ワークフローシステム比較|3タイプの違いと選び方
ワークフローシステム14製品を、公表単価だけでなく最低利用人数まで含めて比較します。公表単価は300〜1,200円に収まりますが、10人で契約すると実効単価は500〜3,000円まで開きます。専用型・グループウェア内蔵型・業務プラットフォーム型の3タイプの違い、公表単価に含まれない機能、承認者を維持する6つの解き方、そして導入後も残る「承認の先」の課題まで整理しました。
ワークフローシステムの比較記事は数多くありますが、製品を横一列に並べた表を見ても選べないことがほとんどです。機能欄はどれも「多段階承認」「条件分岐」「代理承認」で埋まり、差が見えないからです。
実際の選定でつまずくのは、機能の有無ではありません。「すでに使っているkintoneやMicrosoft 365で足りるのか、専用製品を入れるべきか」という一段手前の問いです。ここを決めないまま製品比較に入ると、比較表を眺めるだけで話が進みません。
この記事では、製品を3つのタイプに分けたうえで、公表単価だけでは見えない2つの要素を足して比較します。ひとつは最低利用人数、もうひとつは公表単価に含まれない機能です。どちらも各社の価格ページには小さく書かれているだけですが、総額への効き方は単価の差より大きくなります。
記載内容は2026年10月時点の各社公開情報およびレビューサイトの公表値に基づきます。各製品の詳細は個別のレビュー記事に分けて整理しており、本記事からリンクしています。
この記事で扱うこと/扱わないこと
本記事は製品を横に並べて選ぶためのものです。次の3つは目的が違うため、別の記事に分けています。
| 知りたいこと | 読む記事 |
|---|---|
| そもそも何ができる仕組みなのか | ワークフローシステムとは?できることと限界 |
| 自社の総額はいくらになるのか | ワークフローシステムの費用相場|総額の出し方 |
| 承認ルートの型・提供形態の整理 | ワークフローの種類|承認ルートと提供形態 |
本記事で扱う料金は、各社が公表している単価を横に並べたものです。自社の人数と課金単位を当てはめた総額の計算は、費用相場の記事で扱います。
この記事の要点
- ワークフロー製品は専用型・グループウェア内蔵型・業務プラットフォーム型の3タイプに分かれ、比較すべきは製品同士ではなくまずタイプ。
- 市場シェアの公表値ではサイボウズ Office が13.28%、ジョブカンワークフローが7.98%、楽々WorkflowIIが7.05%、ワークフローEXが6.64%。上位が寡占しておらず、用途で分かれている市場。
- クラウド型の公表単価は1ユーザー月額300〜1,200円に収まる。ジョブカンワークフロー300円、Gluegent Flow 400円、コラボフロー/X-point Cloud/rakumo 500円、desknet’s NEO 600円、intra-mart 770円、Garoon 900円、Questetra 1,200円。
- ただし最低利用人数があるため、10人で契約すると実効単価は500〜3,000円まで開く。MAJOR FLOWは50ユーザ単位で3,000円、intra-martは最低20ユーザーで1,540円、Gluegent Flowは最低25IDで1,000円。単価の順位が入れ替わる。
- 公表単価に含まれない機能がある製品が複数ある。楽楽精算のAI-OCRと交通系IC連携、コラボフローの帳票出力とモバイルアプリ、Garoonの900円はグループウェア全体の価格、MAJOR FLOWは連携オプションの料金が非公開。
- 承認者を維持する方法は製品ごとに7通りに分かれる。人事マスタで追従(jinjer)、組織図の切り替えを予約(kickflow)、相対参照(AgileWorks)、役割に紐づける(desknet’s NEO)、押す回数を減らす(MAJOR FLOW)、帳票ごとに持つ(コラボフロー)、人事データに有効期間を設定する(ワークフローEX)。組織改編の頻度が高いほど、ここが総額を決める。
- すでにkintoneやMicrosoft 365を全社導入している企業は、まず標準機能(プロセス管理/Power Automate)で足りるかを検証するのが定石。専用製品の追加契約はその後で判断する。
- どのタイプを選んでも、「承認が降りた後」の発注・支払い・精算は対象外。ここが導入後に残りやすい課題で、選定時に見落とされやすい。
ワークフローシステムは3タイプに分かれる
製品名で比較する前に、自社がどのタイプを求めているかを決めます。そもそもワークフローシステムで何ができて何ができないのかはワークフローシステムとは?できることと限界に整理しています。なお「ワークフロー」という語自体が業務の手順・システムの承認機能・製品カテゴリの3つの意味で使われるため、社内で指しているものがずれている場合はワークフローの種類|承認ルートと提供形態を先にご覧ください。
| タイプ | 代表例 | 向いている企業 | 弱点 |
|---|---|---|---|
| 専用型 | ジョブカンワークフロー、コラボフロー、X-point Cloud/AgileWorks、楽々WorkflowII、kickflow、MAJOR FLOW、バクラク申請、ワークフローEX、Create!Webフロー | 稟議・申請の種類が多く、承認ルートが複雑な企業 | 申請承認以外の業務には使えない。システムが1つ増える |
| グループウェア内蔵型 | Garoon、desknet’s NEO、サイボウズ Office、rakumo ワークフロー/Gluegent Flow(Google Workspace連携) | すでにグループウェアを全社導入済みで、申請の種類が限られる企業 | 複雑な条件分岐や大規模な組織階層には限界がある |
| 業務プラットフォーム型 | kintone(プロセス管理)、Microsoft 365(Power Automate)、intra-mart、Questetra | 申請承認だけでなく、顧客管理や案件管理も同じ基盤で作りたい企業 | 承認フローは自分で設計・保守する必要がある |
この3つに収まらない製品もあります。jinjer ワークフローは統合型人事システムの中にあり、楽楽精算とマネーフォワードは経費精算を起点にワークフローへ広がった製品です。どのマスタの上に載っているかで性格が決まります。
専用型は承認業務に特化している分、組織改編への追随や代理承認、監査証跡といった実務要件が最初から揃っています。一方で、承認以外には使えないシステムが1つ増えます。
グループウェア内蔵型は追加契約が最小で済みます。ただし承認段階が増えたり、金額による分岐が複雑になると機能不足に直面します。
業務プラットフォーム型は柔軟性が最大ですが、承認ルートの設計と保守が自社の仕事になります。ここを軽く見ると、作った人が異動した途端に誰も触れないフローが残ります。
市場シェアと導入社数はどうなっているのか?
先に条件を書きます。ここで並べる「シェア」は売上シェアでも契約社数シェアでもありません。導入に携わった全国20〜60代1,717人へのインターネット調査(2025年3月18日〜20日)の回答構成比です。別の調査では、比較サイトに投稿されたレビュー件数の構成比をシェアと呼んでいる例もあり、両者は一致しません。数字の出どころごとの違いはワークフローのシェアとランキングは何の数字かで整理しています。
| 製品 | 回答構成比(アンケート) | 公表導入社数 |
|---|---|---|
| サイボウズ Office | 13.28% | — |
| ジョブカンワークフロー | 7.98% | 35,000社以上(シリーズ累計25万社) |
| 楽々WorkflowII | 7.05% | — |
| ワークフローEX | 6.64% | — |
| X-point Cloud / AgileWorks | — | シリーズ合計5,000社以上 |
| コラボフロー | — | 2,000社以上 |
| Create!Webフロー | — | 1,000社以上 |
注目すべきは、首位でもシェアが13%程度という点です。
出張管理(BTM)や経費精算では上位数社に集中する傾向がありますが、ワークフローは企業規模と既存環境によって最適解が分かれるため、寡占が起きていません。「シェア1位だから安心」という選び方が通用しにくい領域です。
なお導入社数は、シリーズ累計なのか単体なのか、契約企業なのか登録企業なのかが各社で異なります。そのまま並べて比較できる数字ではありません。
料金|公表単価は300〜1,200円に収まる
ここで並べるのは各社が公表している単価です。初期費用・オプション・自社工数まで足した総額の出し方はワークフローシステムの費用相場|総額の出し方で扱っています。
まず公表値を並べます。いずれも1ユーザー月額・税抜で、各製品の詳細はリンク先のレビュー記事にあります。
| 製品 | タイプ | 公表単価 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ジョブカンワークフロー | 専用 | 300円 | 他のジョブカン製品と併用で250円。無料プランあり |
| jinjer ワークフロー | 人事統合 | 300円〜 | 利用する製品と人数で決まる。単体では完結しない |
| Gluegent Flow | 専用 | 400円(ベーシック) | ビジネス500円、プレミアム1,200円 |
| X-point Cloud | 専用 | 500円 | 年額プリペイドは月換算475円 |
| コラボフロー | 専用 | 500円(スタンダード) | プレミアム800円 |
| rakumo ワークフロー | 内蔵型 | 500円 | Google Workspace(有料版)が別途必要 |
| 楽々WorkflowII | 専用 | 500円+月額1万円 | 初期5万円。オンプレは基本ライセンス250万円から |
| desknet’s NEO | 内蔵型 | 600円(ライト) | ワークフローは全プラン標準。初期費用0円 |
| MAJOR FLOW | 専用 | 600円相当 | 50ユーザまで30,000円。初期50,000円 |
| intra-mart Accel-Mart Quick | プラットフォーム | 770円 | 上位のAccel-Mart Plusは月額273,500円から |
| Garoon | 内蔵型 | 900円 | グループウェア全体の価格 |
| Questetra | BPM | 1,200円(Basic) | 年次支払で960円。2027年4月に改定予定 |
| バクラク申請 | 専用 | 月額10,000円から | 単価は非公表 |
| 楽楽精算 | 経費精算起点 | 月額30,000円から | 初期100,000円 |
| kickflow | 専用 | 非公開 | 中堅・大企業向け |
| ワークフローEX | 専用 | 非公開 | 第三者サイトには500円の掲載あり。人数無制限の無料プランがある |
| Create!Webフロー | 専用 | 500円 | 最低10ユーザー。連携オプションは契約単位の定額 |
300円から1,200円。4倍の幅はありますが、同じ土俵の数字に見えます。 ここで比較をやめると判断を誤ります。
最低利用人数を入れると、順位が入れ替わる
ほとんどの製品に最低利用人数または最低利用料金があります。実際に使う人数ではなく、その下限の人数分を払う契約です。
| 製品 | 最低利用の条件 |
|---|---|
| コラボフロー | 5ユーザー(最低利用期間2か月) |
| desknet’s NEO | 5ユーザー(1ユーザー単位で追加可) |
| Questetra | 月次支払は5ユーザー未満も5ユーザー分として計算 |
| ジョブカンワークフロー | 人数ではなく最低利用料金 月5,000円 |
| Garoon | 10ユーザー(1サブドメインの契約につき) |
| intra-mart Accel-Mart Quick | 20ユーザー(最小構成 月額15,400円) |
| Gluegent Flow | 25ID(プレミアムは100ID)。25名未満は要相談 |
| kickflow | 50ユーザー(比較サイト掲載情報) |
| MAJOR FLOW | 50ユーザ単位。追加も50ユーザ単位 |
| X-point Cloud / 楽々WorkflowII / rakumo | 公表なし(要問い合わせ) |
10人の会社がそれぞれを契約した場合の、1人当たりの実効単価を計算するとこうなります。
| 製品 | 公表単価 | 10人で契約した場合 | 1人当たり |
|---|---|---|---|
| コラボフロー | 500円 | 5,000円 | 500円 |
| X-point Cloud | 500円 | 5,000円 | 500円 |
| ジョブカンワークフロー | 300円 | 5,000円(最低利用料金) | 500円 |
| desknet’s NEO | 600円 | 6,000円 | 600円 |
| Garoon | 900円 | 9,000円 | 900円 |
| Gluegent Flow | 400円 | 10,000円(25ID分) | 1,000円 |
| Questetra | 1,200円 | 12,000円 | 1,200円 |
| intra-mart Accel-Mart Quick | 770円 | 15,400円(20ユーザー分) | 1,540円 |
| MAJOR FLOW | 600円相当 | 30,000円(50ユーザ分) | 3,000円 |
※公表されている単価と最低利用の条件から計算した値です。初期費用は含みません。kickflowは下限50ユーザーのため10人では契約できません。
最安と最高の差は、公表単価では4倍、10人で契約すると6倍になります。 そして順位が入れ替わります。公表400円のGluegent Flowは、10人では公表900円のGaroonより高くつきます。公表300円で最安のジョブカンワークフローは、最低利用料金があるため500円のコラボフローと並びます。
逆に人数が増えると差は縮みます。MAJOR FLOWは50人でちょうど600円、300人で350円です。人数の少ない会社ほど、単価表ではなく最低利用の条件を先に見てください。
公表単価に含まれていないもの
もうひとつ、単価表に出てこない差があります。その金額で何が使えるのかです。
| 製品 | 公表単価に含まれないもの |
|---|---|
| 楽楽精算 | 領収書読み取りのAI-OCR、交通系ICカード連携がオプション |
| コラボフロー | スタンダードでは帳票出力とモバイルアプリがオプション。プラグインはプレミアム以上 |
| Garoon | 900円はグループウェア全体の価格。ワークフロー単体の値段ではない |
| MAJOR FLOW | 電子帳簿保存法、申請書起票API、Garoon・kintone連携などのオプション料金が非公開 |
| desknet’s NEO | AppSuiteで申請書式を作る場合、作成者にAppSuiteライセンスが必要 |
| rakumo | Google Workspaceの有料版の費用が別途かかる |
| intra-mart | Accel-Mart Quickはカスタマイズと独自運用ができない。必要なら月額273,500円からのPlusへ |
| Create!Webフロー | 連携オプションがユーザー数に関係なく契約単位の定額。Teams連携 月15,000円、クラウドサイン連携 月30,000円 |
見積もりを取る前に、自社が必ず使う機能を5つ書き出してください。 そのうち何個が公表単価に含まれるかを各社に確認すると、単価表とは違う順位が出ます。
なお比較サイトの掲載価格は古いことが多いという問題もあります。本記事の執筆中にも、rakumoの掲載価格が公式より低いまま残っている例、MAJOR FLOWにブランド統合前の買い切り価格が残っている例を確認しました。料金は必ず公式ページで確認してください。
承認者を維持する方法は7通りに分かれる
機能欄はどれも「代理承認」「条件分岐」で埋まりますが、組織改編が起きたときに承認ルートをどう維持するかは製品ごとに考え方が違います。ここは機能一覧に現れません。
| 解き方 | 製品 | 仕組み |
|---|---|---|
| 人事マスタで追従させる | jinjer | 承認ルートが人事情報の上に載る。異動したら人事側の更新で追従する |
| 組織図の切り替えを予約する | kickflow | 新しい組織図を事前に登録し、切り替え日時を指定する |
| 相対参照で解決する | AgileWorks | プライベートロールで「申請者の2つ上」のように相対的に指定する |
| 役割に紐づける | desknet’s NEO | 「経理担当者」などの役割に経路を紐づけ、役割の中身を入れ替える |
| 押す回数を減らす | MAJOR FLOW | 同じ人が経路に複数回出る場合、連続承認で1回にまとめる |
| 帳票ごとに持つ | コラボフロー | 経路を帳票単位で組み、必要なものだけ直す |
| 人事データに有効期間を設定する | ワークフローEX | 改編を事前に登録し、期間が来たら切り替わる。帳票も世代管理できる |
| 承認者マスタを自前で持つ | kintone/Microsoft 365 | 自社でマスタを設計し、更新の運用も自社で担う |
組織改編が年に複数回ある企業は、ここが総額を決めます。 ライセンス費用より、ルートを直す工数のほうが大きくなるためです。承認者マスタの設計そのものは承認者マスタの作り方に整理しています。
逆に組織がほとんど動かない企業では、この軸は効きません。自社の改編頻度を先に数えてから、この表を読んでください。
なお総額を比べるときは、単価よりも課金単位(全社員を数えるのか、承認者だけを数えるのか)のほうが大きく効きます。5年での総額の出し方はワークフローシステムの費用相場|総額の出し方にまとめています。
既存のkintone・Microsoft 365で足りるのか?
すでにどちらかを全社導入している企業は、専用製品の検討より先にこの検証をしてください。追加契約が不要で済む可能性があります。
標準機能で実装しやすいもの
- 直列の多段階承認(申請者 → 上長 → 部門長 → 役員)
- 金額による承認者の分岐
- 全員承認の合議
- 承認履歴の記録
- チャット上での承認操作
これらはkintoneのプロセス管理でも、Microsoft 365のPower Automateでも標準機能の範囲で実装できます。
作り込みが必要になるもの
- 承認者マスタからの動的な取得
- 代理承認・不在時のエスカレーション
- 差し戻し後の再申請
- 条件付きの承認省略
内製だと重くなりやすいもの
- 組織改編への追随
- 合議体の動的な決定
- 稟議書の様式・版管理
- 監査用のレポート出力
- 承認ルートを非エンジニアが変更できる状態の維持
多くのプロジェクトは1層目だけを見て「作れる」と判断し、2層目と3層目の存在に運用開始後に気づきます。判断すべきは「作れるかどうか」ではなく「何年保守できるか」です。
詳細はPower Automateで稟議フローは作れる?内製の限界とkintoneのプロセス管理とは?仕組みと設計パターンで整理しています。
どう選べばいい?4つの判断軸
軸1:既存環境に承認基盤があるか
kintoneまたはMicrosoft 365を全社導入済みなら、まず標準機能でPoCを回します。ここで足りれば追加コストはゼロです。
この4軸で製品タイプを絞ったあと、クラウド型に決めた場合に各社へ投げるべき確認事項はクラウド型ワークフローシステムの比較と選び方に7点まとめています。
軸2:承認ルートの複雑さ
金額分岐が3段階以内、承認段階が3段階以内であれば、標準機能や内蔵型で足ります。これを超えると専用型が現実的になります。
軸3:組織改編の頻度
年に複数回の組織改編がある企業は、承認ルートの保守が最大のコストになります。組織マスタと連動して承認ルートが自動更新される仕組みを持つ専用型が向きます。
軸4:監査対応の要否
上場審査やJ-SOX対応が必要なら、証跡の保全とレポート出力が標準で備わっているかを確認します。内製だとここが最後まで残ります。
導入しても残る「承認の先」の課題
ここまでがワークフロー製品の選定です。ただし、どのタイプを選んでも解決しない領域があります。
ワークフローシステムが担うのは「申請から承認まで」です。承認が降りた後の発注・予約・支払い・経費精算は対象外です。
そのため、承認を電子化した企業でも次の作業が残ります。
- 承認済みの内容を見ながら、購買サイトや予約サイトで改めて発注する
- 承認待ちの間に価格や在庫が変わり、取り直して再申請する
- 立て替えた費用を経費精算システムに入力し直す
- 経理が承認レコードと請求書を手作業で突き合わせる
契約・承認業務でも同様の指摘があり、社内の承認プロセスを電子化しても最終段階で紙やPDFの運用がボトルネックとして残る、という課題が知られています。承認の電子化と、その先の業務の自動化は別の問題です。
この「承認の後ろ側」を担うのが1Approvalです。既存のワークフロー基盤(kintone・Microsoft 365・Teams)に接続し、承認が降りた瞬間に予約・発注・決済まで完結させます。ワークフロー製品と競合せず、併用する位置づけです。
実際に株式会社ユーグレナ様の事例では、承認と予約が別々だったために運用が定着しなかった既存システムから切り替え、出張前の調整作業が1時間以上から15〜20分に短縮されています。
よくある質問(FAQ)
ワークフローシステムのシェア1位はどこですか?
導入経験者1,717人へのアンケート(BOXIL、2025年3月)ではサイボウズ Office が13.28%で最多です。ただしこれは売上シェアではなく回答構成比で、首位でも13%程度。企業規模と既存環境によって最適解が分かれるため、シェアだけで選べる市場ではありません。詳しくはワークフローのシェアとランキングは何の数字かで扱っています。
料金の相場はいくらですか?
公表単価はクラウド型で1ユーザー月額300〜1,200円に収まります。ジョブカンワークフロー300円、Gluegent Flow 400円、コラボフローとX-point Cloudが500円、desknet’s NEO 600円、intra-mart 770円、Garoon 900円、Questetra 1,200円(いずれも税抜)。ただし最低利用人数があるため、少人数では実効単価が上がります。10人で契約すると500〜3,000円まで開きます。
最低利用人数は何人からですか?
製品によって5人から50人まで分かれます。コラボフロー・desknet’s NEO・Questetraが5ユーザー、Garoonが10ユーザー、intra-mart Accel-Mart Quickが20ユーザー、Gluegent Flowが25ID、kickflowとMAJOR FLOWが50ユーザーです。ジョブカンワークフローは人数ではなく最低利用料金 月5,000円という形です。MAJOR FLOWは追加も50ユーザ単位のため、51人目で月15,000円が丸ごと乗ります。
組織改編が多い場合はどの製品が向きますか?
承認者を維持する方法が製品ごとに違います。人事マスタで自動追従させるのがjinjer、組織図の切り替えを事前に予約できるのがkickflow、「申請者の2つ上」のような相対参照で解くのがAgileWorks、「経理担当者」などの役割に紐づけるのがdesknet’s NEOです。年に複数回の改編があるなら、ライセンス費用よりルートを直す工数のほうが大きくなります。
公表されている単価で全部使えますか?
製品によります。楽楽精算は領収書読み取りのAI-OCRと交通系ICカード連携がオプション、コラボフローはスタンダードだと帳票出力とモバイルアプリがオプション、Garoonの900円はグループウェア全体の価格です。MAJOR FLOWは連携オプションの料金自体が非公開です。自社が必ず使う機能を5つ書き出して、各社に含まれるかを確認してください。
kintoneのプロセス管理だけで足りますか?
直列の多段階承認、金額による分岐、合議までは標準機能で実装できます。組織改編への追随、代理承認、監査レポートが必要になると作り込みが重くなるため、そこが判断の分かれ目になります。
無料で使えるワークフローシステムはありますか?
ジョブカンワークフローには無料プランがあります。ただし利用人数や機能に制限があるため、本格運用の前に制限内容を確認してください。
ワークフローシステムを入れれば経費精算まで自動化できますか?
いいえ。ワークフローシステムが担うのは申請から承認までで、承認後の発注・支払い・経費精算は対象外です。この領域は経費精算システムや購買管理システム、あるいは承認と購買をつなぐ仕組みが別途必要になります。
まとめ
ワークフローシステムの選定は、製品を横に並べるところから始めると迷います。まず専用型・グループウェア内蔵型・業務プラットフォーム型のどのタイプを求めているかを決めてください。
そのうえで、既存環境(kintone・Microsoft 365)で足りるかを検証し、承認ルートの複雑さ・組織改編の頻度・監査対応の要否で絞り込みます。シェア1位でも13%程度という市場である以上、他社の選択がそのまま自社の正解にはなりません。
単価表は最後に見てください。 公表単価は300〜1,200円と4倍の幅ですが、最低利用人数を入れると10人の会社では500〜3,000円、6倍に開いて順位も入れ替わります。公表400円のGluegent Flowは10人では公表900円のGaroonより高くつき、公表600円相当のMAJOR FLOWは3,000円になります。少人数の会社ほど、単価ではなく最低利用の条件が総額を決めます。
さらに、その金額で何が使えるかも製品ごとに違います。AI-OCR、帳票出力、モバイルアプリ、連携オプション。自社が必ず使う機能を5つ書き出してから見積もりを取ると、単価表とは違う順位が出ます。
そして選定時に、承認が降りた後の業務をどう扱うかまで視野に入れておくことをおすすめします。承認を電子化しても、その先の発注や精算が手作業のまま残るケースは非常に多く、導入後に気づくことになりがちです。
製品ごとの詳細
本記事では横断的な比較軸だけを扱いました。各製品で何が決め手になるかは、個別のレビュー記事に分けて整理しています。
専用型
- ジョブカンワークフロー — 最低利用料金 月5,000円の損益分岐
- コラボフロー — Excel起点の設計と、公表単価に含まれない機能
- X-pointとAgileWorksの違い — 同一ベンダー内で規模別に出し分ける構成の読み方
- 楽々WorkflowII — オンプレミスとクラウドの総額が逆転する規模
- kickflow — 組織図の切り替えを予約する仕組み
- MAJOR FLOW — 50ユーザ単位の階段と、稟議特有の機能
- バクラク申請 — 支払いと仕訳までを射程に入れた設計
- ワークフローEX — Excelファイルをそのまま回付する設計と、その条件
- Create!Webフロー — 連携オプションが契約単位の定額であること、パッケージ版との損益分岐
グループウェア内蔵型
- Garoon — 経路分岐が「追加」ではなく「省略」で表現される設計
- desknet’s NEO — パッケージ版が現役で、3年総額はクラウドの3割前後
- rakumoとGluegent Flowの違い — 最低ID数と対応基盤が価格より先に効く
プラットフォーム型・その他
- intra-mart — Quick と Plus の間にある約18倍の断層
- Questetra — BPMとワークフローの分かれ目
- jinjer ワークフロー — 「どのマスタの上に載っているか」で選ぶ見方
- 楽楽精算 — 経費精算製品で稟議まで通せるかの線引き
- マネーフォワード — どの製品に何があるかの整理
- kintoneのプロセス管理 — 自分で設計する場合の仕組みと設計パターン
主な参照先
監修
伏見 匡矩
株式会社エイチ 代表取締役社長
株式会社エイチ代表取締役社長。出張手配・会場手配の実務を起点に、申請・承認から購買実行までを一体で扱う1Approvalを立ち上げ、事業責任者としてプロダクト設計に携わる。承認されたあとの購買・手配をどう自動化するかという観点から、Microsoft 365を基盤とした申請・承認の設計を扱っている。
経歴・運営者情報を見るこの記事のテーマ
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※記載されている会社名・製品名は各社の商標または登録商標です。