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kintoneで経費申請を自動化する方法|標準機能の限界とは

kintoneの標準機能だけでは経費申請の完全自動化は実現できません。仕訳連携・領収書突合・購買連携という3つの壁と、プラグインや外部連携を使った解決策を、総務・経理・情シスの視点から解説します。

kintoneで経費申請を自動化する方法|標準機能の限界とは

kintoneで経費申請アプリを作ったものの、「結局、月末の経理処理は手作業のまま」「承認は早くなったが、会計ソフトへの転記が減らない」という声は少なくありません。kintoneの標準機能は申請・承認フローの構築には強力ですが、経費申請業務を本当に「自動化」するには、標準機能だけでは越えられない壁が存在します。本記事では、kintoneでできる自動化の範囲を明確にしたうえで、プラグインや外部連携を使って申請後の会計処理・購買連携まで一気通貫で自動化する方法を、総務・経理・情シスそれぞれの視点から解説します。

この記事の要点

  • kintoneの標準機能だけでは、経費申請業務を入口から出口まで自動化することはできない。
  • 経費申請アプリの構築はフィールド設計・プロセス管理設定・通知設定の3ステップが基本。
  • 標準機能の壁を越えるには、AI-OCR・会計ソフト連携・購買連携プラグインといった外部機能の組み合わせが必要になる。
  • 会計連携の手段はCSV・API・プラグインの3つ。判定ルールが固まる前に自動連携をつなぐと、誤った仕訳が自動で流れ込む。
  • 設計不備のまま自動化すると、かえって運用が複雑化する点に注意。

kintoneで経費申請を自動化するとは?できることとできないことの境界線

kintoneの標準機能だけでは、経費申請業務の「入口から出口まで」を自動化することはできません。理由は、プロセス管理機能が担うのは申請・承認という業務の一部分に過ぎず、その後に発生する会計仕訳や証憑突合、購買データとの照合は対象外だからです。

kintone標準機能(プロセス管理・通知)でできる自動化の範囲

kintoneのプロセス管理機能を使えば、申請者が経費申請アプリにレコードを登録した時点で、あらかじめ設定したステータス(申請中→上長承認→経理確認→完了)に沿って自動的に担当者へ通知を飛ばし、承認ボタン一つで次工程へレコードを進めることができます。差し戻し時のコメント記録や、承認者不在時の代理承認者設定も標準機能の範囲内で実現可能です。

「自動化」と「電子化」の違い|申請フローだけでは業務は楽にならない理由

申請書を紙からkintoneのフォームに置き換えただけの状態は「電子化」であり、「自動化」ではありません。自動化とは、人が手作業で行っていた転記・突合・入力といった判断を伴わない作業をシステムに代替させることです。承認フローが電子化されても、経理担当者が承認済みレコードを見ながら会計ソフトへ手入力している限り、業務工数はほとんど削減されません。

自動化しきれない“3つの壁”(仕訳連携/領収書突合/購買連携)

kintoneのプロセス管理で申請中・上長承認・経理確認・完了まで進んだ後に、仕訳連携の壁(勘定科目や税区分の変換)・証憑突合の壁(領収書画像と申請金額の目視照合)・購買連携の壁(購買・出張データとの紐づけ)という3つの壁が立ちはだかり、それを放置すると経理担当者の月末作業が減らないことを示す図解

kintone標準機能だけで経費申請の完全自動化を目指す際に必ずぶつかるのが、①勘定科目や税区分を会計ソフト向けの仕訳データに変換する「仕訳連携の壁」、②アップロードされた領収書画像と申請金額を目視で照合する「証憑突合の壁」、③出張手配や物品購入といった事前の購買データと経費申請を紐づける「購買連携の壁」の3つです。この3つの壁を放置したままアプリだけを作り込んでも、経理担当者の月末作業は減りません。

なぜ経費申請の自動化が求められるのか?

経費申請の自動化が求められる背景には、部門ごとに異なる負担があります。総務は申請管理の属人化、経理は転記作業と監査対応、情シスはシステムのガバナンス維持という、それぞれ性質の異なる課題を抱えているためです。

総務担当者が抱える「申請漏れ・差し戻し」の負担

総務担当者は月末に紙やExcelの申請書を回収し、記入漏れや上長承認の催促に追われます。誰がまだ申請していないか、どの案件が承認待ちで止まっているかを個別に確認する作業だけでも、相応の時間を取られているケースが少なくありません。

経理担当者が抱える「二重入力・仕訳ミス・監査対応」の負担

経理担当者は承認済みの経費データを会計ソフトへ再入力する二重入力の負担に加え、勘定科目の選択ミスや金額の転記ミスといった仕訳エラーのリスクを常に抱えています。インボイス制度対応により適格請求書かどうかの確認項目も増え、監査時の証憑突合工数はさらに膨らんでいます。また、従業員が立て替えた経費を精算する運用そのものが、領収書紛失や申請漏れの温床になっている点も見逃せません。

情シス担当者が抱える「プラグイン乱立・属人化・ガバナンス」の課題

情シス担当者は、現場からの要望に応じてプラグインを次々導入した結果、誰がどの設定を管理しているか分からなくなる「プラグイン乱立」やJavaScriptカスタマイズの属人化に悩まされがちです。セキュリティポリシーやAPI連携の妥当性を保ちながら自動化範囲を拡張する舵取りが求められます。

kintoneで経費申請アプリを構築する基本手順

経費申請アプリの構築は、フィールド設計・プロセス管理設定・通知設定という3ステップで進めるのが基本です。この土台設計が甘いと、後からプラグインを追加しても連携がうまくいかず手戻りが発生します。

フィールド設計(申請者・金額・勘定科目・添付ファイル等)

申請者名、申請日、経費区分、勘定科目、金額、支払先、添付ファイル(領収書画像)を最低限のフィールドとして用意します。勘定科目はドロップダウン形式のルックアップフィールドにしておくと、経理側での仕訳変換時の表記ゆれを防げます。

プロセス管理(申請→承認→経理処理)の設定方法

プロセス管理機能で「申請中」「上長承認」「経理確認」「完了」のステータスを定義し、各ステータス間の遷移条件と担当者を設定します。金額に応じて承認者を分岐させる条件分岐も標準機能で設定可能です。

通知設定とスマホ申請対応のポイント

通知設定では、承認待ちが一定時間経過した場合にリマインド通知を送る仕組みを組み込むと、差し戻しや停滞を防げます。kintoneはレスポンシブ対応のため、外出先からスマートフォンで領収書を撮影しそのまま申請する運用も可能です。

標準機能を超えて自動化するにはどうする?

3つの壁を越えるには、AI-OCR・会計ソフト連携・購買連携プラグインという外部機能の組み合わせが必要です。標準機能では対応できない領域を、目的別のプラグインで補完する発想が求められます。

なおOCRが要るのは領収書のように相手から受け取る紙で、自社で書く帳票には別の手段があります。ペンの筆跡を直接取る方式はonboardとは?紙のままkintoneに入れるで扱っています。

AI-OCR連携で領収書の手入力をなくす方法

AI-OCRプラグインを導入すると、領収書画像から金額・日付・支払先を自動読み取りし、フィールドへ自動入力できます。手入力によるミスと入力工数を同時に削減できるのが特徴です。

freee等の会計ソフトと連携し仕訳登録まで自動化する方法

kintoneと会計ソフトをAPI連携させることで、承認完了したレコードを仕訳データ形式に自動変換し、会計ソフト側へ自動登録できます。これにより経理担当者の二重入力作業そのものをなくすことができます。

1Approval for kintoneで購買・出張手配まで一気通貫にする方法

従来の経費精算フロー(出張・購買手配→立替払い→領収書保管→経理が個別照合→会計ソフトへ手入力)と、1Approval for kintone導入後のフロー(購買申請・出張手配→経費データ自動生成→法人カード決済→月1回法人一括請求→会計連携)を比較し、立替払いが不要になる・請求と経費をまとめて確認できる・支払いを月1回に集約できるという3つの効果を示す図解

1Approval for kintoneを使えば、経費申請単体だけでなく、事前の購買申請・出張手配データと経費精算を紐づけ、申請から会計連携までを一つのワークフローで管理できます。購買や出張の手配が実行された時点でその内容が経費データとして自動生成される仕組みのため、会計システムと経費精算システムを別々に見比べる必要がなく、請求情報と経費情報をまとめて確認できるのも特徴です。さらに法人カードによる決済を前提とした仕組みのため、従業員が立て替えて後から精算するという運用自体をなくせる点、複数サービス・複数取引先の利用料を「月1回の法人一括請求」に集約できる点も、経理の月末業務を軽くする要素になります。3つの壁を個別のプラグインで継ぎ接ぎするのではなく、一気通貫で設計できる点が最大の強みです。申請から会計処理までの流れを具体的にイメージしたい方は、1Approval for kintoneの詳細を見るとどのように連携が実現されるかが分かります。

本記事は経費申請アプリ側の自動化(仕訳連携・領収書OCR・プラグイン選定)を扱っています。承認が終わったあとの発注・予約と経費データの生成まで含めて設計する話は、kintoneの経費精算は承認後が詰まる|購買・出張との連携で整理しています。

立替そのものをなくす方向から支払手段を比較した整理は、立替精算をなくす方法|法人カード・一括請求の違いにあります。

同じ課題をMicrosoft 365側で解く場合の構成と注意点はPower Automateで経費精算を自動化する方法と注意点にまとめています。

kintoneと会計ソフトの連携手段を3つで比較する

自動化の度合いと、保守を誰が担うかで分かれる

kintoneと会計ソフトの連携手段を、CSV連携・API連携・プラグイン/専用サービスの3つに分け、自動化度・初期コスト・保守負荷・向いている組織で比較した図解

手段自動化の度合い初期コスト保守の担い手
CSVエクスポート+取込低い(月次で人手が入る)ほぼゼロ経理(運用のみ)
API連携を自社で作る高い開発工数情シス(自社保守)
プラグイン・専用サービス高い月額利用料提供元

選び方でつまずきやすいのは、いきなりAPI連携やプラグインから入ってしまうことです。勘定科目や部門の判定ルールが固まっていない段階で自動連携をつなぐと、誤った仕訳が自動で流れ込み、会計ソフト側で取り消す作業が発生します。導入初期は取り込み前に中身を確認できるCSVで運用してルールを固め、安定してから自動連携へ移すほうが安全です。

自社で作るか、プラグイン・専用サービスを使うかは、保守を誰が担えるかで分かれます。勘定科目マスタの変換ロジックやエラー時の再送処理まで自社で設計・維持できる体制があるならAPI連携、その余力がないならノーコードで組める手段を選ぶほうが、長期の運用は持ちます。

つまずくのは接続作業よりマスタの整合性

技術的な接続よりも、先に詰まるのはマスタ側です。kintoneのルックアップで持っている勘定科目・取引先のコードと、会計ソフト側のコード体系が一致していないと、連携のたびにエラーが出ます。導入初期に両システムのマスタを突き合わせ、コード体系を揃えておいてください。

あわせて、どのレコードを連携対象にするかをプロセス管理のステータスで明示します。条件を絞らずに連携すると、差し戻し中や却下されたレコードまで仕訳になってしまいます。連携対象は「最終承認済み」のステータスに限定するのが原則です。

なお、そもそも何を仕訳として渡せばよいのか(勘定科目を誰が決めるか、部門・プロジェクトの帰属、税区分、いつ計上するか)という設計そのものは、kintoneに限らず共通の論点です。この4つの決め方は承認データを仕訳にする|会計システム連携の設計で整理しています。

導入効果はどれくらい?注意点は?

自動化を適切に設計すれば、月末の経理処理工数を大幅に削減できますが、設計不備があるとかえって運用が複雑化します。効果とリスクの両方を理解したうえで導入範囲を決めることが重要です。

導入によって削減できる工数・コストの目安

申請・承認から経理処理までを自動化することで、月末の突合・入力作業にかかる時間を大幅に圧縮できたという声は多く聞かれます。差し戻し対応の削減効果も含めれば、総務・経理双方の工数削減が期待できます。ただし削減幅は申請件数や業務フローの複雑さによって変わるため、自社の運用に照らして見極める必要があります。

導入時に陥りやすい失敗(設計不備・運用ルール未整備)

よくある失敗は、フィールド設計を現場の使いやすさだけで決めてしまい、勘定科目コードが会計ソフトの体系と一致しないケースです。連携前に双方のデータ項目をマッピングし、運用ルールを文書化しておく必要があります。

自社に合った自動化レベルの見極め方(内製 vs プラグイン活用)

申請件数が少なく仕訳パターンが単純な組織は内製のプロセス管理だけで十分な場合もありますが、月間申請件数が多く購買・出張手配との連携が必要な組織は、プラグイン活用による一気通貫設計が費用対効果に見合います。

よくある質問(FAQ)

kintoneだけで経費精算の自動化は完結できますか?

いいえ、完結できません。kintone標準機能は申請・承認フローの自動化には対応していますが、仕訳登録や領収書突合、購買連携といった会計処理領域は対象外のため、これらを自動化するにはプラグインや外部システムとの連携が必要です。

kintoneの経費申請アプリと会計ソフト(freee等)はどう連携させますか?

手段は3つあります。CSVでエクスポートして取り込む、APIで自社がつなぎ込む、プラグインや専用サービスを使う、のいずれかです。自動化の度合いはAPIとプラグインが高く、保守を自社で担えるかどうかが両者の分かれ目になります。どの手段でも、事前に勘定科目・取引先のコード体系を両システムで揃え、連携対象を「最終承認済み」のステータスに限定しておく必要があります。

会計連携はいつ自動化すればよいですか?

勘定科目や部門の判定ルールが安定してからです。ルールが固まらないうちに自動連携をつなぐと、誤った仕訳が自動で流れ込み、会計ソフト側で取り消す作業が発生します。導入初期は取り込み前に中身を確認できるCSVで運用し、差し戻しがほぼ起きなくなった段階で自動連携へ移すのが安全な順序です。

領収書のOCR読み取りはkintoneの標準機能でできますか?

いいえ、できません。kintone標準機能には画像から文字を自動抽出する機能がないため、AI-OCRプラグインを追加導入することで、領収書画像から金額・日付・支払先を自動読み取りできるようになります。

kintoneで経費申請から購買・出張手配まで自動化する方法はありますか?

はい、あります。1Approval for kintoneのようなツールを使えば、事前の購買申請や出張手配データと経費申請を紐づけ、申請から承認、会計連携までを一つのワークフローとして一気通貫で管理できます。

3つの壁をどこまで自社で解消すべきか判断に迷う場合は、実際の連携イメージを確認しておくと検討がスムーズです。1Approval for kintoneの詳細を見るから、申請〜承認〜精算がどのように自動化されるかを具体的に確認できます。

まとめ|kintoneの経費申請自動化は「申請後」まで設計することが成功の鍵

kintoneの標準機能は経費申請の申請・承認フローを電子化するには十分ですが、それだけでは経理担当者の転記作業や証憑突合の負担は残り続けます。本記事で整理した「仕訳連携」「領収書突合」「購買連携」という3つの壁を認識し、AI-OCRや会計ソフト連携、購買連携プラグインを組み合わせることで、申請後の業務まで含めた真の自動化が実現できます。

自社の申請件数や業務の複雑さに応じて、内製のプロセス管理で十分なのか、外部連携が必要なのかを見極めたうえで、1Approval for kintoneのようなツールを活用すれば、申請から会計処理、さらには購買・出張手配までを一つのワークフローに統合し、情シス・総務・経理それぞれの負担を同時に軽減することができます。

監修

伏見 匡矩

伏見 匡矩

株式会社エイチ 代表取締役社長

株式会社エイチ代表取締役社長。出張手配・会場手配の実務を起点に、申請・承認から購買実行までを一体で扱う1Approvalを立ち上げ、事業責任者としてプロダクト設計に携わる。承認されたあとの購買・手配をどう自動化するかという観点から、kintoneを基盤とした申請・承認の設計を扱っている。

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