1Approval
kintone

onboardとは?紙のままkintoneに入れる

onboard(株式会社ALCONTA)は、既存の紙帳票にそのまま手書きした内容をkintoneへ取り込むサービスです。ワコムのBamboo Slateと専用ペンを使い、画像を読むOCRとは違ってペンの筆跡そのものをデータ化します。kintone連携プラグインの機能、大山乳業農業協同組合の導入実績、そして現場が紙をやめられない理由までを整理します。

onboardとは?紙のままkintoneに入れる

業務システムの記事は、たいてい「紙をやめましょう」と書いて終わります。しかし現場に行くと、紙はなくなっていません。

onboardは、その前提を逆にした製品です。紙をやめさせるのではなく、紙に書いたものをそのままデータにします。株式会社ALCONTAが提供し、kintone連携プラグインを通じて手書きの内容がkintoneのアプリに入ります。

本記事では仕組みと機能を整理したうえで、なぜ現場が紙をやめられないのかという、この製品が成立する理由まで扱います。

この記事の要点

  • onboardは、ワコムのBamboo Slateというクリップボード型のペンタブレットと専用ペンを使い、既存の紙帳票をそのまま使って手書き内容をデータ化します。専用用紙は不要です。
  • 一般的なOCRとは取得方法が違います。紙をスキャンした画像を読むのではなく、ペンの筆跡(ストローク)そのものを取ります。
  • kintone連携プラグインは、帳票から項目を自動で取り込み、kintoneアプリを自動生成します。アプリ数に制限はありません。
  • 大山乳業農業協同組合では、データ入力作業が1〜2日から15分になり、年間96.6時間の残業削減が報告されています。
  • 現場が紙をやめられない理由は使いやすさではなく物理的な制約です。手が汚れる、濡れる、手袋をしている、端末を持ち込めない。画面を改善しても解決しません。
  • 向いているのは入力の入口が現場にある業務。オフィス内で完結する申請なら、通常のkintoneアプリで足ります。

onboardとは

項目内容
提供元株式会社ALCONTA
仕組みワコム Bamboo Slate(クリップボード型ペンタブレット)+専用ペン
用紙既存の紙帳票をそのまま使える。専用用紙は不要
対応サイズA4以下。縦・横どちらも
kintone連携プラグインを提供。2022年11月にサイボウズ プロダクトパートナー

デジタル化したい帳票の画像を事前に取り込んでおき、その上に手書きの内容を重ねる形でデータ化します。帳票そのものを作り変える必要がないのがこの方式の性格です。

会社で使っている既存の用紙をそのまま流用できるため、現場の運用を変えずに導入できます。

OCRと何が違うのか

ここが技術的な核心です。

一般的なOCRonboard
取得するもの紙をスキャンした画像ペンの筆跡(ストローク)
読み取りの対象書かれた結果の形書いている動き。筆順を含む
字の綺麗さの影響受けやすい取得方法が違うため性質が異なる
帳票の罫線文字と混ざることがある手書き部分だけを取る

OCRは「書き終わった紙の写真」から文字の形を推定します。onboardは「ペンがどう動いたか」を記録するので、罫線や印字と手書きが混ざらないという性質があります。

ただし万能ではありません。専用のボードとペンを使う必要があるため、書く道具を配らなければ成立しません。既存の紙を写真に撮るだけで済むOCRとは、導入の形が違います。

領収書など相手から受け取る紙にはOCRが要ります。kintoneで領収書を扱う場合の論点はkintoneで経費申請を自動化する方法|標準機能の限界とはで整理しています。自社で書く紙はonboard、受け取る紙はOCRという住み分けになります。

kintone連携プラグインでできること

  • 帳票の項目を自動で取り込む — どこに何を書く欄があるかを読み取ります
  • kintoneアプリを自動生成する — 取り込んだ項目から、対応するアプリが作られます。アプリ設計の手間が要りません
  • アプリ数は無制限 — 帳票の種類が多くても、数で制限されません
  • ワンクリックで同期 — 書いた内容をkintoneのレコードとして反映します

注目すべきは2つ目です。通常、紙の帳票をkintone化するときは、まず項目を見て、アプリを設計して、フィールドを並べるという作業があります。帳票が30種類あれば30回やることになります。ここが自動化されるのは、立ち上げの負担として大きい部分です。

フィールド設計の実務についてはkintone購買稟議テンプレート活用と電子化の実務ガイドでも扱っていますが、そこで必要になる作業が省けるという位置づけです。

導入実績:大山乳業農業協同組合

公表されている事例を整理します。

内容
課題毎月100枚以上の日報を集計していた
効果データ入力作業が1〜2日 → 15分
残業年間96.6時間の削減
副次的な効果担当者の心理的な負担が減り、ミスが減った

あわせて、稟議と経費精算のペーパーレス化と決裁の迅速化、備品購入や各種申請のkintoneアプリ上での一元管理も報告されています。

鳥取県酪農ヘルパー組合の事例では、従業員コードを手書きで読み取り、データベースから氏名を自動補完するという使い方が紹介されています。確認と修正の負担を減らす形です。

数字の読み方として、1つ注意があります。「1〜2日→15分」は入力作業の時間であって、業務全体ではありません。日報を書く時間、確認する時間、承認する時間は別に残ります。効果が出ているのは転記という1工程です。

とはいえ毎月100枚の転記が1〜2日かかっていたという事実は、転記という工程がどれだけの時間を食うかを示しています。

なぜ現場は紙をやめられないのか

この製品が成立する理由はここにあります。

現場が紙を使い続ける理由を「ITに慣れていないから」と説明するのは、たいてい間違いです。実際には物理的な制約です。

  • 手が汚れている・濡れている — 畜舎、工場、厨房、建設現場。タッチパネルが反応しません
  • 手袋をしている — 外せない作業がある
  • 端末を持ち込めない — 防爆、衛生、セキュリティの要件
  • 立ったまま、移動しながら書く — 片手で持てるものが要る
  • 屋外で見えない — 画面が日光で読めない

これらはアプリの使いやすさを改善しても解決しません。入力画面をどれだけ良くしても、手袋をした手で画面は押せません。

建設業の購買管理|工事原価とつなぐ設計で書いたとおり、2024年4月からの時間外労働の上限規制により、事務作業を増やす方向の統制は現場で実行されません。入力の手段を現場の条件に合わせるという発想は、この制約と整合します。

向いている現場・向かない現場

向いているのは、入力の入口が現場にある業務です。日報、点検記録、作業報告、検査結果。書く場所がデスクではなく現場にあり、その内容を集計する必要がある業務に合います。

向かないのは、オフィス内で完結する申請です。デスクでPCを開いて入力できるなら、通常のkintoneアプリのほうが速く、ボードとペンを配る必要もありません。

判断が分かれるのは、帳票の種類が少ない場合です。1〜2種類しかないなら、アプリを手で作っても大した手間になりません。自動生成の価値が出るのは、種類が多いときです。

料金と導入の前提

onboard本体の料金は、クラウドモデルで1人あたり月額2,500円からという水準が公表されています。ただし出典によって月額3,000円(年額32,000円)という記載もあり、プランや提供経路で異なる可能性があります。

kintone連携プラグインの価格は、公開情報から確認できませんでした。 提供元にご確認ください。

導入にあたっては、次が別途必要です。

  1. kintoneのライセンス — プラグインを使うためスタンダードコース以上
  2. ワコム Bamboo Slate と専用ペン — 書く人数分
  3. onboardの契約

ハードウェアが要るという点が、ソフトウェアだけのプラグインとの大きな違いです。人数が増えると端末代が比例して増えるため、何人が書くのかを先に確定させてから見積もりを取ってください。kintoneのコース選びはkintoneライト・スタンダード・ワイドの違いを徹底比較で整理しています。

よくある質問(FAQ)

専用の用紙が必要ですか?

不要です。会社で既に使っている紙の帳票をそのまま使えます。デジタル化したい帳票の画像を事前に取り込んでおく形です。

字が汚くても読み取れますか?

公開情報では具体的な精度は示されていません。画像から読むOCRとは取得方法が違うため性質は異なりますが、手書き文字をテキストに変換する以上、限界はあります。実際の帳票と実際の書き手で試してから判断してください。

領収書や請求書も取り込めますか?

onboardが扱うのは自社で書く紙です。相手から受け取った領収書や請求書は、ペンの筆跡が取れないため対象外になります。受け取る紙にはOCRが必要です。

kintoneのアプリを自分で設計しなくてよいのですか?

帳票の項目から自動生成されると公表されています。ただし生成されたアプリをそのまま使うか、承認のプロセス管理や計算式を後から足すかは別の判断になります。自動生成はあくまで初期構築の省力化です。

何人分のハードウェアが必要ですか?

同時に書く人数分です。1人が複数の帳票を順に書くなら1台で足りますが、複数人が同時に現場で記入する業務なら人数分が必要になります。ここが総額を決めるので、見積もり前に確定させてください。

手書きをやめてタブレット入力にしたほうが早くないですか?

デスクで作業できる業務ならそのとおりです。この製品が効くのは、手が汚れる・手袋をしている・端末を持ち込めないといった理由で、タッチ操作そのものが成立しない現場です。条件が当てはまらないなら、通常のkintoneアプリのほうが安く済みます。

1Approvalでの実現方法

1Approvalは、いま使っている承認ワークフロー(kintone、Microsoft 365、Teams、Google Workspace)の上で、承認が降りた時点で発注や手配まで完了させる仕組みです。

onboardと扱う場所が分かれています。

埋める領域
onboard入力の入口。現場で書いたものをデータにする
1Approval承認の出口。承認が降りたあとの発注・手配を実行する

どちらも人が手を動かす工程を消すものですが、申請の前と後ろで位置が違います。

  • 承認と発注の間が消える — 承認後に誰かが購買サイトを開いて注文し直す工程がなくなります
  • 申請の入口が1つになる — 何をどこで買うかに関わらず同じ場所から申請できます
  • 費用が法人一括請求にまとまる — 現場の立替と領収書の回収が発生しません
  • 既存のkintoneをそのまま使う — プロセス管理で組んだ承認フローを置き換えません

現場で紙に書いた申請がkintoneに入り、承認が降りた時点で発注まで終わる、という形は両方を組み合わせれば作れます。

まとめ

onboardは、紙をやめさせずにデータ化するという発想の製品です。ワコムのBamboo Slateと専用ペンを使い、既存の紙帳票にそのまま書いた内容がkintoneに入ります。専用用紙は要りません。

一般的なOCRとは取得方法が違い、紙の画像ではなくペンの筆跡そのものを取ります。そのため罫線や印字と手書きが混ざりません。ただし専用のボードとペンを配る必要があり、相手から受け取る紙には使えません。

kintone連携プラグインは帳票の項目を自動で取り込み、アプリを自動生成します。帳票が多いほど、この省力化の効果が出ます。

大山乳業農業協同組合では、データ入力作業が1〜2日から15分になり、年間96.6時間の残業削減が報告されています。ただしこれは転記という1工程の効果で、書く時間や承認の時間は別に残ります。

そしてこの製品が成立する理由は、現場が紙をやめられないのが使いやすさの問題ではなく物理的な制約だからです。手が汚れる、手袋をしている、端末を持ち込めない。画面を改善しても解決しません。

まずは自社で紙が残っている工程を、理由ごとに分けてみてください。デスクで入力できるのに紙なのか、現場の条件で紙なのか。前者なら通常のkintoneアプリで足ります。

主な参照先

※本記事は2026年10月時点の公開情報をもとに整理したものです。kintone連携プラグインの価格は確認できていません。料金と最新の仕様は提供元にご確認ください。

監修

伏見 匡矩

伏見 匡矩

株式会社エイチ 代表取締役社長

株式会社エイチ代表取締役社長。出張手配・会場手配の実務を起点に、申請・承認から購買実行までを一体で扱う1Approvalを立ち上げ、事業責任者としてプロダクト設計に携わる。承認されたあとの購買・手配をどう自動化するかという観点から、kintoneを基盤とした申請・承認の設計を扱っている。

経歴・運営者情報を見る

この記事のテーマ

あわせて読みたい

kintoneのプロセス管理とは?仕組みと設計パターン

kintoneのプロセス管理を構成するステータス・作業者・アクションの仕組みから、作業者の4つの指定方法、多段階承認や金額分岐・合議・差し戻しの設計パターン、標準機能でできないことと回避策までを実務目線で詳しく解説します。

kintoneで経費申請を自動化する方法|標準機能の限界とは

kintoneの標準機能だけでは経費申請の完全自動化は実現できません。仕訳連携・領収書突合・購買連携という3つの壁と、プラグインや外部連携を使った解決策を、総務・経理・情シスの視点から解説します。

kintoneの経費精算は承認後が詰まる|購買・出張との連携

kintoneで経費精算を回していると、承認までは速くなっても、承認後の発注・予約・転記が手作業で残ります。経費を「使ったあとに記録する業務」から「購買・出張を実行した時点で生成されるデータ」へ変える考え方と、購買・出張連携で何が変わるのか、三部門での進め方までを解説します。

Power Automateの料金|有償が要る条件

Power AutomateはMicrosoft 365に含まれますが、標準コネクタのクラウドフローに限られます。有償に落ちる境界線を承認フローの具体例で示し、1ステップでもプレミアムコネクタが混ざるとフロー全体が有償化する伝播ルール、無償の1日6,000要求という上限、所有者のライセンスで評価される仕組み、そして3年総額で専用製品と比べる方法までを整理します。

kintoneのお役立ち記事をすべて見る

※記載されている会社名・製品名は各社の商標または登録商標です。