コスト」と「運用を回せる体制かどうか」です。機能比較表の丸の数で選ぶと、使わない機能に費用を払い、必要な運用が回らないという結果になりがちです。
軸1:課金単位(端末課金かユーザー課金か)
もっとも金額差が出るのがこの軸です。1人がPCとスマートフォンの2台を持つ環境では、ユーザー課金の Intune が有利になります。逆に、店舗や工場で1台の端末を複数人が交代で使う環境、あるいは社員数に対して端末数が少ない環境では、端末課金の国産MDMのほうが安くなります。自社の「従業員数」と「端末台数」の比率を先に確認してから見積もりを取ると、比較が一度で終わります。
軸2:既存ライセンスとの重複を確認する
意外と多いのが、Microsoft 365 E3 を契約していて Intune の利用権を持っているにもかかわらず、別のMDMを新規契約しているケースです。まずは自社の Microsoft 365 / Google Workspace のプランに何が含まれているかを確認してください。なお、Google Workspace にも基本的なエンドポイント管理機能が含まれており、要件が軽微であれば追加製品なしで足りる場合もあります。
軸3:サポート体制とトラブル時の切り分け
端末管理のトラブルは、MDM製品側の問題なのか、OS側の仕様変更なのか、回線の問題なのかの切り分けが難しい領域です。電話サポートの有無と対応時間帯、日本語での一次対応が可能かは、専任者がいない組織ほど重視すべき項目になります。
軸4:キッティングと調達の実務に合うか
導入時にもっとも工数を食うのはキッティングです。Apple Business Manager の自動デバイス登録や Android のゼロタッチ登録に対応していても、端末を正規の法人窓口経由で購入していなければ、その機能は使えません。MDM製品の機能だけでなく、自社の端末購買ルートが自動登録に対応できる状態かを同時に確認してください。この仕組みの詳細はMDMの仕組みと導入手順の記事で解説しています。
比較表に現れない「見えないコスト」はどこにあるか?
MDMの総コストは、ライセンス費用だけでは決まりません。実務上の負担になるのは、キッティング工数、台帳との二重管理、そして管理対象から漏れた端末への対応です。
台帳との二重入力が発生していないか
MDMの管理画面には、稼働している端末の情報は自動で集まります。しかし、購入日・購入価格・所属部署・保管場所・リース満了日といった資産情報は入ってきません。その結果、多くの企業でExcelの資産台帳とMDMの管理画面が並行して存在し、どちらが最新か分からない状態が生まれています。この二重管理は、端末が増えるほど工数が積み上がるうえ、監査対応時にどちらを証跡として提出するかの判断も難しくなります。
購買と台帳が同一データなら登録漏れが構造的に減る
この二重管理を根本的に解消する方法は、購買データをそのまま台帳にすることです。購買申請が承認された時点で「PC・IT機器」として台帳に起票され、そこにMDMの登録状況が属性として紐付く構成にしておけば、「購入済みだがMDM未登録」という危険な状態を一覧で抽出できます。1Approval では、承認と同時に購買が確定し、その購買データから備品・資産台帳が自動起票されます。加えて、LANSCOPE・CLOMO MDM・Jamf との連携により、購買したPC・モバイル端末の台帳登録とアクティベートを同期させることも可能です。1Approval 消耗品・購買の詳細を見る
端末以外の購買も同じ統制に乗せられるか
端末管理だけを個別に仕組み化しても、消耗品や工具の購買が別ルートのままであれば、承認統制は部分最適にとどまります。購買の職務分掌や証跡管理の設計については消耗品購買の内部統制の記事で整理しているので、あわせて確認してみてください。
MDM比較に関するよくある質問(FAQ)
無料で使えるMDMはありますか?
限定的な形であれば存在します。Microsoft 365 や Google Workspace の一部プランには基本的なエンドポイント管理機能が含まれており、追加費用なしでパスコード強制やリモートワイプが利用できます。また Jamf Now は3台まで無料で利用できます。ただし、細かなアプリ配布制御や多数端末の一括運用を行う場合は、専用製品が必要になるのが一般的です。
Intune があれば他のMDMは不要ですか?
多くの企業では不要です。特にWindows中心の環境であれば Intune で完結します。他製品の併用を検討すべきなのは、Macの細かな管理が必要(Jamf Pro)、PCの操作ログまで取得したい(LANSCOPE)、共有端末が多くユーザー課金が不利、といったケースです。「すでに払っているものを使い切る」ことを出発点にすると判断を誤りにくくなります。
端末課金とユーザー課金はどちらが安いですか?
端末台数と従業員数の比率で決まります。1人あたりの端末数が1台を大きく超える環境ではユーザー課金が有利で、共有端末が多く端末数が従業員数より少ない環境では端末課金が有利です。まず自社の実台数を確定させることが、見積もり比較の前提になります。
MDMの乗り換えは簡単にできますか?
端末側の作業が発生するため、相応の工数を見込む必要があります。特に Apple の自動デバイス登録で管理されている端末は、Apple Business Manager 側のMDMサーバー割り当てを変更したうえで、端末の再登録(多くの場合は初期化)が必要になります。乗り換え前提で短期契約するよりも、初回の選定に時間をかけるほうが結果的にコストは抑えられます。
MDMを導入すれば資産管理も完了しますか?
いいえ、完了しません。MDMが把握できるのは通信可能な稼働中の端末に限られ、保管中の予備機、修理中の端末、回収済みで初期化待ちの端末は管理画面に現れません。購入金額やリース満了日といった資産情報も保持しないため、購買データと連動した台帳を別に用意する必要があります。
まとめ:MDM比較は「端末台数の確定」から始める
MDM製品の違いは、対応OSの得意分野・課金単位・サポート体制・既存ライセンスとの重複という4点に集約されます。機能一覧を横に並べる前に、自社の端末台数と従業員数、そしてすでに保有しているライセンスを確認してください。この3つの数字が揃った時点で、候補は2〜3製品に絞り込めます。
選定の前提となる数字を先に出す
端末台数が確定していなければ、見積もりを依頼することすらできません。棚卸が追いついていない場合は、MDMの比較検討と並行して、いま社内に何台の端末があるのかを確定させる作業から着手することをおすすめします。
購買承認と台帳をつないで「登録漏れゼロ」を仕組みにする
MDMをどれだけ厳密に設定しても、管理対象に登録されていない端末は守れません。端末の購買が必ず承認を通り、承認された内容がそのまま資産台帳として起票され、MDM連携まで同じデータでつながる状態を作れば、登録漏れは構造的に発生しなくなります。1Approval 消耗品・購買の詳細を見ることで、購買承認から台帳の自動起票、MDM連携までを1本につなぐ具体的な構成を確認できます。
監修
伏見 匡矩
株式会社エイチ 代表取締役社長
株式会社エイチ代表取締役社長。出張手配・会場手配の実務を起点に、申請・承認から購買実行までを一体で扱う1Approvalを立ち上げ、事業責任者としてプロダクト設計に携わる。消耗品・工具の購買から会場手配まで、現場の調達を代行してきた経験をもとに、立替精算と勝手購買が生まれる構造を扱っている。
経歴・運営者情報を見るこの記事のテーマ
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