マネーフォワード ワークフロー|どの製品に何があるか
「マネーフォワード クラウドでワークフローを組みたい」と調べると、該当する単体製品が見つかりません。承認機能はクラウド経費・クラウド債務支払・クラウド契約に分かれて載っているためです。どの申請がどの製品に入るのか、料金と承認ステップ数、そしてどの製品にも載らない申請は何かを公開情報から整理します。
「マネーフォワードでワークフローを組めるらしい」と聞いて製品ページを探すと、たいてい手が止まります。「マネーフォワード クラウド ワークフロー」という名前の製品が存在しないからです。
承認機能そのものは確かにあります。ただしクラウド経費、クラウド債務支払、クラウド契約という3つの製品に分かれて載っているという形です。そのため「どれを契約すればいいのか」が、調べ始めの段階では見えません。
本記事では公開情報をもとに、どの申請がどの製品に入るのかを対応表として整理します。あわせて、どの製品にも載らない申請が何かまで扱います。ここを見落とすと、契約したあとに「この申請は結局Excelのまま」という状態が残ります。
この記事の要点
- 「ワークフロー」という単体製品はありません。承認機能はクラウド経費・クラウド債務支払・クラウド契約それぞれの中に組み込まれています。
- 立替の精算と購買申請はクラウド経費。料金は初期費用0円、年払いで月額2,480円から(ひとり法人プラン)です。
- 請求書の支払依頼と事前稟議はクラウド債務支払。最大10ステップの承認ワークフローに対応し、支払申請に事前稟議を紐づけられます。
- 契約書の締結申請はクラウド契約。債務支払側で契約番号を入れると、承認者が請求内容と契約内容を照合できます。
- 選定の軸は機能比較ではなく「その申請が仕訳に落ちるか」です。落ちる申請は強い。落ちない申請は、どの製品を契約しても載りません。
- 備品の購入手配、出張の手配のように承認後に実行をともなう申請は範囲外です。承認は取れても、発注は人が手でやります。
なぜ製品が見つからないのか
マネーフォワード クラウドは、会計を中心に製品が並ぶ構成です。ワークフローは製品ではなく、各製品が持つ機能のひとつとして設計されています。
これは思想として一貫しています。承認を取る目的が最終的に仕訳を正しく起票することだからです。経費を精算するなら経費の製品、請求書を払うなら債務の製品、契約を結ぶなら契約の製品。それぞれの会計処理に直結した場所に承認が置かれています。
逆に言えば、会計処理に直結しない申請は置き場所がありません。この性格が、選定での最大の分かれ目になります。
汎用のワークフロー製品がどういう設計を取るかはワークフローの種類|承認ルートと提供形態で整理しています。そちらは「申請の中身を問わない」方向、マネーフォワードは「申請の中身で製品を分ける」方向です。
製品別の対応表
| 申請の中身 | 載る製品 | 承認の特徴 |
|---|---|---|
| 経費精算、交通費、出張の精算 | クラウド経費 | 領収書のOCR自動入力、ICカード連携 |
| 購買申請、出張申請 | クラウド経費 | 全プランで利用可。分岐ルールは上位プラン |
| 請求書の支払依頼 | クラウド債務支払 | 最大10ステップ。金額による分岐 |
| 事前稟議(支払いの前段) | クラウド債務支払 | 支払申請に稟議を紐づけて確認できる |
| 契約書の締結 | クラウド契約 | 申請・承認・締結までを1本で |
| 備品の購入、物品の手配 | 該当なし | 購買申請として承認は取れるが、発注は手作業 |
| 入退社、押印以外の社内申請 | 該当なし | 仕訳に落ちないため置き場所が無い |
表の下3行が重要です。「承認を取れるか」と「業務が終わるか」は別です。
クラウド経費のワークフロー
従業員個人の申請を扱う製品です。経費精算が主ですが、出張申請や購買申請も載ります。
| 内容 | |
|---|---|
| 初期費用 | 0円 |
| ひとり法人プラン(1名) | 年払い月額2,480円/月払い3,980円 |
| スモールビジネスプラン(3名) | 年払い月額4,480円/月払い5,980円 |
| ビジネスプラン(5名) | 年払い月額6,480円/月払い7,980円 |
| 6名以上 | 1名につき月額500円の追加 |
| 無料期間 | 1ヶ月 |
※いずれも税抜です。
機能面では次が公表されています。
- 領収書のOCR自動入力 — スマホアプリで撮影した画像から明細を作ります
- ICカード連携 — 交通費の明細を自動で取得します
- 経費明細の自動取得 — クレジットカードや電子マネーの利用明細を取り込みます
- 各種ワークフロー — 全プランで利用できます
注意したいのは分岐ルールです。申請者の所属部署・役職や申請内容によって承認ルートを分けられますが、これは上位プランの機能として案内されています。「金額が10万円を超えたら部長を追加する」といった条件を使う前提なら、最小構成のプランでは足りない可能性があります。見積もりの段階で、必要な分岐を具体的に挙げて確認してください。
金額による経路分岐は申請系では避けて通れない要件です。段階的な承認の設計そのものは多段階承認と稟議ルートの設計で整理しています。
クラウド債務支払のワークフロー
こちらは取引先からの請求書を払うまでを扱う製品です。経費が「従業員の立替」なら、債務支払は「会社としての支払い」です。
公表されている特徴を整理します。
- 最大10ステップの承認ワークフロー — 承認階層が深い組織でも組めます
- 柔軟な分岐ルール — 「高額な支払いは上位の役職者の承認を得る」といった条件設定ができます
- 事前稟議との紐付け — 支払申請に稟議が紐づくため、承認者が「これは稟議済みの支出か」を確認できます
- 請求書の受領 — Web受け取り、メール自動取込、一括アップロード(50ファイルまで)、受領代行(オプション)
- AI-OCR — 支払先、支払期日、請求金額、適格請求書発行事業者登録番号を自動で読み取ります
承認ステップが10段までという点は、他社と比べて明示的な数字です。汎用ワークフロー製品でも10段を組めるものは多いのですが、「会計側の製品で10段」というのは珍しい部分です。
事前稟議との紐付けが、この製品の実務上の価値です。支払いの承認者が困るのは、金額が妥当かではなく「これは誰が、いつ、何のために決めた支出なのか」が分からない状態です。稟議が紐づいていれば、承認画面でそれが見えます。
同じ「稟議と支払いをつなぐ」という発想はバクラク申請とは?料金・機能・評判でも扱いました。両者はかなり近い場所を狙っています。違いは出発点で、バクラクは申請側から、マネーフォワードは会計側から同じ地点に向かっています。
料金は公開されていません。 製品ページには資料ダウンロードと問い合わせの案内があり、具体的な月額の記載は確認できませんでした。経費と違い、企業規模で見積もりが変わる製品という扱いです。
クラウド契約のワークフロー
契約書の申請・承認・締結を扱います。初期費用0円、月額2,480円からという水準が公表されています。
承認の文脈で押さえるべきは、債務支払との接続です。支払依頼の申請時に契約番号を入力すると、承認者が請求内容と契約内容を照合して承認できます。
これは地味ですが効く機能です。請求書の金額が契約と合っているかの確認は、本来は人が契約書を探してきて突き合わせる作業です。番号で参照できるなら、その手間が消えます。
選定の軸:仕訳に落ちるかどうか
ここが本記事の結論です。マネーフォワードのワークフローを検討するとき、機能を比較しても判断はつきません。見るべきは1点だけです。
その申請は、承認されたあと仕訳として会計に落ちるか。
落ちる申請なら、マネーフォワードは強いです。承認の結果がそのまま会計データになり、転記が発生しません。会計システムとの連携で整理したとおり、申請系と会計系の間の転記は最も無駄が出やすい工程です。それが構造的に消えます。
落ちない申請なら、製品を契約しても載りません。具体的には次のようなものです。
- 備品や消耗品の購入手配 — 承認は取れますが、誰かが購買サイトを開いて注文します
- 出張の手配 — 精算は載りますが、航空券とホテルの予約は別作業です
- 入退社の手続き — 仕訳に落ちません
- 社内の各種申請 — 稟議の形は取れても、会計イベントが無いものは居場所がありません
汎用のワークフロー製品を選ぶべきか、会計系の製品に寄せるべきかの判断はワークフローシステム比較とワークフローシステムの費用相場もあわせて見てください。
すでに会計で使っている場合の考え方
現実には「クラウド会計はもう入っている」という会社が多いはずです。その場合、判断は次の順になります。
- 仕訳に落ちる申請だけ先にマネーフォワード側へ寄せる — 経費精算、支払依頼、契約。ここは迷う必要がありません
- 残った申請を数える — 備品購入、出張手配、入退社、その他。何種類あり、月に何件動くかを出します
- 残りの量で決める — 数件なら紙やExcelのままでも成立します。量があるなら、別の受け皿が必要です
2を飛ばして「ワークフローはマネーフォワードで」と決めてしまうのが、よくある失敗です。契約後に残った申請の置き場所を探すことになります。
kintoneで会計側とつなぐ構成を取る場合は、Billitoneとは?kintone請求書連携の料金と機能でマネーフォワード クラウド請求書との双方向連携を扱っています。
よくある質問(FAQ)
「マネーフォワード クラウド ワークフロー」という製品はありますか?
ありません。承認機能はクラウド経費、クラウド債務支払、クラウド契約それぞれの中に組み込まれています。検索して製品ページが見つからないのは、探し方の問題ではありません。
経費精算以外の申請も載せられますか?
出張申請や購買申請はクラウド経費に載ります。ただし承認を取るところまでです。承認後の手配や発注は対象外になります。
承認は何段まで組めますか?
クラウド債務支払は最大10ステップと公表されています。クラウド経費については、公開情報から上限の数字を確認できませんでした。承認階層が深い組織なら、見積もりの段階で必要な段数を伝えて確認してください。
金額で承認者を変えられますか?
できます。クラウド債務支払は「高額な支払いは上位の役職者の承認を得る」といった分岐ルールに対応しています。クラウド経費も分岐ルールに対応しますが、上位プランの機能として案内されているため、必要な分岐を挙げてプランを確認するほうが確実です。
稟議だけをマネーフォワードで動かせますか?
支払いにつながる稟議なら、クラウド債務支払の事前稟議として扱えます。支払いにつながらない稟議(組織変更、規程の改定、設備の使用許可など)は、会計イベントが無いため置き場所がありません。
専用のワークフロー製品と比べて安いですか?
申請の種類が会計系に限られるなら、別製品を足さずに済むぶん安くなります。ただし会計に落ちない申請が多い会社では、マネーフォワードに加えてもう1つ契約することになり、合計では高くなります。申請の内訳を数えてから比較してください。
クラウド債務支払の料金はいくらですか?
公開されていません。製品ページには資料ダウンロードと問い合わせの案内があり、具体的な月額の記載は確認できませんでした。クラウド経費やクラウド契約と違い、規模で見積もりが変わる扱いです。
1Approvalでの実現方法
1Approvalは、いま使っている承認ワークフロー(Microsoft 365、Teams、Google Workspace、kintone)の上で、承認が降りた時点で発注や手配まで完了させる仕組みです。
マネーフォワードと扱う方向が分かれています。
| 埋める領域 | |
|---|---|
| マネーフォワード クラウド | お金の処理。承認されたデータが仕訳として会計に落ちる |
| 1Approval | モノの調達。承認が降りたあとの発注・手配を実行する |
本記事で「どの製品にも載らない」とした申請、つまり備品の購入手配や出張の手配が、こちらの範囲です。
- 承認と発注の間が消える — 承認後に誰かが購買サイトを開いて注文し直す工程がなくなります
- 申請の入口が1つになる — 何をどこで買うかに関わらず同じ場所から申請できます
- 費用が法人一括請求にまとまる — 従業員の立替と領収書の回収が発生しません
- 既存の承認基盤をそのまま使う — 承認フローを置き換えません
立替が発生しなければ、経費精算そのものが要らなくなります。マネーフォワード側で処理する件数を減らす方向の組み合わせになります。
まとめ
マネーフォワード クラウドに「ワークフロー」という単体製品はありません。承認機能はクラウド経費・クラウド債務支払・クラウド契約の3製品に分かれて載っています。
立替の精算と購買申請はクラウド経費で、初期費用0円、年払い月額2,480円からです。請求書の支払依頼と事前稟議はクラウド債務支払で、最大10ステップの承認と支払申請への稟議紐付けに対応します。契約書の締結はクラウド契約で、債務支払側から契約番号で参照できます。
選定の軸は機能比較ではありません。その申請が仕訳に落ちるかどうかです。落ちる申請なら、承認の結果がそのまま会計データになり転記が消えます。落ちない申請は、どの製品を契約しても載りません。
まず自社の申請を、仕訳に落ちるものと落ちないものに分けて数えてください。落ちるものはマネーフォワードに寄せて迷う必要がありません。落ちないものが何件あるかが、もう1つ必要かどうかを決めます。
主な参照先
- マネーフォワード クラウド経費 料金・プラン(公式)
- マネーフォワード クラウド債務支払(公式)
- ワークフロー設定|マネーフォワード クラウド債務支払 使い方ガイド
- クラウド型ワークフローシステムの主な機能や導入のメリット|マネーフォワード クラウド
- マネーフォワード クラウド債務支払とは?料金や機能・特徴を解説|ASPIC
※本記事は2026年10月時点の公開情報をもとに整理したものです。料金は税抜表示で、プランの構成や機能の提供範囲は変更される場合があります。最新の内容と見積もりは提供元にご確認ください。
監修
伏見 匡矩
株式会社エイチ 代表取締役社長
株式会社エイチ代表取締役社長。出張手配・会場手配の実務を起点に、申請・承認から購買実行までを一体で扱う1Approvalを立ち上げ、事業責任者としてプロダクト設計に携わる。承認されたあとの購買・手配をどう自動化するかという観点から、Microsoft 365を基盤とした申請・承認の設計を扱っている。
経歴・運営者情報を見るこの記事のテーマ
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