備品管理システム比較7選|選定の進め方
備品管理システムの比較方法を、タイプ分類・課金体系・識別方式・初期データ投入という実務の観点から解説。Convi.BASE・Assetment Neo・備品管理クラウド・zaico・ジョーシス・Colorkrew Biz・スマートマットクラウドの7サービスを同じ軸で比較し、形骸化させない選び方まで整理します。
「備品管理システムを比較したが、月額5,000円のサービスと月額5万円のサービスが同じ比較表に並んでいて、何が違うのか分からない」——備品管理の仕組み化を任された総務・情シス担当者が最初に困るのがこの点です。価格差の正体は機能の多寡だけではなく、そもそも管理しようとしている「モノ」が違うことにあります。PC・什器のような1点ずつ管理する資産と、コピー用紙のように数量で管理する消耗品では、必要なシステムのタイプ自体が別物です。本記事では、備品管理システムをどう比較すべきかという手順と軸を先に整理し、そのうえで主要7サービスを同じ観点で並べます。あわせて、導入したシステムが1年で使われなくなる典型パターンにも触れます。
この記事の要点
- 備品管理システムは「現物管理特化型」「在庫・消耗品型」「IT機器特化型」「IoT自動計測型」の4タイプに分かれる。比較の第一歩は製品選びではなくタイプの選定。
- 料金は課金単位が製品ごとに異なり、アイテム数課金・ユーザー課金・機能積み上げ型が混在する。同じ「月額5万円」でも、管理点数が増えたときの伸び方がまったく違う。
- 比較の前に確定させるべき数字は、管理対象の点数・種類・拠点数、入力する人の範囲、そして現行運用にかかっている時間の3つ。これがないと見積もりを比較できない。
- 最大の落とし穴は初期データ投入とラベル貼付の工数。ここを見積もりに入れていないと、契約したまま使われないシステムになる。
- 運用が定着するかどうかは、登録作業が日常業務の中で自動的に発生するかで決まる。購買データを起点にすれば、現場に新しい入力作業を増やさずに台帳を維持できる。
備品管理システムは何を管理するシステムなのか?
備品管理システムの比較が噛み合わなくなる原因は、「備品」という言葉が指す範囲が企業ごとに違うことにあります。比較表を作る前に、自社が管理したい対象がどれに当たるかを分類してください。
「備品」「消耗品」「固定資産」で必要な管理はまったく違う
1点ずつ個体を識別して所在を追う必要があるのがPC・計測器・什器・工具といった備品です。これに対してコピー用紙・手袋・試薬のような消耗品は、個体ではなく数量と残量で管理します。さらに、取得価額が一定額以上で減価償却の対象になる固定資産は、現物管理に加えて会計側の台帳との一致が求められます。
この3つは求められる機能が異なります。備品にはQRラベルと貸出・返却の記録、消耗品には在庫数と発注点の管理、固定資産には除却・移動の履歴と固定資産ソフトへの連携が必要です。1つの製品ですべてを高い水準で満たすものは少なく、どこに重心を置くかで選ぶべきタイプが変わります。
備品管理システムの4つのタイプ
市場にある製品は、おおむね次の4タイプに整理できます。
- 現物管理特化型:QR・バーコード・RFIDで個体を識別し、棚卸・貸出返却・移動履歴を管理する。Convi.BASE、Assetment Neo、備品管理クラウドなど
- 在庫・消耗品型:数量と入出庫を管理し、発注点を下回ったら通知する。zaico など
- IT機器特化型:PC・スマートフォンとSaaSアカウントを従業員に紐付けて管理し、入退社処理まで含める。ジョーシス など
- IoT自動計測型:重量センサーなどで在庫を自動計測し、人が数えない運用にする。スマートマットクラウド など
このほか、座席管理・郵便物管理といった総務業務をまとめて扱うオールインワン型(Colorkrew Biz など)や、kintone・Excelで自作するアプローチもあります。自作は初期費用を抑えられますが、棚卸のモバイル対応やラベル発行を作り込むと結局工数がかかるため、点数が数百を超えるなら専用製品を検討したほうが現実的です。
【比較表】主要7サービスの管理対象と料金体系
タイプの当たりがついたら、次は同じ軸で並べます。ここで重要なのは金額そのものより課金単位です。
| サービス | タイプ | 主な管理対象 | 課金の考え方 | 料金の目安 |
|---|---|---|---|---|
| Convi.BASE | 現物管理特化 | 備品・什器・IT機器・固定資産 | 基本機能+オプション+ユーザーライセンス数 | 月額55,000円〜(基本+棚卸+1ユーザー)。初期費用0円〜、支援を含むプランは約90万円〜 |
| Assetment Neo | 現物管理特化 | IT資産・固定資産・貸出物品 | 利用機能と資産数に応じた個別料金(ユーザー数無制限) | 用途別プランで月額47,000円〜(情シス向け標準構成の例) |
| 備品管理クラウド | 現物管理特化 | オフィス備品・什器 | 登録アイテム数で決まる(アカウント数・拠点数は無制限) | スタートプラン 月額5,000円/200アイテム。600・1,500アイテムの上位プランあり |
| zaico | 在庫・消耗品 | 在庫品・部品・消耗品 | ユーザー数でプランが決まる | スターター 月額8,980円(フル3名+閲覧10名)、ベーシック 月額49,800円ほか |
| ジョーシス | IT機器特化 | PC・スマホ・SaaSアカウント | 従業員(ユーザー)課金 | 月額300円/ユーザー〜(最低利用人数あり) |
| Colorkrew Biz | オールインワン | 備品・座席・郵便物など総務業務全般 | 利用機能と登録ユーザー数 | 初期費用0円・年間契約。構成により変動(要問い合わせ) |
| スマートマットクラウド | IoT自動計測 | 消耗品・部品・液体などの在庫 | 計測マットの台数とプラン | 個別見積もり(初期費用・月額とも要問い合わせ) |
※2026年9月時点で各社が公開している情報および比較メディア掲載値に基づく目安です。プラン構成・オプション・契約期間によって実際の金額は変わるため、最終判断は必ず見積もりで行ってください。
この表から読み取ってほしいのは、課金単位が3種類に分かれているという点です。アイテム数課金(備品管理クラウド)は管理点数が増えると上がり、ユーザー課金(zaico、ジョーシス)は入力する人が増えると上がり、機能積み上げ型(Convi.BASE、Assetment Neo)は必要な機能を足すほど上がります。自社がこれから増やしたいのが点数なのか人数なのか機能なのかで、3年後のコストは大きく変わります。
比較の前に確定させるべき数字は何か?
備品管理システムの比較は、製品を調べることから始めるとうまくいきません。先に自社の前提を数字にしてください。この3つが揃えば、候補は自然に2〜3製品に絞られます。
数字1:管理対象の点数・種類・拠点数
何点を管理するのかが分からなければ、アイテム数課金の製品は見積もりすら出せません。ざっくりでよいので、PC・モバイル端末、什器、工具・計測器、消耗品のカテゴリ別に概算点数を出します。あわせて拠点数と保管場所の数も数えてください。拠点をまたぐ移動や拠点別の在庫把握が必要かどうかで、必要な機能が変わります。
数字2:「誰が入力するか」の範囲
備品管理が続かない最大の要因は、入力する人と、入力によって得をする人が一致していないことです。総務の担当者だけが入力するのか、各部署の管理者まで広げるのか、全従業員が貸出申請を出すのか——この範囲がユーザー課金製品のコストを直接左右します。逆にアイテム数課金の製品であれば、利用者を広げてもコストは増えません。
数字3:現行運用にかかっている時間
年1回の棚卸に何人日かかっているか、備品の所在確認の問い合わせが月に何件あるか、貸与物の回収漏れが年に何件発生しているかを、時間と件数で出します。この数字がないと、月額5万円の製品を導入する判断を社内で通せません。逆に、棚卸に延べ10人日かかっているなら、それだけで年間コストの説明はつきます。
備品管理システムを比較する6つの軸
前提の数字が揃ったら、次の6軸で製品を並べます。機能一覧の網羅性ではなく、自社の運用に効く軸だけを重み付けして見るのがコツです。
軸1:課金単位が自社の伸び方と合っているか
前述のとおり、アイテム数・ユーザー数・機能のどれで課金されるかを必ず確認します。「今の点数」ではなく「3年後に管理したい点数と人数」で試算してください。特にアイテム数課金の製品は、消耗品まで管理対象に含めた瞬間に点数が跳ね上がることがあります。
軸2:識別方式(QR・バーコード/RFID/重量IoT)
QRコード・バーコードは自社でラベルを印刷できるため初期費用を抑えられ、スマートフォンのカメラで読み取れます。RFIDは離れた場所から複数タグを一括で読めるため、点数が多い倉庫や、1点ずつスキャンできない現場で威力を発揮しますが、タグとリーダーの費用がかかります。重量IoTは人が数える作業そのものをなくせる代わりに、対象は定量的に減っていく消耗品に限られます。
軸3:棚卸が実務に耐えるか
見るべきは「棚卸機能がある」かどうかではなく、スマートフォンだけで完結するかと未スキャンの物品を自動で抽出できるかです。棚卸の本質は、あるものを数えることではなく、帳簿にあるのに現物が見つからないものを特定することにあります。未スキャン=所在不明としてリスト化できない製品では、結局Excelでの突合作業が残ります。
軸4:貸出・返却とワークフロー
工具・計測器・貸与PCのように持ち出しが発生する物品を扱うなら、貸出申請と承認、返却期限のアラート、未返却リストの抽出が必要です。ここを人の記憶と口頭連絡に頼っている限り、回収漏れはなくなりません。退職・異動の手続きと突合できる状態になっているかを確認してください。
軸5:外部システムとの連携
確認すべき連携先は、固定資産ソフト(勘定奉行、PCA、マネーフォワードなど)、会計システム、MDM/IT資産管理ツール、そしてSSOのためのID基盤です。特にIT機器を管理対象に含める場合、MDM側の実機情報と台帳が二重管理にならない構成にできるかは重要な分かれ目になります。MDM側の選定についてはMDM製品の比較記事で整理しています。
軸6:初期データ投入とラベル貼付の工数
見積書には載らないのに、もっとも工数がかかるのがこの部分です。既存の資産台帳がExcelに散在していれば名寄せが必要ですし、数千点の物品にラベルを貼って回る作業は現場の協力なしには終わりません。比較の段階で、初期データ移行の支援が契約に含まれるか、別料金かを必ず確認してください。ここを自社対応にした結果、導入が半年止まるケースは珍しくありません。
ケース別にはどれを選ぶべきか?
前提と軸が整理できたところで、典型的なケースごとの選び方をまとめます。
| 自社の状況 | 向いているタイプ | 候補 |
|---|---|---|
| オフィス備品が中心で、まず小さく始めたい | 現物管理特化(アイテム数課金) | 備品管理クラウド |
| 多拠点・数万点規模で、棚卸と貸出を本格運用したい | 現物管理特化(機能積み上げ) | Convi.BASE、Assetment Neo |
| 固定資産ソフトとの連携と監査対応を重視する | 現物管理特化 | Assetment Neo、Convi.BASE |
| 管理対象がPC・スマホとSaaSアカウント中心 | IT機器特化 | ジョーシス |
| 部品・消耗品の在庫数と発注点を管理したい | 在庫・消耗品 | zaico |
| 数える作業そのものをなくしたい | IoT自動計測 | スマートマットクラウド |
| 座席・郵便物など総務業務ごと仕組み化したい | オールインワン | Colorkrew Biz |
なお、消耗品の購買先が部署ごとにバラバラな状態のまま在庫管理だけを仕組み化しても、全社の支出は見えません。購買サイトの使い分けについてはオフィス用品通販6社比較の記事を参考にしてください。購買側の統制もあわせて設計したい場合は、1Approval 消耗品・購買の詳細を見ることで、購買承認と台帳を1本につなぐ構成を確認できます。
導入した備品管理システムが使われなくなるのはなぜか?
備品管理システムが形骸化する原因は、機能不足ではなく登録作業が日常業務の外にあることです。「モノが増えたら台帳に登録する」という手順は、担当者が忙しくなった瞬間に後回しになり、一度ずれた台帳は誰も信用しなくなります。
「登録が面倒で続かない」は運用ルールでは解決しない
登録を徹底させるために運用ルールを厳しくしても、入力する人にとってのメリットがない限り定着しません。月1回のリマインド、年1回の棚卸で帳尻を合わせる運用は、ずれを後から直しているだけで、日々の台帳の正確性は担保されていない状態です。
購買データを起点にすれば、入力作業そのものが不要になる
根本的な解決策は、登録のきっかけを人の手ではなく購買のタイミングに置くことです。購買が承認された時点で「何を・いくつ・いくらで・どの部署が」買ったかというデータはすでに揃っています。このデータをそのまま台帳に起票すれば、現場に新しい入力作業は発生しません。1Approval では、承認と同時に購買が確定し、その購買データから消耗品・備品・固定資産へ自動分類したうえで、拠点・保管場所つきの台帳が自動起票されます。QRラベルの発行、スマホでの棚卸、期限アラート、固定資産ソフトやMDMとの連携も同じデータの上で動くため、別途「備品管理システム」を導入して購買側と連携させる必要がありません。
購買の承認統制そのものを見直したい場合は、消耗品購買の内部統制の記事もあわせて確認してみてください。
備品管理システムの比較に関するよくある質問(FAQ)
備品管理システムの費用相場はどれくらいですか?
管理点数と機能によって幅がありますが、オフィス備品を数百点管理する小規模な用途であれば月額5,000円台から、多拠点で棚卸・貸出まで本格運用する場合は月額5万円以上が目安になります。加えて、初期データ移行の支援を依頼する場合は数十万円規模の初期費用が発生することがあります。金額よりも課金単位を確認するほうが、将来のコストを見誤りません。
ExcelやGoogleスプレッドシートでの管理ではだめですか?
管理点数が数十点で、拠点が1つ、貸出も発生しないのであれば表計算ソフトで足ります。専用システムが必要になるのは、複数人が同時に更新する、拠点をまたいで移動する、棚卸をモバイルで行いたい、貸出・返却の履歴を残したい、といった条件が加わったときです。点数が数百を超えると、更新の競合と入力漏れで台帳の信頼性が保てなくなります。
無料で使える備品管理システムはありますか?
無料プランや無料トライアルを用意しているサービスはありますが、登録点数やユーザー数に制限があるのが一般的です。無料の範囲で試す場合も、本番と同じ点数・同じ利用者数で試せるかを確認してください。10点で試して問題なくても、1,000点を登録した瞬間に一覧の操作性や検索性が問題になることがあります。
固定資産台帳と備品管理システムは分けるべきですか?
分けずに済むならそのほうが望ましいですが、実務上は会計側の固定資産台帳が会計システム内にあり、現物管理は別システムというケースが大半です。その場合は、資産番号などのキーを揃えたうえで、CSVまたはAPIで定期的に突合できる状態を作るのが現実的です。突合が手作業のままだと、除却済みの資産が現物管理側に残り続けます。
IT機器も備品管理システムでまとめて管理できますか?
管理できます。ただしPC・スマートフォンについては、MDM/IT資産管理ツールが保持している実機の情報(OSバージョン、シリアル、暗号化状態)と、備品管理システムが持つ資産情報(購入日・金額・所属部署)が二重管理になりやすい点に注意が必要です。どちらを正とするかを決め、連携で同期させる設計にしてください。端末管理側の考え方はMDMの仕組みと導入手順の記事で解説しています。
まとめ:備品管理システムの比較は「タイプ選び」と「課金単位」で9割決まる
備品管理システムの比較で最初にやるべきは、製品を調べることではなく、自社が管理したい対象を分類してタイプを決めることです。そのうえで、管理点数・利用者数・拠点数という前提の数字を確定させれば、課金単位の違いから候補は自然に絞り込めます。
見積もりには初期データ投入の工数を必ず含める
契約後に想定外の負荷として現れるのが、初期データの名寄せとラベル貼付です。比較の段階で移行支援の有無と費用を確認し、社内の工数も含めて総コストで判断してください。
台帳を維持し続ける仕組みまで設計する
なお、そもそも購買が正規ルートを通っていなければ、台帳に載せるデータ自体が生まれません。現場が承認を待たずに買ってしまう構造については現場の勝手購買はなぜ止まらないのか|緊急購買の設計で整理しています。
どの製品を選んでも、登録が手作業のままでは台帳は必ずずれていきます。購買が承認された時点で台帳が自動的に起票される仕組みにしておけば、現場の入力作業を増やさずに正確性を保てます。1Approval 消耗品・購買の詳細を見ることで、購買承認から台帳の自動起票、棚卸・期限管理までを1本のデータでつなぐ具体像が確認できます。
監修
伏見 匡矩
株式会社エイチ 代表取締役社長
株式会社エイチ代表取締役社長。出張手配・会場手配の実務を起点に、申請・承認から購買実行までを一体で扱う1Approvalを立ち上げ、事業責任者としてプロダクト設計に携わる。消耗品・工具の購買から会場手配まで、現場の調達を代行してきた経験をもとに、立替精算と勝手購買が生まれる構造を扱っている。
経歴・運営者情報を見るこの記事のテーマ
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