楽楽精算 ワークフロー|稟議も通せるのか
楽楽精算(株式会社ラクス)は経費精算システムですが、公式機能として汎用ワークフローを持っています。稟議書など経費以外の申請書も作れるため「ワークフローシステムを別に買わなくて済むのか」が論点になります。初期費用10万円・月額3万円からという料金の読み方、AI-OCRと交通系ICカード連携がオプションである点、そして名前の似た楽々WorkflowIIとの違いまで整理します。
「楽楽精算 ワークフロー」で検索する人は、だいたい2種類に分かれます。
ひとつは楽楽精算を導入済みで、経費以外の申請もこれで回せるかを知りたい人。もうひとつは名前を取り違えている人です。楽楽精算と似た名前の「楽々WorkflowII」という別会社のワークフロー専用製品があり、こちらを探していたというケースが混ざります。
本記事は前者を主に扱います。結論から書くと、楽楽精算には公式機能として汎用ワークフローがあり、稟議書など経費以外の申請書も作れます。ただし「どこまで寄せるべきか」には線があります。その線と、料金の読み方を公開情報から整理します。
この記事の要点
- 提供元は株式会社ラクス。楽楽精算は経費精算システムですが、汎用ワークフローを公式の機能として持っています。
- 利用者のレビューでは、稟議書など社内の申請書を楽楽精算で作成しているという報告があります。経費精算専用という理解は、やや狭いです。
- 料金は初期費用100,000円、月額30,000円から(いずれも税抜)。月額はユーザー数とオプション内容に応じて変動します。
- 注意点として、領収書読み取りのAI-OCRと交通系ICカード連携はオプションです。経費精算で期待する機能が月額30,000円に含まれているとは限りません。
- 電子帳簿保存法対応としてタイムスタンプ付与・検索機能・一括検証機能を搭載。インボイス制度にも対応しています。
- 判断の軸は申請の重心です。お金に近い申請が中心なら楽楽精算で兼ねられます。人事や設備のようにお金から遠い申請が多いなら、専用のワークフロー製品の領域です。
- 楽楽精算(ラクス)と楽々WorkflowII(住友電工情報システム)は別会社の別製品です。
まず製品を取り違えていないか
先にここを片付けます。名前が近い2製品があります。
| 楽楽精算 | 楽々WorkflowII | |
|---|---|---|
| 提供元 | 株式会社ラクス | 住友電工情報システム |
| 出発点 | 経費精算 | ワークフロー専用 |
| 得意 | 精算・仕訳・会計連携 | 複雑な稟議ルートの設計 |
資本関係のない別会社の別製品です。「楽楽精算でワークフローを」と検討していたのに、比較記事で出てきた機能説明が楽々WorkflowIIのものだった、という取り違えが起こります。
複雑な稟議ルート、事前通知(根回し)、合議、条件分岐といった設計の自由度を求めているなら、楽々WorkflowIIとは?料金・機能・評判のほうが近い製品です。オンプレミス版とクラウド版の5年総額の分岐点まで、そちらで出しています。
楽楽精算の汎用ワークフロー
公式に掲載されている機能を並べます。
| 機能の領域 | 内容 |
|---|---|
| 経費精算 | 領収書読み取り |
| 交通費精算 | ICカード連携、定期区間控除 |
| 請求書支払処理 | 受領から支払処理まで |
| 会計連携 | 自動仕訳、幅広い会計ソフトと連携 |
| 汎用ワークフロー | 各種申請書を自由に作成・承認フロー設定 |
| 法対応 | 電子帳簿保存法(タイムスタンプ付与・検索機能・一括検証機能)、インボイス制度 |
| その他 | AI機能、クレジットカード・プリペイドカード連携、スマートフォン対応 |
汎用ワークフローが機能一覧に明記されている点が本記事の出発点です。経費精算専用の製品だと思って候補から外すのは、やや早いです。
利用者のレビューでも、社内の申請書(稟議書など)をすべて楽楽精算で作成できた、交通費などの経費精算から稟議関連、社内のその他申請まで解決できたという報告が出ています。承認者のコメントを残す機能もあると報告されています。
また、プロジェクトごとに承認者を設定できるという特徴も挙げられています。直属の上司だけでなく案件ごとに適切な承認者を置ける形で、部門階層と案件責任者がずれる組織では効きます。
承認ルートの型そのものの整理はワークフローの種類|承認ルートと提供形態、段数が深い場合の設計は多段階承認と稟議ルートの設計で扱っています。
料金の読み方
公表されている価格はこうです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 初期費用 | 100,000円(税抜)。専用アカウント発行と専任担当による導入支援を含む |
| 月額費用 | 30,000円から(税抜)。ユーザー数とオプション内容に応じて変動 |
月額に含まれるものとして、申請ルール違反の自動ブロック、申請内容に応じた仕訳の自動完了、幅広い会計ソフトとの連携が挙げられています。
ここで注意が必要なのはオプションの扱いです。
- スマートフォンでの領収書読み取りAI-OCR — オプション
- 交通系ICカード連携 — オプション
この2つは、経費精算システムを導入する動機としてよく挙がる機能です。それが月額30,000円の外側にあります。「月額3万円から」という数字を見て総額を見積もると、ずれます。
見積もりを取るときは、使う機能を先に列挙してからにしてください。領収書をスマホで撮るのか、ICカードを連携するのか、何人が使うのか。この3つが総額を決めます。
総額の出し方そのものはワークフローシステムの費用相場|総額の出し方で整理しています。初期費用と月額、オプション、そして運用に乗せるまでの社内工数を足して比較する形です。
なお実績として、累計導入社数No.1、ラクスのクラウドサービス累計導入社数108,000社以上、利用継続率99%が公表されています。
どこまで寄せるべきか:申請の重心
ここが実務的な判断です。汎用ワークフローがあるからといって、社内のすべての申請を楽楽精算に寄せるのが正解とは限りません。
軸は1本です。その申請の重心が、お金に近いかどうか。
寄せたほうがいい申請
- 経費精算、交通費精算 — 本来の領域です
- 請求書の支払処理 — 自動仕訳まで一気につながります
- 購買稟議、出張申請 — 最終的に支払いが発生するため、精算と同じ場所にあると二度手間が消えます
お金に着地する申請は、承認の結果がそのまま仕訳になるという利点が効きます。申請系と会計系の間の転記は最も無駄が出やすい工程です(会計システムとの連携で整理しています)。それが構造的に消えます。
無理に寄せなくていい申請
- 人事関連、入退社の手続き
- 設備の使用許可、備品の貸出
- 規程の改定、組織変更の決裁
これらは仕訳に落ちません。汎用ワークフローで形は作れますが、経費精算システムの中に置く理由が弱くなります。項目設計も、会計の軸で作られた製品の上では窮屈になりがちです。
同じ「会計側の製品でワークフローをどこまで兼ねるか」という論点はマネーフォワード ワークフロー|どの製品に何があるかでも扱いました。あちらは製品が3つに分かれている形、楽楽精算は1製品で汎用機能を持つ形です。楽楽精算のほうが「兼ねる」方向には素直です。
向く組織・向かない組織
向くのは、申請の大半がお金に関わる中小〜中堅企業です。
- 経費精算と交通費精算が業務の中心
- そこに購買稟議と出張申請が乗っている
- ワークフロー専用製品を別に契約する予算と運用体力はない
- 会計ソフトとの連携を重視する
この条件なら、1製品で済むぶん運用が軽くなります。管理するシステムが1つ減るのは、情シスが兼任の組織では大きい差です。
向かないのは、お金から遠い申請が多い組織です。
- 人事・労務の申請が数十種類ある
- 稟議のルートに例外が多く、合議や事前通知が必要
- 申請の種類ごとに画面も項目も大きく違う
この条件ならジョブカンワークフローや楽々WorkflowIIのような専用製品、あるいは開発基盤型のほうが素直です。
判断が分かれるのは、お金の申請が7割、それ以外が3割という配分です。この場合、3割を紙やExcelで残すか、2製品を契約するかの選択になります。3割の件数を数えてから決めてください。 月に数件なら残しても成立します。
よくある質問(FAQ)
楽楽精算で稟議書を作れますか?
作れます。汎用ワークフローが公式の機能として掲載されており、利用者のレビューでも稟議書を含む社内の申請書を楽楽精算で作成しているという報告があります。
楽楽精算と楽々WorkflowIIは同じ会社の製品ですか?
別の会社の別製品です。楽楽精算は株式会社ラクス、楽々WorkflowIIは住友電工情報システムが提供しています。名前が似ているため混同されますが、前者は経費精算を出発点とする製品、後者はワークフロー専用の製品です。
月額30,000円で全機能が使えますか?
いいえ。スマートフォンでの領収書読み取りAI-OCRと交通系ICカード連携はオプションです。月額はユーザー数とオプション内容に応じて変動します。使う機能を列挙してから見積もりを取ってください。
何人から使えますか?
公式には「ユーザー数に応じて変動」と記載されており、最低人数の明示は確認できませんでした。月額30,000円からという水準をユーザー数で割ると、人数が少ない組織では1人あたりの実効単価が上がります。
電子帳簿保存法に対応していますか?
対応機能として、タイムスタンプ付与・検索機能・一括検証機能が搭載されていると公表されています。インボイス制度にも対応しています。
ワークフロー専用製品と比べて機能は劣りますか?
比べる軸によります。承認ルートの設計の自由度(合議、事前通知、運用中のルート変更など)では専用製品が上です。一方、承認の結果が自動仕訳として会計に落ちる部分は、専用のワークフロー製品にはない強みです。どちらが欠けると困るかで決めるのが実務的です。
承認後の発注まで自動化できますか?
いいえ。楽楽精算が扱うのは申請・承認と、その結果の精算・仕訳です。承認が降りたあとに実際に物を買う、宿を取るという工程は含まれません。そこは別の仕組みが必要です。
1Approvalでの実現方法
1Approvalは、いま使っている承認ワークフロー(Microsoft 365、Teams、Google Workspace、kintone)の上で、承認が降りた時点で発注や手配まで完了させる仕組みです。
楽楽精算と扱う場所が分かれています。
| 埋める領域 | |
|---|---|
| 楽楽精算 | 立替が起きたあと。精算を速くし、仕訳まで自動で落とす |
| 1Approval | 立替が起きる前。承認の時点で発注・手配を終わらせる |
ここが組み合わせとして噛み合う部分です。
- 承認と発注の間が消える — 承認後に誰かが購買サイトを開いて注文し直す工程がなくなります
- 申請の入口が1つになる — 何をどこで買うかに関わらず同じ場所から申請できます
- 費用が法人一括請求にまとまる — 従業員の立替と領収書の回収が発生しません
- 既存の承認基盤をそのまま使う — 承認フローを置き換えません
立替が発生しなければ、その分の精算は不要になります。 楽楽精算を速くするのではなく、楽楽精算で処理する件数そのものを減らす方向の組み合わせです。立替をなくす考え方は立替精算をなくすで詳しく扱っています。
まとめ
楽楽精算は経費精算システムですが、汎用ワークフローを公式の機能として持っています。稟議書など経費以外の申請書も作れるため、「ワークフロー製品を別に契約するか」は実際に検討の余地があります。
料金は初期費用100,000円、月額30,000円から(税抜)。ただし領収書読み取りのAI-OCRと交通系ICカード連携はオプションです。月額の数字だけで総額を見積もると外れます。使う機能を列挙してから見積もりを取ってください。
判断の軸は申請の重心です。お金に近い申請が中心なら、1製品で兼ねられるぶん運用が軽くなります。人事や設備のようにお金から遠い申請が多いなら、専用のワークフロー製品の領域です。
配分が7対3のような場合は、残る3割の件数を数えてから決めてください。月に数件なら残しても成立し、量があるなら2製品目が必要になります。
そして名前の確認を忘れないでください。楽楽精算(ラクス)と楽々WorkflowII(住友電工情報システム)は別会社の別製品です。複雑な稟議ルートの設計を求めているなら、探しているのは後者かもしれません。
主な参照先
※本記事は2026年10月時点の公開情報をもとに整理したものです。料金は税抜表示で、プランの構成やオプションの提供範囲は変更される場合があります。利用者レビューに基づく記述はその旨を明記しています。最新の内容と見積もりは提供元にご確認ください。
監修
伏見 匡矩
株式会社エイチ 代表取締役社長
株式会社エイチ代表取締役社長。出張手配・会場手配の実務を起点に、申請・承認から購買実行までを一体で扱う1Approvalを立ち上げ、事業責任者としてプロダクト設計に携わる。承認されたあとの購買・手配をどう自動化するかという観点から、Microsoft 365を基盤とした申請・承認の設計を扱っている。
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