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Garoonのワークフロー|標準機能と限界

Garoonの標準ワークフローは、経路を追加する設計ではなく「最大構成の経路を作り、条件を満たすステップを省略する」設計です。この向きを理解しないと、金額分岐の設計で手が止まります。公式ヘルプから経路分岐の仕様を整理し、クラウド版の料金、パッケージ版の販売終了時期、そして標準で足りないときに載る製品までを扱います。

Garoonのワークフロー|標準機能と限界

Garoonには標準でワークフロー(申請)機能があります。だから「まずこれで足りるか」を確認するのが順序として正しいのですが、設計を始めると手が止まる箇所があります。金額による分岐です。

原因は分岐の仕組みです。Garoonの経路分岐は経路を追加する方式ではなく、ステップを省略する方式です。つまり「100万円以上なら役員を追加する」とは書けません。「最初から役員を入れておいて、100万円未満なら飛ばす」と読み替える必要があります。

本記事では公式ヘルプから経路分岐の仕様を整理し、クラウド版の料金、パッケージ版の販売終了時期、そして標準で足りないときに何が載るのかまで扱います。

この記事の要点

  • 経路分岐の条件に使える項目はメニュー/数値または自動計算/ラジオボタン/チェックボックスの4種類で、いずれも申請フォームの入力値です。
  • 分岐は「経路」項目で、条件を満たす場合に省略する経路ステップのチェックを外す形で設定します。追加ではなく省略です。
  • 経路分岐条件は一覧の上から順に適用されます。並び順が結果を変えるため、順番の管理が要ります。
  • 削除した経路分岐条件は元に戻せません。
  • 設定画面は管理権限を持つユーザーのみが使えます。現場の担当者に編集を任せる構成は取れません。
  • クラウド版の料金は1ユーザー月額900円(年額10,800円)。1サブドメインの契約につき最低10人、1,001ユーザー以上は問い合わせです。
  • kintoneを併用する場合は専用コースがあり、ライト1,000円/スタンダード1,800円/ワイド3,000円(ワイドは1,000ユーザーから)。
  • パッケージ版は2027年10月より順次ライセンス販売を終了し、2033年1月末でサポート終了と公表されています。
  • 900円はグループウェア全体の価格です。ワークフロー単体の価格ではありません。

経路分岐の仕組み

ここが本記事の中心です。公式ヘルプの記述から整理します。

条件に使えるのはフォームの入力値

分岐条件は項目タイプによって設定方法が異なり、次の4つが挙げられています。

項目タイプ分岐のしかた
メニュー申請者が選んだ選択肢を、設定した選択肢と比較して分岐
数値、または自動計算申請者の入力値または計算値を、設定した値と比較して分岐
ラジオボタン申請者が選んだ選択肢を、設定した選択肢と比較して分岐
チェックボックスチェックボックスを選択したかどうかで分岐

4つはいずれも「申請フォームの入力値」です。 金額を数値項目に入れて分岐する、区分をメニューで選ばせて分岐する、という形になります。

したがって申請者の所属や役職を自動で判定して分岐させたい場合は、フォームにその項目を置いて選ばせる設計になります。ユーザー属性から自動で判定する方式については、公開されている経路分岐条件のページでは確認できませんでした。要件として重要なら提供元にご確認ください。

この点は他製品と性格が分かれます。jinjer ワークフロー|異動に強い理由と料金は役職や所属部署などの人事情報をもとに承認ルートを組む方向、X-pointとAgileWorksの違いで扱ったAgileWorksのプライベートロールは「申請者から見た相対的な上長」を参照する方向です。

分岐は「省略」で表現する

ここが設計の向きを決めます。

公式ヘルプには、「経路」項目では分岐条件を満たす場合に省略する経路ステップのチェックボックスの選択を外すと記載されています。

つまり手順はこうなります。

  1. いちばん長い経路(最大構成)を先に作る — 申請者 → 課長 → 部長 → 役員
  2. 分岐条件を登録し、条件を満たしたときに飛ばすステップを指定する

結果として、次のような読み替えが必要になります。

やりたいことGaroonでの書き方
100万円以上なら役員を追加最初から役員を入れ、100万円未満なら役員を省略
10万円未満は課長だけで完結最初から役員まで入れ、10万円未満なら部長と役員を省略

要件の書き方をそのまま設定に写すと、噛み合いません。 「上限側から考える」という向きに直す必要があります。

金額基準そのものをどう決めるかは職務権限規程の作り方|決裁金額の決め方で整理しています。規程を先に固めてから設定に入ると、この読み替えが楽になります。

適用順序が結果を変える

経路分岐条件は、経路分岐条件一覧の上から順に適用されます。順番は変更できます。

複数の条件を並べるときは、この順序を意識する必要があります。たとえば「10万円未満」と「100万円未満」の2条件を置いた場合、順序によって5万円の申請がどちらに当たるかが変わります。

設定が増えるほど、順序の管理が負担になります。 条件を追加するときは、既存の条件との前後関係を毎回確認してください。

元に戻せない操作がある

公式ヘルプには削除した経路分岐条件は元に戻せないと記載されています。

運用に入ったあとの整理作業では、ここが効きます。使っていないと思って消した条件が、実は特定の申請種別で効いていた、という事故は起こり得ます。削除の前に、どのフォームで使われているかを確認してください。

設定できるのは管理権限を持つユーザーのみ

設定画面は管理権限を持つユーザーの画面にのみ表示されます。

つまり現場に編集を任せる構成は取れません。 申請フォームや経路の変更は、すべて管理者に集まります。

これは運用コストに直結します。承認者マスタの設計|組織改編で壊れない承認ルートで書いたとおり、設定を触れる人が限られる状態は、その人が異動した時点で止まります。rakumoとGluegent Flowの違いで扱ったGluegent Flowは、部署やカテゴリ単位で編集権限を委譲できる方向で、ここが対照的です。

料金

公式の料金ページに掲載されている価格です。

Garoon クラウド版

項目内容
基本料金1ユーザー月額900円(年額10,800円)
対象1,000ユーザーまで。1,001ユーザー以上は問い合わせ
最低利用人数1サブドメインの契約につき10人

kintone併用コース

コース月額年額条件
ライトコース1,000円12,000円10ユーザーから
スタンダードコース1,800円21,600円10ユーザーから
ワイドコース3,000円36,000円1,000ユーザーから

いずれも1ユーザー単位・税別です。

読み方で1つ重要な点があります。900円はグループウェア全体の価格です。 スケジュール、掲示板、メール、ファイル管理などを含む価格であって、ワークフロー単体の価格ではありません。

だから他のワークフロー製品と単価で並べるのは適切ではありません。ワークフローシステムの費用相場|総額の出し方で整理したとおり、比較するなら同じ範囲で揃える必要があります。グループウェアをこれから入れるなら900円の中にワークフローが含まれる形、すでに別のグループウェアがあるなら専用のワークフロー製品を足す形、という比較になります。

kintoneのコース選びはkintoneライト・スタンダード・ワイドの違いを徹底比較で扱っています。

パッケージ版の終了時期

検討にあたって見落とせない情報です。公式の料金ページに次の記載があります。

  • 2027年10月より順次ライセンスの販売を終了
  • 2033年1月末をもってサポート終了

パッケージ版でワークフローを作り込んでいる場合、移行を前提に置く必要があります。申請フォームと経路は作るのに時間がかかる資産なので、移行時に何が引き継げるかを早めに確認しておくと判断が楽になります。

これから導入するなら、クラウド版を前提に検討するのが素直です。

標準で足りるとき・足りないとき

ここまでの仕様から条件を出します。

標準で足りるのは、次の条件が揃う場合です。

  • 申請の種類が少なく、フォームの数が増えない
  • 分岐がフォームの入力値(金額、区分の選択)で決まる
  • 設定の管理を情シスや管理部門に集める前提でよい
  • 経路は申請種別ごとに作って構わない
  • グループウェアとしてGaroonを使う(または導入予定がある)

この条件なら、追加のライセンスなしでワークフローが成立します。これは小さくない利点です。

足りなくなるのは、次のどれかが要件になったときです。

要件標準での扱い
申請者の所属や役職から自動で承認者を決めたい公開ヘルプでは確認できず。フォームで選ばせる形になる
現場に編集権限を渡したい設定は管理権限を持つユーザーのみ
経路を複数業務で共通化したい申請フォームごとに経路分岐条件を設定する形
合議や多数決(3名のうち2名の承認など)公開情報から確認できませんでした
既存のExcel様式をそのまま使いたい公開情報から確認できませんでした

下2つは「できない」と断定できるだけの情報が取れていません。要件なら提供元に確認してください。

足りないときに載る製品

Garoonは外部のワークフロー製品と連携する構成が取れます。公開資料で連携を確認できたものを挙げます。

製品連携本記事での位置
X-point Cloud/AgileWorksGaroonとのシングルサインオン連携(公開資料に明記)Excel/PDFの様式取込、共通承認ルート、組織改編への機能群
コラボフローGaroon連携(販売元サイトに記載)Excel起点のフォーム、5ユーザー・2か月から

この2つは、上の「足りなくなる要件」を埋める方向にあります。 X-point Cloudは複数業務で共通の承認経路を使い回せる設計、AgileWorksは組織改編への対応機能(書類移管・組織移管・権限移譲、検証環境)を持ちます。コラボフローはExcelで作った様式をそのまま持ち込めます。

他の製品についても連携している可能性はありますが、公開資料でGaroon連携を確認できたのはこの2社でした。候補にする場合は各提供元にご確認ください。

ワークフロー製品の全体像はワークフローシステム比較|3タイプの違いと選び方で整理しています。

kintoneのプロセス管理との違い

同じサイボウズですが、別の仕組みです。

Garoonのワークフローkintoneのプロセス管理
位置グループウェアの申請機能業務アプリのレコードに付く状態遷移
設計の単位申請フォームと経路アプリとステータス
向く用途定型の申請(稟議、各種届出)業務データを扱いながら承認も回す

kintoneのプロセス管理の仕組みはkintoneのプロセス管理とは?仕組みと設計パターン、標準で届かない部分はkintone承認プラグイン比較|標準機能との差で扱っています。

併用コースがあるため、両方を使う構成は取りやすいです。申請はGaroon、業務データはkintoneという分け方が素直です。

よくある質問(FAQ)

Garoonの標準機能で金額による分岐はできますか?

できます。ただし設計の向きが逆です。経路分岐は「条件を満たす場合に経路ステップを省略する」方式なので、最大構成の経路を先に作り、金額が小さい場合に上位者を飛ばす形で設定します。「金額が大きいときに承認者を追加する」とは書けません。

分岐条件には何を使えますか?

メニュー/数値または自動計算/ラジオボタン/チェックボックスの4種類で、いずれも申請フォームの入力値です。申請者の所属や役職から自動で判定する方式は、公開されている経路分岐条件のページでは確認できませんでした。

分岐条件はいくつまで設定できますか?

公式ヘルプの経路分岐条件のページには、件数の上限は記載されていませんでした。なお条件は一覧の上から順に適用されるため、数が増えると順序の管理が必要になります。

現場の担当者に申請フォームの修正を任せられますか?

できません。 設定画面は管理権限を持つユーザーのみが使えます。フォームや経路の変更はすべて管理者に集まります。

料金はいくらですか?

クラウド版は1ユーザー月額900円(年額10,800円)、1サブドメインの契約につき最低10人、1,001ユーザー以上は問い合わせです。kintone併用コースはライト1,000円・スタンダード1,800円・ワイド3,000円(ワイドは1,000ユーザーから)。いずれも税別です。

900円は他のワークフロー製品と比べて安いですか?

比較の範囲が違います。 900円はスケジュールや掲示板、メールなどを含むグループウェア全体の価格で、ワークフロー単体の価格ではありません。グループウェアをこれから入れるなら「その中にワークフローが含まれる」形、すでに別のグループウェアがあるなら「専用製品を足す」形という比較になります。

パッケージ版はいつまで使えますか?

2027年10月より順次ライセンスの販売を終了し、2033年1月末でサポート終了と公表されています。パッケージ版で作り込んでいる場合は、移行時に何が引き継げるかを早めに確認してください。

外部のワークフロー製品と連携できますか?

公開資料でGaroon連携を確認できたのは、X-point Cloud/AgileWorks(シングルサインオン連携)とコラボフローです。他製品についても可能性はありますが、各提供元にご確認ください。

承認後の発注まで自動化できますか?

いいえ。扱うのは申請と承認、およびその記録です。承認が降りたあとに実際に物を買う、宿を取るという工程は含まれません。

1Approvalでの実現方法

1Approvalは、いま使っている承認ワークフロー(Microsoft 365、Teams、Google Workspace、kintone)の上で、承認が降りた時点で発注や手配まで完了させる仕組みです。

Garoonの標準ワークフローと扱う場所が分かれています。

埋める領域
Garoonのワークフロー承認までの設計。申請フォーム、経路、分岐
1Approval承認の先の実行。発注・手配を自動で完了させる

経路分岐を正しく設計して金額ごとの承認者が決まっても、承認が降りたあとに誰かが購買サイトを開いて注文する工程は残ります。そこが1Approvalの範囲です。

  • 承認と発注の間が消える — 承認後に注文し直す工程がなくなります
  • 申請の入口が1つになる — 何をどこで買うかに関わらず同じ場所から申請できます
  • 費用が法人一括請求にまとまる — 従業員の立替と領収書の回収が発生しません
  • 既存の承認基盤をそのまま使う — 組んだフォームと経路を置き換えません

申請の入口がカタログにつながっていれば、申請の時点で金額が確定します。 概算で起案して分岐が想定と変わる問題も、同時に消えます。

まとめ

Garoonの標準ワークフローを検討するとき、最初に理解すべきは分岐の向きです。経路分岐は「経路を追加する」方式ではなく、条件を満たす場合に経路ステップを省略する方式です。

だから最大構成の経路を先に作り、金額が小さい場合に上位者を飛ばすという設計になります。「金額が大きいときに承認者を追加する」という要件の書き方を、そのまま設定に写すと噛み合いません。

分岐条件に使えるのはメニュー/数値または自動計算/ラジオボタン/チェックボックスの4種類で、いずれも申請フォームの入力値です。条件は一覧の上から順に適用され、削除した条件は元に戻せません。そして設定は管理権限を持つユーザーのみが行えるため、現場に編集を任せる構成は取れません。

料金はクラウド版で1ユーザー月額900円、1サブドメインにつき最低10人。kintone併用コースはライト1,000円・スタンダード1,800円・ワイド3,000円です。900円はグループウェア全体の価格で、ワークフロー単体ではありません。 他製品と単価で並べる比較は成立しません。

パッケージ版は2027年10月より順次ライセンス販売を終了し、2033年1月末でサポート終了です。これから導入するならクラウド版を前提に検討してください。

標準で足りなくなる典型は、申請者の属性から自動で承認者を決めたい、現場に編集権限を渡したい、経路を複数業務で共通化したいという3つです。この要件が出た場合、公開資料でGaroon連携を確認できる製品はX-point Cloud/AgileWorksとコラボフローです。

まず自社の分岐が、申請フォームの入力値だけで決まるかを確認してください。 決まるなら標準で足ります。申請者の所属や役職で自動的に変わる必要があるなら、そこが分かれ目です。

主な参照先

※本記事は2026年10月時点の公開情報をもとに整理したものです。料金は税別表示で、プランや条件は変更される場合があります。合議や多数決、Excel様式の取り込みなど、公開情報から確認できなかった機能についてはその旨を本文中に明記しています。外部製品との連携可否は各提供元にご確認ください。

監修

伏見 匡矩

伏見 匡矩

株式会社エイチ 代表取締役社長

株式会社エイチ代表取締役社長。出張手配・会場手配の実務を起点に、申請・承認から購買実行までを一体で扱う1Approvalを立ち上げ、事業責任者としてプロダクト設計に携わる。承認されたあとの購買・手配をどう自動化するかという観点から、Microsoft 365を基盤とした申請・承認の設計を扱っている。

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