kintone承認プラグイン比較|標準機能との差
kintoneのワークフローを拡張する製品を、単機能プラグイン・専用ワークフロー連携・テンプレートパック・ライセンス外ユーザー対応・ノーコード開発基盤の5タイプに分類して比較します。課金単位が製品ごとに異なるため横並びの価格比較が成立しない点を整理し、標準機能で埋まらない5つの穴のどれが自社の課題かから選ぶ手順を解説します。
kintoneのワークフローを拡張する製品を調べると、各社が自社製品を薦める記事ばかりが出てきます。どれとどれが競合していて、どういう基準で選び分けるのかを横断で書いたものが、ほとんどありません。
理由ははっきりしていて、これらの製品は同じ土俵に乗っていないからです。単機能のプラグインと、専用ワークフロー製品の連携と、ノーコード開発基盤が、同じ「kintone 承認 プラグイン」という検索語で並んでしまう。課金単位すら、ドメイン単位・ID単位・アプリスロット単位・ユーザー単位とバラバラです。
本記事では、まずタイプ分類をしてから比較します。価格表を眺める前に、自社がどのタイプを必要としているかを決めるのが先です。
※ 本記事の料金・仕様は2026年9月時点の公開情報にもとづく参考値です。プラン改定や条件の違いがあるため、検討時は必ず各社の公式サイトで最新の条件をご確認ください。
この記事の要点
- kintoneのワークフロー拡張製品は、5つのタイプに分かれる。タイプが違えば比較する意味がない。
- 課金単位が製品ごとに違う(ドメイン/ID数/アプリスロット/ユーザー数)ため、金額だけを横並びにしても判断できない。人数とアプリ数を自社の数字で当てはめて初めて比較になる。
- 選定の出発点は製品ではなく、標準機能で埋まらない5つの穴のどれが自社の問題か。穴が1つならタイプA、承認ルート自体が表現できないならタイプB。
- タイプBの「コラボフロー系」には提供元の異なる2製品があり、名前が似ているため混同されやすい。
- どのタイプを選んでも承認が降りたあとの発注・手配・支払いは対象外。ワークフロー製品が解くのは「承認までの問題」に限られる。
そもそも標準機能は何が足りないのか
比較の前に、埋めるべき穴を確定させます。kintone標準のプロセス管理で実現できないことは、大きく5つです。
- 一覧からの一括承認ができない — 承認はレコードを1件ずつ開いて行う。月末に数十件が溜まる運用では、ここが実務上いちばん効く
- 代理承認の専用機能がない — 承認者の不在時に止まる。作業者を手で付け替えると証跡が濁る
- 承認者が見たかどうかが分からない — 既読の概念がなく、止まっている理由が「未読」か「保留」か区別できない
- kintoneライセンスがないと承認できない — 役員・非常勤・協力会社が承認ルートに入る場合、その人数分のライセンスが要る
- 条件分岐が増えるほど保守が難しくなる — 金額・部門・費目での分岐を重ねると、設定画面で全体像が追えなくなる
この5つのうち、いま自社で実害が出ているのはどれか。 ここが決まっていないまま製品ページを見ても、どれも良く見えてしまいます。設定画面での挙動はプロセス管理の設定手順を、遅延そのものの原因分析は承認遅延の原因と対策を参照してください。
5つのタイプに分類する
| タイプ | 何をする製品か | 主な製品 | 課金単位 |
|---|---|---|---|
| A. 単機能プラグイン | 標準の穴を1つずつ塞ぐ | 一括承認プラグイン(rex0220)、プロセス管理 拡張プラグイン | 製品ごと(買い切り/年額) |
| B. 専用ワークフロー連携 | 承認ルートの表現力を丸ごと入れ替える | コラボフロー連携プラグイン、コラボフロー for kintone、DeemS | ドメイン単位+本体のユーザー課金 |
| C. テンプレートパック | 申請アプリごと用意する | Smart at tools for kintone 申請パック | ID数(ドメインあたり上限) |
| D. ライセンス外ユーザー対応 | kintone契約のない人を承認に入れる | FormBridge+kViewer(トヨクモ) | サービスごとのプラン |
| E. ノーコード開発基盤 | 必要な挙動を自作する | gusuku Customine | アプリスロット数 |
タイプが違う製品どうしは、比較しても意味がありません。 「一括承認だけしたい会社」にとってタイプBは過剰で、「承認ルート自体が標準では書けない会社」にとってタイプAは無力です。
タイプ別に詳しく見る
A. 単機能プラグイン — 穴が1つなら最も安い
標準のプロセス管理はそのまま使い、足りない機能だけを足します。
一括承認プラグイン(rex0220) は、一覧画面のチェックボックスで選んだレコードのステータスを、まとめて進めます。公開情報では最大20万件までの一括処理に対応し、Ver.14で代理承認でのアクション実行が追加されています。上の穴でいうと1と2に効きます。
プロセス管理 拡張プラグイン(コントラクトマネジメント) は、次の作業者や任意のメールアドレスへ詳細情報を含む通知を送ります。穴3(見たかどうか)の緩和にあたります。
向いている会社:承認ルート自体は標準で表現できていて、運用上の詰まりが特定の1〜2点に絞れている。
注意点:穴が3つ以上あるなら、プラグインを積み重ねるより後述のタイプBを検討したほうが総額も保守も楽になります。プラグインは互いの動作を保証しないため、複数を同じアプリに入れると挙動が読みにくくなります。
B. 専用ワークフロー連携 — 承認ルートを入れ替える
kintoneをデータの置き場にしたまま、承認の部分だけを専用製品に任せます。穴1〜3と5をまとめて塞げるのが特徴です。
ここで混同されやすいのが、名前の似た2つの「コラボフロー」系製品です。提供元が違います。
| コラボフロー連携プラグイン | コラボフロー for kintone | |
|---|---|---|
| 提供元 | M-SOLUTIONS | コラボスタイル(コラボフロー本体の提供元) |
| 料金の形 | 年額200,000円(税抜)/1ドメイン | コラボフロー本体のオプション(クラウド版で1ユーザー月額50円・年額590円、パッケージ版15万円) |
| 適用範囲 | 同一ドメイン内のアプリ数に上限なし | 契約ユーザー数に応じる |
| 別途必要なもの | kintoneスタンダードコース+コラボフロー本体の契約 | コラボフロー本体の契約 |
この2つは課金の形が正反対です。 前者はドメイン単位の定額なので人数が多いほど有利、後者はユーザー単位なので少人数ほど有利になります。コラボフロー本体はクラウド版で1ユーザー月額500円(年額5,880円)・最低5ユーザーからなので、実際の比較はこの本体費用を含めた総額で行う必要があります。
DeemS(アイティーフィット) は同じタイプBですが設計思想が異なり、kintone上で完結します。組織情報はcybozu.comのものを使い、承認経路はkintoneアプリで定義し、承認操作もkintone画面で行います。複数の申請元アプリを1つのワークフローアプリの一覧から確認できるのが特徴で、標準では難しいアプリ間連携にあたります。料金は公開されておらず、4プランの構成で要問い合わせです。
向いている会社:稟議の承認ルートが複雑で、標準のプロセス管理では条件分岐が組めない/組めても保守できない。
注意点:kintone側とワークフロー製品側の二重の契約になります。どちらの製品も単体では動きません。
C. テンプレートパック — 申請アプリごと調達する
Smart at tools for kintone 申請パック(M-SOLUTIONS) は、稟議申請・交通費精算・テレワーク申請といった申請アプリのテンプレートを17種類同梱し、承認ルートのパターンも選択式で用意します。自分・他人の申請とレコードをステータス別の一覧で表示する機能があります。
料金は公開されており、ID数の上限でプランが分かれる形です。
| プラン | 初期費用 | 年額 | ドメインあたりID上限 |
|---|---|---|---|
| スターター | 100,000円 | 90,000円 | 50 |
| スタンダード | 100,000円 | 180,000円 | 100 |
| プロフェッショナル | 200,000円 | 480,000円 | 300 |
| エンタープライズ | 200,000円 | 780,000円 | 500 |
向いている会社:申請業務をこれからkintoneに載せる段階で、アプリ設計から始めたくない。
注意点:テンプレートは出発点が早くなる代わりに、自社の様式に寄せる作業は結局必要です。既にアプリを作り込んでいる会社では、載せ替えのコストがメリットを上回ることがあります。
D. ライセンス外ユーザー対応 — 承認者がkintoneを持っていない
穴4への対応です。FormBridge+kViewer(トヨクモ) を組み合わせると、kintoneライセンスを持たない人が申請・承認に参加できます。FormBridgeが外部からのkintoneへの登録を、kViewerが外部へのkintone情報の共有を担います。
トヨクモ側でも「kintoneライセンスなしでの承認」は明示的な用途として案内されており、料金は両サービスそれぞれのプラン契約(FormBridgeは月額7,000円から、プロフェッショナル以上は最短3か月契約)になります。ユーザーライセンスの追加機能も提供されています。
向いている会社:役員・非常勤・監査役・協力会社など、kintoneを日常的に使わない人が承認ルートに含まれる。
注意点:この構成は「kintoneライセンスを買うより安いか」で判断する話です。承認者が社内の常勤者ばかりなら、素直にkintoneのライセンスを増やすほうが単純です。また承認者側の画面は本来のkintone画面ではないため、証跡の残り方を導入前に確認してください。
E. ノーコード開発基盤 — 要件が製品に当てはまらない
gusuku Customine(アールスリーインスティテュート) は、JavaScriptを書かずにkintoneの挙動をカスタマイズするサービスです。ワークフロー専用製品ではなく、一括処理・定期実行・ルックアップ制御などを組み合わせて必要な承認挙動を自分で作る位置づけです。
課金はアプリスロット数(カスタマイズを適用できるkintoneアプリの数)で、月額プランは18,000円から、追加スロットは1つ6,000円。年額プランは216,000円(4スロット)、648,000円(10スロット)、1,200,000円(1,000スロット)、3,450,000円(3,000スロット)という構成です。無料プランもあります。
向いている会社:承認以外にもkintoneで作り込みたいことが多数あり、基盤として持つ判断ができる。
注意点:作ったものを保守する人が要ります。 ノーコードでも、作った本人が異動すれば読み解ける人がいなくなる点は内製と同じです。承認機能だけのために選ぶと、割高かつ属人化しやすい選択になります。
価格を横並びにできない理由
ここまでの数字を並べても、判断には使えません。課金単位が違うからです。
| 製品 | 課金単位 | 人数が増えると | アプリが増えると |
|---|---|---|---|
| コラボフロー連携プラグイン | ドメイン | 変わらない | 変わらない |
| コラボフロー for kintone | ユーザー | 増える | 変わらない |
| Smart at 申請パック | ID数の上限 | 段階的に増える | 変わらない |
| FormBridge+kViewer | サービスごとのプラン | プランによる | 変わらない |
| gusuku Customine | アプリスロット | 変わらない | 増える |
自社の「承認に関わる人数」と「ワークフローを載せるアプリ数」を先に数えてください。 この2つの数字がないと、同じ製品が安くも高くも見えます。
たとえば承認者が30名・申請アプリが8本なら、ドメイン定額のタイプBが有利です。承認者が8名・アプリが2本なら、ユーザー課金のほうが安く収まります。どちらが正しいかではなく、自社の数字でしか決まりません。
選定の手順
- 穴を特定する — 前述の5つのうち、実害が出ているものを挙げる。「あると便利」は数えない
- 穴の数でタイプを絞る — 1〜2個ならタイプA。ルート設計そのものが破綻しているならB。アプリがまだ無いならC。承認者がライセンス外ならD
- 自社の数字を入れる — 承認関与者数とアプリ数を当てはめて、総額を出す。kintone本体やワークフロー本体の費用を含める
- 証跡の残り方を確認する — 誰がいつ承認したかがどこに、どの形式で残るか。CSV等で取り出せるか。監査対応で効きます(kintone監査ログの限界)
- 承認後の業務がどうなるかを確認する — 次章のとおり、ここは多くの製品の対象外です
どの製品を選んでも残るもの
5タイプすべてに共通する限界があります。承認が降りたあとの実行が、対象外だということです。
稟議が承認されても、発注はまだ誰もしていません。出張申請が承認されても、切符とホテルは押さえられていません。備品購入が承認されても、誰かが購買サイトで注文し、立て替え、領収書を出す必要があります。
ワークフロー製品が最適化するのは承認が降りるまでの時間です。ところが実務で詰まっているのは、多くの場合その先です。承認済みの案件が手配待ちで止まる、手配の内容が申請と一致しているか誰も突合していない、立替精算が月末にまとめて経理へ流れ込む——このあたりは経費精算は承認後が詰まるや個人立替精算はなぜ解消しないのかで扱っています。
プラグイン選定の前に、自社の詰まりが承認の前なのか後なのかを切り分けてください。 後ろが問題なら、どのプラグインを入れても体感は変わりません。
よくある質問(FAQ)
無料のプラグインだけで足りますか?
穴が1つで、承認件数が少なく、証跡の要件が緩ければ足ります。ただし無料プラグインはサポートと動作保証の範囲が限定的です。kintoneのアップデートで挙動が変わったときに自力で対処できる体制があるかで判断してください。
複数のプラグインを同時に入れても大丈夫ですか?
技術的には入りますが、同じアプリに複数入れると挙動の保証がありません。 プラグインは互いの存在を前提に作られていないためです。3つ以上を積み上げる構成になったら、タイプBへの切り替えを検討したほうが安定します。
コラボフローの2製品、結局どちらですか?
人数が多く、アプリが複数あるならドメイン定額のコラボフロー連携プラグイン(年額200,000円・税抜)、少人数ならコラボフロー for kintone(ユーザー課金オプション)が目安です。ただしどちらもコラボフロー本体の契約が別途必要で、本体はクラウド版1ユーザー月額500円・最低5ユーザーからです。総額で比べてください。
既存のプロセス管理の設定は無駄になりますか?
タイプA・D・Eは既存設定を活かせます。タイプBは承認の仕組みを入れ替えるため、ステータス設計をやり直す前提になります。タイプCはテンプレートを土台にするので、既存アプリからの載せ替えが発生します。
導入後に製品を変えられますか?
承認の履歴データがどこに残るかで難易度が変わります。kintoneのレコード内に残る構成なら移行しやすく、外部サービス側に残る構成だと過去の証跡を引き継げないことがあります。契約前に、解約時にデータをどの形式で取り出せるかを確認してください。
ライセンス外の人を承認に入れるのは内部統制上問題ないですか?
問題になるのは、承認者の本人性が担保できない場合です。共有リンクで誰でも承認できる構成は避け、個別の認証がかかる方式かを確認してください。トヨクモ側でもユーザーライセンスの仕組みが提供されています。
1Approvalでの実現方法
1Approvalは、いま使っているkintoneのプロセス管理の上で、承認が降りた時点で発注や手配まで完了させる仕組みです。本記事で比較した5タイプとは、解く問題が違います。
- 承認の仕組みは置き換えない — 既存のプロセス管理をそのまま使う。ステータス設計のやり直しが発生しない
- 承認後の実行をつなぐ — 承認をトリガーに、購買・出張手配・会場手配が実行される
- 立替と証憑回収が発生しない — 費用は法人一括請求にまとまり、経理の月末突合が減る
- 申請・承認・実行が同一IDでつながる — 承認内容と実行内容が一致しているかを、人が突合しなくてよくなる
承認が遅いのか、承認後が止まっているのか。 前者ならこの記事の製品群が、後者なら1Approvalが候補になります。両方であれば併用する形です。
まとめ
kintoneのワークフロー拡張製品は5タイプに分かれ、タイプが違えば比較の対象になりません。 選定は製品ページからではなく、標準機能で埋まらない5つの穴のうちどれが実害になっているかから始めてください。
価格は課金単位がバラバラなので、承認関与者数とアプリ数という自社の2つの数字を先に出さないと比較が成立しません。同じ製品が、会社によって最安にも最高にもなります。
そして、どれを選んでも承認後の発注・手配・支払いは残ります。詰まっているのが承認の前か後かを切り分けることが、結果的にいちばん費用対効果の高い一手になります。
主な参照先
- コラボフロー連携プラグイン|kintoneプラグイン・連携サービス
- 料金プラン・価格一覧|ワークフローシステム「コラボフロー」
- Smart at tools for kintone 申請パック|kintoneプラグイン・連携サービス
- DeemS【統合型】ワークフローkintoneプラグイン&アプリ
- kintoneライセンスなしでも承認可能!ワークフローを構築する手順|Toyokumo kintone Blog
- gusuku Customine|kintoneプラグイン・連携サービス
- rex0220 一括承認プラグイン #kintone|Qiita
- プロセス管理 拡張プラグイン|kintoneプラグイン・連携サービス
監修
伏見 匡矩
株式会社エイチ 代表取締役社長
株式会社エイチ代表取締役社長。出張手配・会場手配の実務を起点に、申請・承認から購買実行までを一体で扱う1Approvalを立ち上げ、事業責任者としてプロダクト設計に携わる。承認されたあとの購買・手配をどう自動化するかという観点から、kintoneを基盤とした申請・承認の設計を扱っている。
経歴・運営者情報を見るこの記事のテーマ
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