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ワークフローシステム比較|3タイプの違いと選び方

ワークフローシステムを専用型・グループウェア内蔵型・業務プラットフォーム型の3タイプに分けて比較。導入社数と市場シェア、料金の相場、既存のkintoneやMicrosoft 365で足りるかの判断軸、そして導入後も残りやすい「承認の先」の課題まで整理しました。

ワークフローシステム比較|3タイプの違いと選び方

ワークフローシステムの比較記事は数多くありますが、製品を横一列に並べた表を見ても選べないことがほとんどです。機能欄はどれも「多段階承認」「条件分岐」「代理承認」で埋まり、差が見えないからです。

実際の選定でつまずくのは、機能の有無ではありません。**「すでに使っているkintoneやMicrosoft 365で足りるのか、専用製品を入れるべきか」**という一段手前の問いです。ここを決めないまま製品比較に入ると、比較表を眺めるだけで話が進みません。

この記事では、製品を3つのタイプに分けたうえで、タイプごとにどんな企業が向くのかを整理します。記載内容は2026年9月時点の各社公開情報およびレビューサイトの公表値に基づきます。

この記事の要点

  • ワークフロー製品は専用型・グループウェア内蔵型・業務プラットフォーム型の3タイプに分かれ、比較すべきは製品同士ではなくまずタイプ。
  • 市場シェアの公表値ではサイボウズ Office が13.28%、ジョブカンワークフローが7.98%、楽々WorkflowIIが7.05%、ワークフローEXが6.64%。上位が寡占しておらず、用途で分かれている市場
  • クラウド型の料金相場は1ユーザー月額300〜500円前後。ジョブカンワークフローが月額300円〜、rakumo ワークフローが単体月額500円。
  • すでにkintoneやMicrosoft 365を全社導入している企業は、まず標準機能(プロセス管理/Power Automate)で足りるかを検証するのが定石。専用製品の追加契約はその後で判断する。
  • どのタイプを選んでも**「承認が降りた後」の発注・支払い・精算は対象外**。ここが導入後に残りやすい課題で、選定時に見落とされやすい。

ワークフローシステムは3タイプに分かれる

製品名で比較する前に、自社がどのタイプを求めているかを決めます。

タイプ代表例向いている企業弱点
専用型ジョブカンワークフロー、コラボフロー、X-point Cloud、Create!Webフロー、楽々WorkflowII、ワークフローEX稟議・申請の種類が多く、承認ルートが複雑な企業申請承認以外の業務には使えない。システムが1つ増える
グループウェア内蔵型サイボウズ Office、rakumo ワークフロー(Google Workspace連携)すでにグループウェアを全社導入済みで、申請の種類が限られる企業複雑な条件分岐や大規模な組織階層には限界がある
業務プラットフォーム型kintone(プロセス管理)、Microsoft 365(Power Automate)申請承認だけでなく、顧客管理や案件管理も同じ基盤で作りたい企業承認フローは自分で設計・保守する必要がある

専用型は承認業務に特化している分、組織改編への追随や代理承認、監査証跡といった実務要件が最初から揃っています。一方で、承認以外には使えないシステムが1つ増えます。

グループウェア内蔵型は追加契約が最小で済みます。ただし承認段階が増えたり、金額による分岐が複雑になると機能不足に直面します。

業務プラットフォーム型は柔軟性が最大ですが、承認ルートの設計と保守が自社の仕事になります。ここを軽く見ると、作った人が異動した途端に誰も触れないフローが残ります。

市場シェアと導入社数はどうなっているのか?

公表されている数字を並べます。

製品公表シェア公表導入社数
サイボウズ Office13.28%
ジョブカンワークフロー7.98%35,000社以上(シリーズ累計25万社)
楽々WorkflowII7.05%
ワークフローEX6.64%
X-point Cloud / AgileWorksシリーズ合計5,000社以上
コラボフロー2,000社以上
Create!Webフロー1,000社以上

注目すべきは、首位でもシェアが13%程度という点です。

出張管理(BTM)や経費精算では上位数社に集中する傾向がありますが、ワークフローは企業規模と既存環境によって最適解が分かれるため、寡占が起きていません。「シェア1位だから安心」という選び方が通用しにくい領域です。

なお導入社数は、シリーズ累計なのか単体なのか、契約企業なのか登録企業なのかが各社で異なります。そのまま並べて比較できる数字ではありません。

料金の相場はどれくらい?

クラウド型の相場は1ユーザーあたり月額300〜500円前後です。

製品料金
ジョブカンワークフロー月額300円/ユーザー〜(他のジョブカン製品と併用で250円/無料プランあり)
rakumo ワークフロー単体利用 月額500円/人
コラボフロー初期費用0円、クラウド提供

100名規模なら月3〜5万円、年間40〜60万円が目安です。オンプレミス型や大企業向け製品は個別見積もりが基本で、この相場からは外れます。

ここで見落とされがちなのが、ライセンス費用より運用工数のほうが大きくなりやすい点です。組織改編のたびに承認ルートと承認者マスタを更新する作業は、製品を問わず発生します。選定時には、この更新作業を誰がどう行うのかまで確認してください。

既存のkintone・Microsoft 365で足りるのか?

すでにどちらかを全社導入している企業は、専用製品の検討より先にこの検証をしてください。追加契約が不要で済む可能性があります。

標準機能で実装しやすいもの

  • 直列の多段階承認(申請者 → 上長 → 部門長 → 役員)
  • 金額による承認者の分岐
  • 全員承認の合議
  • 承認履歴の記録
  • チャット上での承認操作

これらはkintoneのプロセス管理でも、Microsoft 365のPower Automateでも標準機能の範囲で実装できます。

作り込みが必要になるもの

  • 承認者マスタからの動的な取得
  • 代理承認・不在時のエスカレーション
  • 差し戻し後の再申請
  • 条件付きの承認省略

内製だと重くなりやすいもの

  • 組織改編への追随
  • 合議体の動的な決定
  • 稟議書の様式・版管理
  • 監査用のレポート出力
  • 承認ルートを非エンジニアが変更できる状態の維持

多くのプロジェクトは1層目だけを見て「作れる」と判断し、2層目と3層目の存在に運用開始後に気づきます。**判断すべきは「作れるかどうか」ではなく「何年保守できるか」**です。

詳細はPower Automateで稟議フローは作れる?内製の限界kintoneのプロセス管理とは?仕組みと設計パターンで整理しています。

どう選べばいい?4つの判断軸

軸1:既存環境に承認基盤があるか

kintoneまたはMicrosoft 365を全社導入済みなら、まず標準機能でPoCを回します。ここで足りれば追加コストはゼロです。

軸2:承認ルートの複雑さ

金額分岐が3段階以内、承認段階が3段階以内であれば、標準機能や内蔵型で足ります。これを超えると専用型が現実的になります。

軸3:組織改編の頻度

年に複数回の組織改編がある企業は、承認ルートの保守が最大のコストになります。組織マスタと連動して承認ルートが自動更新される仕組みを持つ専用型が向きます。

軸4:監査対応の要否

上場審査やJ-SOX対応が必要なら、証跡の保全とレポート出力が標準で備わっているかを確認します。内製だとここが最後まで残ります。

導入しても残る「承認の先」の課題

ここまでがワークフロー製品の選定です。ただし、どのタイプを選んでも解決しない領域があります。

ワークフローシステムが担うのは「申請から承認まで」です。承認が降りた後の発注・予約・支払い・経費精算は対象外です。

そのため、承認を電子化した企業でも次の作業が残ります。

  • 承認済みの内容を見ながら、購買サイトや予約サイトで改めて発注する
  • 承認待ちの間に価格や在庫が変わり、取り直して再申請する
  • 立て替えた費用を経費精算システムに入力し直す
  • 経理が承認レコードと請求書を手作業で突き合わせる

契約・承認業務でも同様の指摘があり、社内の承認プロセスを電子化しても最終段階で紙やPDFの運用がボトルネックとして残る、という課題が知られています。承認の電子化と、その先の業務の自動化は別の問題です。

この「承認の後ろ側」を担うのが1Approvalです。既存のワークフロー基盤(kintone・Microsoft 365・Teams)に接続し、承認が降りた瞬間に予約・発注・決済まで完結させます。ワークフロー製品と競合せず、併用する位置づけです。

実際に株式会社ユーグレナ様の事例では、承認と予約が別々だったために運用が定着しなかった既存システムから切り替え、出張前の調整作業が1時間以上から15〜20分に短縮されています。

よくある質問(FAQ)

ワークフローシステムのシェア1位はどこですか?

公表値ではサイボウズ Office が13.28%で最多です。ただし首位でも13%程度で、企業規模と既存環境によって最適解が分かれるため、シェアだけで選べる市場ではありません。

料金の相場はいくらですか?

クラウド型で1ユーザーあたり月額300〜500円前後が目安です。100名規模なら年間40〜60万円程度となります。オンプレミス型や大企業向け製品は個別見積もりが基本です。

kintoneのプロセス管理だけで足りますか?

直列の多段階承認、金額による分岐、合議までは標準機能で実装できます。組織改編への追随、代理承認、監査レポートが必要になると作り込みが重くなるため、そこが判断の分かれ目になります。

無料で使えるワークフローシステムはありますか?

ジョブカンワークフローには無料プランがあります。ただし利用人数や機能に制限があるため、本格運用の前に制限内容を確認してください。

ワークフローシステムを入れれば経費精算まで自動化できますか?

いいえ。ワークフローシステムが担うのは申請から承認までで、承認後の発注・支払い・経費精算は対象外です。この領域は経費精算システムや購買管理システム、あるいは承認と購買をつなぐ仕組みが別途必要になります。

まとめ

ワークフローシステムの選定は、製品を横に並べるところから始めると迷います。まず専用型・グループウェア内蔵型・業務プラットフォーム型のどのタイプを求めているかを決めてください。

そのうえで、既存環境(kintone・Microsoft 365)で足りるかを検証し、承認ルートの複雑さ・組織改編の頻度・監査対応の要否で絞り込みます。シェア1位でも13%程度という市場である以上、他社の選択がそのまま自社の正解にはなりません。

そして選定時に、承認が降りた後の業務をどう扱うかまで視野に入れておくことをおすすめします。承認を電子化しても、その先の発注や精算が手作業のまま残るケースは非常に多く、導入後に気づくことになりがちです。

主な参照先

監修

伏見 匡矩

伏見 匡矩

株式会社エイチ 代表取締役社長

株式会社エイチ代表取締役社長。出張手配・会場手配の実務を起点に、申請・承認から購買実行までを一体で扱う1Approvalを立ち上げ、事業責任者としてプロダクト設計に携わる。承認されたあとの購買・手配をどう自動化するかという観点から、Microsoft 365を基盤とした申請・承認の設計を扱っている。

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