jinjer ワークフロー|異動に強い理由と料金
ジンジャーワークフロー(株式会社jinjer)は、統合型人事システムの中にあるワークフロー製品です。承認ルートが人事マスタの上に載っているため、異動や兼務が起きても人事側の更新で追従します。2025年9月に追加された兼務情報の自動反映、最大10段階の承認ルート、月額300円からという料金の読み方、そして「どのマスタの上に載っているか」で製品を選ぶ考え方を整理します。
ワークフロー製品を比較するとき、機能の一覧表を並べて差を探すのが普通の進め方です。しかし運用に乗せたあと、実際に負担になるのは機能の数ではありません。異動のたびに承認ルートを直す作業です。
ジンジャーワークフローは、ここを構造で解いている製品です。承認ルートが人事マスタの上に載っているため、組織や役職が変わったときに人事情報を更新すれば承認ルートが追従します。
本記事では公開情報をもとに機能と料金を整理したうえで、「どのマスタの上に載っているか」で製品を選ぶという見方を提示します。この軸で見ると、これまで比較しにくかった製品群が1本の線に並びます。
この記事の要点
- 提供元は株式会社jinjer。統合型人事システム「ジンジャー」のワークフロー製品です。
- 最大の特徴は人事情報をもとに承認ルートを設定できること。役職や所属部署をもとに、複数の申請を横断した共通の承認ルートを組めます。
- 承認ルートは最大10段階。組織・役職による柔軟な設定が可能と公表されています。
- 2025年9月11日、兼務情報を承認ルートに自動反映する機能が追加されました。兼務者は申請時に主務か兼務先かをプルダウンで選び、その所属に応じたルートが自動適用されます。
- 承認された申請の内容が人事データベースに自動反映されます。入社・異動・退社、住所や扶養家族の登録で発生していた二重入力が消えます。
- 料金は月額300円から。利用する製品と人数によって決まります。ワークフロー単体で完結する製品ではない点が読み方の鍵です。
- 選定の軸は機能数ではなく人事情報をどこで持っているか。ここが合えば強く、合わなければ他の製品のほうが素直です。
ジンジャーワークフローとは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供元 | 株式会社jinjer |
| 製品の位置 | 統合型人事システム「ジンジャー」のワークフロー製品 |
| 料金 | 月額300円から(利用製品と人数によって決定) |
| 承認ルート | 組織・役職による設定。最大10段階 |
| 対象業務 | 経費精算、稟議決裁など社内のあらゆる申請・承認 |
公表されている機能を整理します。
- 申請フォームの作成 — 自社のルールに合わせてカスタマイズ可能。チェックボックスやカレンダーなどの入力形式を選べます
- 承認ルートの設定 — 役職や所属部署などの人事情報をもとに、複数の申請を横断した共通の承認ルートを設定できます
- 申請の承認・回覧 — 申請書の回覧、承認・否認・回覧の一括対応、スマートフォンでの確認、PDF出力
- 申請情報のデータベース反映 — 承認後に人事データベースへ自動反映
- セキュリティ — IPアドレス制限、シングルサインオン対応、パスワードの各種設定
このうち、他社製品と性格が違うのは2つ目と4つ目です。順に見ます。
人事情報の上に載っていることの意味
ワークフロー製品の運用でもっとも確実に発生する作業は、組織改編と人事異動への追従です。承認者を直接指定する形で組んでいると、異動のたびにルートを開いて設定を直すことになります。
承認者マスタの設計|組織改編で壊れない承認ルートで整理したとおり、ここは設計で差が出る部分です。承認者をフローに直書きすると、組織改編のたびに設定本体を触ることになり、触れる人が1人に固定されます。
ジンジャーワークフローは、この問題を製品の構造で回避しています。承認ルートを「役職」「所属部署」といった人事情報の参照として組めるため、人事側で異動を登録すれば承認ルートが追従します。承認ルート専用のマスタを別に維持する作業が、原理的に発生しません。
さらに申請情報のデータベース反映が逆方向を埋めています。住所変更や扶養家族の申請が承認されると、その内容が人事データベースに入ります。通常は「申請を承認する」と「人事システムに入力する」が別作業ですが、それが1回で終わります。
この2つは、人事システムとワークフローが同じ基盤にあるからできることです。 別製品を連携させる構成では、ここまで素直にはなりません。
兼務という難所
2025年9月11日に追加された機能が、この製品の性格をよく表しています。
従来の問題として公表されているのはこうです。従業員の主な所属部署の情報しかシステムに反映されないため、兼務者が兼務先の立場で申請する際に、その都度手動で承認者を追加したり、兼務のパターンに応じた複雑な承認ルートを個別に作成する必要がありました。
新機能では、兼務者が申請時に自身の立場(主務または兼務先)に応じた所属をプルダウンから選択でき、その情報に基づいた承認ルートが自動で適用されます。
兼務は、承認ルートの設計でもっとも厄介な要件のひとつです。1人が2つの組織に属していると、「どちらの立場で出した申請か」によって承認者が変わります。多くの製品ではこれをルートを何本も作って分けることで解きますが、兼務のパターンが増えるたびにルートが増えていきます。
兼務に限らず、承認ルートが壊れる原因の整理は承認フローが回らないときの原因切り分けでも扱っています。組織の実態とマスタがずれたときに止まるという構造は共通です。
この機能が示しているのは、人事マスタに兼務情報があるなら、それを承認ルートに直接効かせればいいという設計思想です。ルートを増やすのではなく、参照する情報を増やして解いています。
料金の読み方
公表されているのは月額300円からで、利用製品と人数によって決定という形です。
ここが読み方の鍵になります。ジンジャーは統合型人事システムで、製品が分かれています。比較サイト上では次のような水準が示されています。
| 製品 | 月額(1人あたり) |
|---|---|
| ジンジャー人事評価 | 300円 |
| ジンジャー勤怠 | 400円 |
| ジンジャー給与 | 500円(アドバンスプラン1,100円) |
| ジンジャー経費 | 600円 |
| ジンジャー福利厚生 | 200円(1IDあたり) |
※比較サイト上の掲載値です。初期費用は要問い合わせ、最低利用期間12ヶ月、最低利用人数10人といった条件も掲載されています。正確な金額は提供元にご確認ください。
つまり、「月額300円から」はワークフロー単体の最小値であって、実際に使う構成の金額ではありません。この製品の強みは人事情報との一体化なので、人事マスタをジンジャー側で持つ構成にして初めて価値が出ます。そうすると勤怠や給与も含めた見積もりになります。
逆に言えば、人事システムを変える気がないなら、この製品の最大の強みは効きません。既存の人事システムを残したままワークフローだけ導入すると、人事情報の二重管理が始まります。それは製品が解こうとしている問題そのものです。
総額の出し方はワークフローシステムの費用相場|総額の出し方で整理しています。ジンジャーの場合、ワークフロー単体ではなく人事基盤としての総額で比較する必要があります。
「どのマスタの上に載っているか」で選ぶ
ここが本記事の結論です。ワークフロー製品は、どのマスタの上に載っているかで3つに分かれます。この軸で見ると、機能表では比較しにくかった製品が並びます。
| 土台 | 製品 | 異動が起きたとき |
|---|---|---|
| 人事マスタ | ジンジャーワークフロー | 人事情報を更新すれば承認ルートが追従する |
| 会計マスタ | 楽楽精算、マネーフォワード | 承認者は別に持つため、そちらの更新が必要 |
| 自分で持つ | intra-mart、楽々WorkflowII | 承認者マスタを誰かが直す |
それぞれに合う条件があります。
- 人事マスタの上が合うのは、申請の重心が人(組織・役職・在籍)にある場合です。入退社、異動、住所変更、各種届出。承認者が役職で決まる組織。
- 会計マスタの上が合うのは、申請の重心がお金にある場合です。経費精算、請求書の支払、購買稟議。承認の結果が仕訳になる利点が効きます。
- 自分で持つが合うのは、ルート設計の自由度が最優先で、かつ運用の担い手がいる場合です。合議や事前通知まで組めますが、維持する人が要ります。
ワークフローシステム比較|3タイプの違いと選び方では提供形態による3分類を扱いましたが、こちらは土台による分類です。実務ではこちらのほうが、導入後の運用コストを予測しやすい軸になります。
向く組織・向かない組織
向くのは、人事システムをこれから整える組織です。
- 勤怠や給与の管理をこれから見直す、または刷新する予定がある
- 組織改編や異動が頻繁で、承認ルートの維持が負担になっている
- 兼務者が多く、申請の立場によって承認者が変わる
- 入退社や住所変更などの人事系の申請が多い
この条件なら、人事基盤とワークフローを同時に整えられる利点が大きく効きます。承認ルートの維持が人事の日常業務に吸収されるため、情シスの作業が減ります。
向かないのは、人事システムを変えない前提の組織です。
- 既存の人事システムが基幹に組み込まれていて動かせない
- 申請の重心がお金(経費・支払)にあり、会計連携を重視する
- 承認ルートに合議や事前通知のような複雑な設計が必要
1つ目が該当する場合、人事情報の二重管理が発生します。製品の強みが消えるだけでなく、整合性を取る作業が新たに増えます。この点は導入前に必ず確認してください。
判断が分かれるのは、人事と経費の両方が重い組織です。人事系の申請も経費精算も量があるなら、どちらの土台に寄せるかの選択になります。件数が多いほうに寄せ、少ないほうを別製品か手運用で残すのが現実的な整理です。
よくある質問(FAQ)
承認ルートは何段まで組めますか?
最大10段階と公表されています。組織・役職による柔軟な設定が可能とされています。
兼務者の承認ルートはどう扱われますか?
2025年9月11日に追加された機能で、兼務者は申請時に主務か兼務先かをプルダウンで選択でき、その所属に基づいた承認ルートが自動で適用されます。それ以前は、兼務のパターンごとに個別の承認ルートを作る必要がありました。
ワークフローだけを契約できますか?
月額300円からという価格が示されていますが、利用製品と人数によって決まる形です。ただしこの製品の強みは人事情報との一体化にあるため、人事マスタを別システムで持ったままワークフローだけ入れると、強みが効きません。その構成を検討している場合は、人事情報をどちらで持つのかを先に決めてください。
既存の人事システムと連携できますか?
公開情報からは、具体的な連携方式を確認できませんでした。この点は総額と運用の両方に影響するため、提供元にご確認ください。
経費精算もできますか?
ジンジャーワークフローの対象業務として経費精算が挙げられています。あわせてジンジャー経費という製品もあります。経費精算が業務の中心なら、楽楽精算のような経費起点の製品と比較するのが妥当です。
承認した内容は人事データベースに入りますか?
入ります。申請情報のデータベース反映が機能として挙げられており、入社・異動・退社時や住所・扶養家族の情報登録で発生していた業務工数を削減すると公表されています。
異動のたびに承認ルートを直す必要はありませんか?
役職や所属部署などの人事情報を参照する形でルートを組めば、人事側の更新で追従します。ただしルートの組み方次第です。個人を直接指定する形で組めば、他の製品と同じように異動のたびに直すことになります。製品を入れれば自動的に解決するわけではなく、参照で組む設計にすることが前提です。
1Approvalでの実現方法
1Approvalは、いま使っている承認ワークフロー(Microsoft 365、Teams、Google Workspace、kintone)の上で、承認が降りた時点で発注や手配まで完了させる仕組みです。
ジンジャーワークフローと扱う場所が分かれています。
| 埋める領域 | |
|---|---|
| ジンジャーワークフロー | 誰が承認するか。人事情報から承認ルートを決める |
| 1Approval | 承認の先の実行。発注・手配を自動で完了させる |
承認ルートが人事情報で正確に決まっても、承認が降りたあとに誰かが購買サイトを開いて注文する工程は残ります。そこが1Approvalの範囲です。
- 承認と発注の間が消える — 承認後に注文し直す工程がなくなります
- 申請の入口が1つになる — 何をどこで買うかに関わらず同じ場所から申請できます
- 費用が法人一括請求にまとまる — 従業員の立替と領収書の回収が発生しません
- 既存の承認基盤をそのまま使う — 承認フローを置き換えません
承認者を正しく決める問題と、承認後に実行する問題は別です。 前者を人事情報で解く製品と、後者を埋める仕組みは、競合しません。
まとめ
ジンジャーワークフローは、統合型人事システムの中にあるワークフロー製品です。承認ルートが人事マスタの上に載っているため、役職や所属部署を参照する形でルートを組めば、異動は人事側の更新で追従します。承認ルート専用のマスタを維持する作業が原理的に発生しません。
承認ルートは最大10段階。複数の申請を横断した共通ルートを設定できます。2025年9月11日には兼務情報を承認ルートに自動反映する機能が追加され、兼務者は申請時に主務か兼務先かを選ぶだけで正しいルートが適用されます。承認された申請の内容は人事データベースに自動反映され、二重入力が消えます。
料金は月額300円からですが、利用製品と人数で決まります。ワークフロー単体の金額として読まないでください。 この製品の強みは人事情報との一体化なので、人事マスタをジンジャー側で持つ構成が前提です。
選定の軸は機能数ではなく、どのマスタの上に載っているかです。申請の重心が人にあるなら人事マスタの上、お金にあるなら会計マスタの上、ルート設計の自由度が最優先なら自分で持つ製品。この3分類で整理すると、導入後の運用コストが予測できます。
まず自社の申請を「人に関するもの」と「お金に関するもの」で数えてください。 多いほうが、寄せるべき土台です。
主な参照先
- ジンジャーワークフロー(公式)|株式会社jinjer
- ジンジャーワークフロー、兼務情報を承認ルートに自動反映できる機能をリリース(公式ニュース)
- ジンジャーワークフローのセキュリティ機能(公式)
- ジンジャー経費の価格|ITreview
- ジンジャー勤怠の料金プラン|アイミツSaaS
※本記事は2026年10月時点の公開情報をもとに整理したものです。製品別の月額は比較サイト掲載値を含み、初期費用や最低利用期間・最低利用人数の条件があります。正確な料金と最新の仕様は提供元にご確認ください。
監修
伏見 匡矩
株式会社エイチ 代表取締役社長
株式会社エイチ代表取締役社長。出張手配・会場手配の実務を起点に、申請・承認から購買実行までを一体で扱う1Approvalを立ち上げ、事業責任者としてプロダクト設計に携わる。承認されたあとの購買・手配をどう自動化するかという観点から、Microsoft 365を基盤とした申請・承認の設計を扱っている。
経歴・運営者情報を見るこの記事のテーマ
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