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ワークフローのシェアとランキングは何の数字か

ワークフローシステムの「シェア」として流通している数字は2種類あり、片方は導入経験者へのアンケート、もう片方は比較サイトに投稿されたレビュー件数の構成比です。どちらも売上シェアでも契約社数シェアでもありません。「ランキング」はさらに別で、過去30日間の問い合わせ数であることがあります。それぞれの出どころと条件を確認したうえで、この市場の数字が選定に使える場面と使えない場面を整理します。

ワークフローのシェアとランキングは何の数字か

「ワークフローシステム シェア」で検索すると、製品名と%が並んだ表がいくつも出てきます。数字は具体的で、順位もはっきりしています。

ただ、その%が何を数えた数字なのかまで書かれていることは多くありません。そして出どころを開くと、同じ「シェア」という言葉で、まったく違うものが数えられています。

結論から書きます。流通している「シェア」は、売上シェアでも契約社数シェアでもありません。 片方はアンケートの回答構成比、もう片方は比較サイトに投稿されたレビューの件数構成比です。

本記事では、それぞれの出どころと条件を確認したうえで、この市場の数字が選定に使える場面と使えない場面を整理します。

この記事の要点

  • 「シェア」として流通している数字は主に2種類。導入経験者へのアンケートと、比較サイトのレビュー投稿件数の構成比
  • どちらも売上シェアでも契約社数シェアでもない。ITトレンドは「市場全体の売上シェアや導入社数そのものを示すものではありません」と自ら注記している
  • 「ランキング」はさらに別物で、過去30日間の問い合わせ数を指している場合がある
  • 導入社数も並べられない。シリーズ累計か単体か、契約企業か登録企業かが各社で違う
  • 使えるのは順位ではなく構造のほう。首位でも13.28%、上位7社の合計でも49.05%。この市場に寡占は起きていない
  • だから「シェア1位だから安心」という選び方が成立しにくい。他社の選択は、自社の正解にならない

「シェア」は2種類ある

① 導入経験者へのアンケート(BOXIL)

BOXILの調査は、導入に携わった人へのインターネット調査です。調査概要として、全国20〜60代の1,717人を対象に実施したこと、期間が2025年3月18日〜20日であることが注記されています。

つまり、3日間のインターネット調査に答えた1,717人が、自社で導入した製品として挙げたものの構成比です。

② レビュー投稿件数の構成比(ITトレンド)

ITトレンドの数字は、同サイトに投稿されたレビューの件数構成比です。ページ自身が、こう注記しています。

市場全体の売上シェアや導入社数そのものを示すものではありません

出している側が、売上シェアではないと明示しています。 ここは重要で、誤っているのは調査ではなく、この数字を「市場シェア」として引用する側です。

両者は一致しない

①は「導入した人が何を選んだか」、②は「レビューを書いた人が何を使っているか」です。母集団が違うので、順位も割合も一致しません。

レビューは書く動機のある人だけが書きます。満足した人が書きやすい製品もあれば、不満のある人が書きやすい製品もあります。導入者アンケートとは別の偏りが乗ります。

「ランキング」はさらに別物

比較サイトの「ランキング」は、シェアとも違う指標であることがあります。ITトレンドの資料請求ランキングは、過去30日間で問い合わせが多かった製品の集計です。

これは直近の関心の多さであって、導入実績の多さではありません。広告出稿や記事の露出が増えれば動きます。

3つを並べると、数えているものがはっきり分かれます。

呼び名数えているもの期間
シェア(BOXIL)導入経験者1,717人のアンケート回答2025/3/18〜20
シェア(ITトレンド)同サイトに投稿されたレビュー件数記載なし
資料請求ランキング問い合わせの件数過去30日間

同じ画面に「シェア」と「ランキング」が並んでいても、別の質問への答えです。

数字そのもの

条件を承知したうえで、BOXILの調査結果を引用します。

製品回答構成比
サイボウズ Office13.28%
ジョブカンワークフロー7.98%
楽々WorkflowII7.05%
ワークフローEX6.64%
SmartDB5.13%
ジョブマネワークフロー4.66%
rakumo ワークフロー4.31%

出典には、小数点以下の四捨五入により合計が100%にならない場合があるとの注記があります。また同じ記事に出てくる市場規模の数字は、このアンケートではなくITRの調査によるもので、別のデータです。混ぜて読まないでください。

各製品の内容は個別に整理しています。ジョブカンワークフローとは?料金・機能・評判、楽々WorkflowIIとは?料金・機能・評判、ワークフローEXとは?Excel前提の設計と料金をご覧ください。

導入社数も、そのままでは並べられない

シェアの代わりに導入社数を見る方法もありますが、こちらも条件がそろいません。

  • シリーズ累計か、製品単体か
  • 契約企業数か、登録企業数か
  • 現在の社数か、累計か

同じ「○○社以上」でも、数えているものが違います。製品間で比較する数字としては扱えません。

では、何に使えるのか

順位を見て1位を選ぶ、という使い方はできません。使えるのは構造のほうです。

BOXILの数字で、首位が13.28%、上位7社の合計で49.05%。半分が8位以下に分散しています。

出張管理や経費精算では上位数社への集中が見られますが、ワークフローは寡占が起きていません。理由ははっきりしていて、既存環境(kintone・Microsoft 365・グループウェア)と企業規模によって最適解が分かれるためです。

ここから導ける実務的な結論は1つです。他社の選択が、そのまま自社の正解になりません。 「一番使われている製品」を選ぶ戦略が効く市場ではない、ということです。

選定の軸は、順位ではなく自社の条件側にあります。ワークフローシステム比較|3タイプの違いと選び方で3タイプの分け方を、ワークフローシステムの費用相場|総額の出し方で総額の出し方を整理しています。

本記事を書くにあたって、自社の記事も直しました

調べる過程で、自社の比較記事が同じ誤りをしていたことが分かりました。

BOXILの13.28%という数字を「公表シェア」という見出しの表に載せており、読者が売上シェアや契約社数シェアだと受け取りかねない書き方になっていました。出典の条件(導入経験者1,717人への3日間のアンケート)を明記する形に修正しています。

比較サイトの調査は、いずれも方法を注記しています。問題は調査側ではなく、条件を落として引用する側にあります。自社も例外ではありませんでした。

よくある質問(FAQ)

ワークフローシステムのシェア1位はどこですか?

BOXILの導入経験者アンケート(2025年3月、1,717人)では、サイボウズ Officeが13.28%で最多です。ただしこれは売上シェアでも契約社数シェアでもなく、アンケート回答の構成比です。調査が変われば順位も変わります。

「シェア」と「ランキング」は何が違いますか?

数えているものが違います。シェアは導入状況やレビュー件数の構成比、ランキングは過去30日間の問い合わせ件数であることがあります。後者は直近の関心の多さで、導入実績ではありません。

市場全体の売上シェアは公表されていますか?

無料で参照できる形では見当たりません。流通している数字はアンケートやレビュー件数に基づくもので、売上ベースの市場シェアは調査会社の有料レポートの領域です。市場規模についてはITRなどの調査が引用されていますが、製品別の売上シェアとは別です。

シェアが高い製品を選べば間違いありませんか?

この市場では成立しにくい考え方です。首位でも13%程度、上位7社の合計でも約49%で、半分が8位以下に分散しています。既存環境と企業規模で最適解が分かれるため、他社の選択が自社の正解になりません。

導入社数で比べてはいけませんか?

そのままでは比べられません。シリーズ累計か製品単体か、契約企業か登録企業かが各社で異なります。比べるなら、各社がどの数え方をしているかを確認してからにしてください。

比較サイトの数字は信用できないということですか?

そうではありません。調査方法は各サイトが注記しています。ITトレンドは「市場全体の売上シェアや導入社数そのものを示すものではありません」と明記しています。問題は、条件を落として「市場シェア」として引用されることのほうです。

何を基準に選べばよいですか?

順位ではなく自社の条件です。既存環境で足りるか、承認ルートの複雑さ、組織改編の頻度、監査対応の要否、そして総額。これらは他社の導入状況からは決まりません。

1Approvalでの実現方法

1Approvalについても、シェアや導入社数を選定の根拠には出しません。本記事で書いたとおり、この市場でその数字が意味を持たないためです。

出せるのは、条件を明示した自社の実測です。出張1件あたりの工数内訳と削減の計算式は出張1件の工数は何分か|「85%削減」の算出根拠で、11工程それぞれの標準時間と前提まで公開しています。自社の条件に当てはめて再計算できる形にしてあります。

数字を出す側が条件を書き、読む側が条件ごと受け取る。本記事で書いたことを、自社の数字にも適用しています。

まとめ

ワークフローシステムの「シェア」として流通している数字は2種類あり、どちらも売上シェアでも契約社数シェアでもありません。片方は導入経験者1,717人への3日間のインターネット調査、もう片方は比較サイトに投稿されたレビュー件数の構成比です。

「ランキング」はさらに別で、過去30日間の問い合わせ数を指している場合があります。同じ画面に並んでいても、別の質問への答えです。

導入社数も、シリーズ累計か単体か、契約か登録かが各社で違うため、そのままでは比べられません。

使えるのは順位ではなく構造です。首位13.28%、上位7社で49.05%。この市場には寡占が無く、だからこそ他社の選択は自社の正解になりません。

最後に、数字を見たときの手順です。%を見る前に、何を母数にした数字かを探してください。 見つからないなら、その数字は選定の根拠に使えません。

主な参照先

※本記事は2026年11月時点で各出典ページに記載されていた内容にもとづきます。調査は更新されることがあるため、引用する際は出典側の最新の注記をご確認ください。

監修

伏見 匡矩

伏見 匡矩

株式会社エイチ 代表取締役社長

株式会社エイチ代表取締役社長。出張手配・会場手配の実務を起点に、申請・承認から購買実行までを一体で扱う1Approvalを立ち上げ、事業責任者としてプロダクト設計に携わる。承認されたあとの購買・手配をどう自動化するかという観点から、Microsoft 365を基盤とした申請・承認の設計を扱っている。

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