オフィス縮小のコスト削減効果をシミュレーションする方法
オフィス面積を縮小してフレキシブルオフィスを併用する場合のコスト削減効果を、原状回復費用や通勤費まで含めたシミュレーション方法で解説します。
テレワークが定着し出社率が下がった企業ほど、総務部門には「今のオフィス面積は本当に必要なのか」という問いが突きつけられます。ただし、オフィスを縮小すればそれだけでコストが下がるわけではなく、原状回復費用や移転費用、フレキシブルオフィスの併用コストまで含めて試算しないと、かえって数年単位では割高になるケースもあります。本記事では、オフィス縮小を検討する際に押さえておくべきコストシミュレーションの考え方を解説します。
この記事の要点
- 賃料の差額だけで判断すると、オフィス縮小にかかる実際の費用を過小評価してしまう。
- 原状回復費用や内装工事費用といった一時的支出があるため、最低でも3年程度の累計コストで比較するのが基本。
- 初期投資を回収できるかは、縮小後にどのような運用ルールを敷くかという変数にも左右される。
- フレキシブルオフィス市場全体の供給動向を把握しておくと、縮小後の受け皿となる拠点を判断しやすい。
オフィス縮小で見落とされがちなコストは何か?
オフィス縮小のコスト削減効果を試算する際、賃料の差額だけを見て判断すると、実際にかかる費用を過小評価してしまいます。
原状回復費用と返却時の保証金
オフィスを縮小・移転する際は、解約する区画の原状回復工事費用が発生します。一般的に平方メートル単価で算出されるため、面積が大きいほど原状回復費用も大きくなり、保証金の返却額から差し引かれる形で精算されるのが通例です。この一時的な支出を織り込まずに年間賃料の削減額だけで判断すると、初年度のキャッシュフローが想定より悪化します。
縮小後の内装工事費用
縮小後のオフィスをそのまま使えることは少なく、フリーアドレスやABW(Activity Based Working)に対応したレイアウトへの内装工事が必要になるケースが一般的です。この初期投資も、縮小によるコスト削減効果を試算する際には必ず含める必要があります。
数年単位で見たときの損益分岐点
原状回復費用・保証金の目減り・内装工事費用といった一時的な支出と、月々の賃料削減額を並べて、何年目で投資を回収できるかを確認しておくことが重要です。1年目だけを見ると縮小前より支出が増えるケースもあるため、3年程度のスパンで累計コストを比較する必要があります。
縮小後のコストは何で変わるのか?
初期投資を回収できるかどうかは、縮小後にどのような運用ルールを敷くかによっても変わります。
通勤費を定期代から実費精算に切り替える
出社頻度が下がった従業員について、通勤費を定期代の支給から実費精算に切り替えると、1人あたりの通勤費負担を大きく下げられるケースがあります。全社員分を積み上げると、オフィス賃料の削減額と並ぶ規模のコスト削減につながることもあります。
フレキシブルオフィスの併用費用をどう見積もるか
在宅勤務に向いた住環境を確保できない従業員に対しては、月額会員制やタッチダウンオフィスの利用を認めることで、オフィス縮小によるファシリティ不足を補えます。この併用費用は月々発生するランニングコストになるため、対象人数×利用頻度×単価で試算し、賃料削減額から差し引いた「実質的な削減額」で評価する必要があります。
移動時間削減による生産性向上をどう評価に組み込むか
タッチダウンオフィスの活用によって営業担当者が本社に戻る移動時間を削減できれば、1日あたりの対応可能件数が増えるといった生産性向上効果も期待できます。金額換算が難しい項目ではありますが、コスト削減額だけでなく、こうした定性的な効果もあわせて経営層への説明材料にしておくと、投資判断の合意形成がしやすくなります。
縮小後に併用するフレキシブルオフィスの費用は、料金体系によって負担額が大きく変わります。相場感はフレキシブルオフィスの料金体系と相場【2026年版】にまとめています。
複数拠点を契約する構成にする場合は、契約管理そのものが新たなコストになります。その実態はサテライトオフィスを複数契約する際の管理負担と解決策で扱っています。
市場動向を踏まえてどう構成を考えるか?
自社だけでなく、フレキシブルオフィス市場全体の供給動向を把握しておくと、縮小後の受け皿となる拠点の選択肢を判断しやすくなります。
フレキシブルオフィス市場の拠点数は拡大が続いている
ザイマックス総研が2020年から毎年実施している調査によると、2025年12月時点で首都圏のフレキシブルオフィスは2,347件、東京23区で1,964件、都心5区だけでも1,278件に達しています。縮小したオフィス面積の受け皿となる拠点は年々増えており、自社周辺で選べる選択肢も広がっている状況です。
複数拠点を併用する場合は契約管理コストも試算に含める
縮小後の運用でフレキシブルオフィスを複数併用する場合、拠点ごとに契約・請求が分かれると総務・経理の管理工数が増えます。会場・ワークスペースの手配から法人一括請求までをまとめられる仕組みを使えば、この管理コストを賃料削減効果から目減りさせずに済みます。具体的な仕組みは1Approval MICE・イベントの詳細を見るで確認できます。
よくある質問(FAQ)
オフィス縮小の効果はどのくらいの期間で試算すべきですか?
原状回復費用や内装工事費用といった一時的な支出があるため、最低でも3年程度の累計コストで比較するのが基本です。1年目だけを見ると、縮小前より支出が増える場合もあります。
通勤費の実費精算化はどの程度のコスト削減効果がありますか?
出社頻度が下がった従業員が多いほど効果は大きくなります。定期代の支給から実費精算に切り替えることで、対象者1人あたりの通勤費負担を数千円単位で下げられるケースがあり、全社員分を積み上げるとオフィス賃料の削減額に匹敵する規模になることもあります。
フレキシブルオフィスを併用する際のコストはどう見積もればよいですか?
対象人数・想定利用頻度・拠点ごとの単価を掛け合わせて月額の想定コストを算出し、オフィス縮小による賃料削減額からこの併用コストを差し引いた「実質的な削減額」で評価することが重要です。
監修
伏見 匡矩
株式会社エイチ 代表取締役社長
株式会社エイチ代表取締役社長。出張手配・会場手配の実務を起点に、申請・承認から購買実行までを一体で扱う1Approvalを立ち上げ、事業責任者としてプロダクト設計に携わる。スペースコンシェルジュ事業では、会議室・イベントスペースの会場手配を累計30,000件以上担当。手配側の実務から、会場選定・承認・請求の課題を扱っている。
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