H¹T・ZXY・ワークスタイリング・SoloTime比較
法人向けサテライトオフィス4サービス(H¹T・ZXY・ワークスタイリング・SoloTime)を、料金モデル・課金単位・拠点数の数え方・運営母体から比較。提携による拠点の重複で単純比較ができない理由と、複数契約時に発生する管理負担まで整理しました。
ハイブリッドワークの受け皿としてサテライトオフィスを法人契約する企業が増えていますが、比較を始めると多くの担当者が同じところでつまずきます。「拠点数が多いのはどれか」で比べようとすると、答えが出ないのです。
理由は単純で、主要各社が相互に提携しており、同じ拠点が複数サービスの拠点数にカウントされているためです。H¹TとSoloTime、H¹TとSTATION WORKはいずれも相互利用の提携関係にあります。つまり「563拠点」と「300拠点以上」を並べても、実際に使える場所がその差だけ違うわけではありません。
本記事では、法人利用の検討対象になりやすい**H¹T(野村不動産)・ZXY(ザイマックス)・ワークスタイリング(三井不動産)・SoloTime(東京電力ホールディングス)**の4サービスを、料金モデル・課金単位・運営母体・拠点数の数え方から整理します。記載内容は2026年9月時点の各社公開情報に基づきます。
なお、ご検討時に「Solotome」という表記を見かけることがありますが、正式なサービス名は**SoloTime(ソロタイム)**です。
この記事の要点
- 4サービスの本質的な違いは拠点数ではなく料金モデル。ZXYとH¹Tは固定費ゼロの完全従量課金、ワークスタイリングSHAREは従量課金に登録管理料が加わる形、SoloTimeは月額固定プランが中心。
- 拠点数は単純比較できない。H¹T・SoloTime・STATION WORKは相互提携しており、同じ拠点が複数サービスの数字に含まれる。直営と提携を分けて公表しているのはZXY(直営353+提携108)のみ。
- 課金単位はワークスタイリングが10分、ZXYとH¹Tが15分。短時間の立ち寄り利用が多い企業ほど、この差が積み上がる。
- 4サービスすべて法人契約が前提で、個人単独では契約できない(H¹Tには個人向けの別プランあり)。
- 用途が分かれる場合は複数契約が現実解になるが、管理画面・料金体系・請求書が契約社数に比例して増える。この管理負担をどう吸収するかまで含めて設計する必要がある。
4サービス比較表
| 項目 | H¹T(エイチワンティー) | ZXY(ジザイ) | ワークスタイリング | SoloTime(ソロタイム) |
|---|---|---|---|---|
| 運営 | 野村不動産 | ザイマックス | 三井不動産 | 東京電力ホールディングス |
| 拠点数 | 約563拠点(提携含む・全47都道府県) | 461拠点(直営353/提携108) | 約580〜600拠点 | 直営約50拠点+提携で300拠点以上 |
| 料金モデル | 完全従量課金(入会金・基本料なし) | 完全従量課金(入会金・月額・解約金なし) | SHARE=従量課金+登録管理料/BASE・FLEX=定額 | 月額固定プラン中心 |
| 課金単位 | 15分単位(15分110円税込〜) | 15分単位 | 10分単位(10分290円/人〜) | 月額(フルタイム25,000円/月 ほか) |
| 契約形態 | 法人契約(6か月ごと自動更新) | 法人契約 | 法人契約(従業員全員が利用可) | 法人契約 |
| 個人利用 | 別プラン「My書斎」あり | 不可 | — | 個人向けサイトあり |
| 特徴 | 全47都道府県をカバー。STATION WORKと相互利用 | 個室中心。1名用個室を多数配備 | プランが3系統に分かれ、専有まで対応 | 郊外型。H¹T・STATION WORKと提携 |
| 公表規模 | 会員約50万人/登録企業6,400社 | 会員企業約4,700社/約58万人 | — | — |
拠点数・会員数は各社の公表基準(直営のみか提携を含むか、拠点単位か席数単位か)が異なります。同じ数え方で並んだ数字ではない点にご注意ください。
拠点数を単純比較できないのはなぜか?
比較表の拠点数を見ると、ワークスタイリング(約580〜600)> H¹T(約563)> ZXY(461)> SoloTime(300以上)という並びになります。しかしこの順位で選んではいけません。
理由1:提携により同じ拠点が重複カウントされている
H¹Tは2026年2月にJR東日本ビルディングの「STATION WORK」と提携契約を締結し、相互利用を開始しています。またSoloTimeは、H¹TとSTATION WORKの双方と提携しています。つまりH¹Tの563拠点とSoloTimeの300拠点以上には、同じ物理的な拠点がかなりの割合で含まれていると考えられます。
理由2:直営と提携を分けて公表しているのはZXYのみ
ZXYは461拠点の内訳を直営353・提携108と明示しています。他の3社は内訳を公開していないため、「自社で運営している拠点がいくつあるか」が比較できません。直営拠点は設備や運用品質が揃いやすい一方、提携拠点は施設ごとに差が出やすいという違いがあります。
理由3:拠点数と席数が混在している
H¹Tについては、スペースマーケットでの「約3,000スペース」、インスタベースでの「4,800超スペース」という数字も公表されています。これらは拠点数ではなく予約可能な席・ブース単位の数字です。媒体によってどちらを指しているかが異なるため、数字だけを拾うと誤解が生じます。
実務的な結論として、拠点数で比較するのではなく「自社の社員が実際に使うエリアに拠点があるか」を地図上で確認してください。 全国カバー率より、主要拠点の最寄り駅にあるかどうかのほうが利用率を左右します。
料金モデルの違いが、実は最大の選定軸
4サービスの差が最もはっきり出るのは料金モデルです。ここを外すと、導入後にコスト構造が想定と変わります。
完全従量課金型:ZXY・H¹T
ZXYは入会金・月額料金・解約金・最低利用金額のいずれも不要で、利用した時間分だけ課金されます。H¹Tも入会金・基本料金なしの従量課金で、法人には月次で請求されます。
このモデルの利点は、使わない月のコストがゼロになることです。利用者数が読めない導入初期や、出張時の立ち寄りのような不定期利用が中心の場合に向きます。
一方で、利用が定着すると青天井になりやすい点は注意が必要です。月間の利用時間が積み上がると、固定席を借りたほうが安くなる水準を超えることがあります。
従量課金+管理料型:ワークスタイリングSHARE
ワークスタイリングのSHAREプランは全国約580〜600拠点を10分単位、1人10分290円から利用できます。初期費用は不要ですが、入室料に加えて会議室・個室の利用料と登録管理料が別途かかります。
つまり純粋な従量課金ではなく、登録人数に応じた固定的なコストが乗ります。登録だけして使わない社員がいると無駄が出るため、対象者を絞って登録する運用が前提になります。
なお同社にはこのほか、1拠点をオープンスペース定額で使い放題にする「BASE」、専有スペースを借りる「FLEX」があり、固定席の水準は東京ミッドタウンで81,000円/人・月、大手町で78,000円/人・月といった例が公表されています。従量から専有まで一社で揃うのがワークスタイリングの構造的な特徴です。
月額固定型:SoloTime
SoloTimeは月額プランが中心で、フルタイム25,000円/月、平日18,000円/月、夜間・休日9,000円/月といった区分が公表されています。
利用頻度が高い特定の社員が決まっている場合に、コストが読みやすいモデルです。郊外型を軸としており、自宅近くで集中できる環境を継続的に確保したいケースに向きます。逆に、全社員に薄く配るような使い方には向きません。
課金単位の10分と15分の差
見落とされがちですが、ワークスタイリングは10分単位、ZXYとH¹Tは15分単位です。
「駅前で30分だけメールを片付ける」「商談の合間に20分だけWeb会議に入る」といった短時間利用が多い企業では、15分単位だと切り上げによる無駄が発生します。月間の利用件数が多いほど、この差は無視できない金額になります。
各サービスの位置づけ
H¹T(野村不動産)
全47都道府県をカバーしている点が最大の強みです。会員約50万人・登録企業6,400社という公表規模も、サテライトオフィス業界では上位に位置します。入退室はスマートキーで行い、防犯カメラのほか、遠隔操作による不正入室を防ぐGPS入退室機能を備えています。
契約は6か月ごとの自動更新です。短期のトライアルを想定している場合は、この更新サイクルを確認しておいてください。
法人格を持つことが契約条件で、個人では申し込めません。個人利用向けには「My書斎プラン」が別建てで用意されており、土日祝限定の時間課金(1時間660円税込〜)や、週末使い放題の月額固定(10,978円税込〜)といった選択肢があります。
向いているケース:全国に拠点や在宅勤務者が散らばっており、どこでも使える状態を固定費ゼロで用意したい企業。
ZXY(ザイマックス)
個室中心という設計思想が他社と明確に異なります。セキュリティとオンライン会議の生産性に配慮し、1名用個室を数多く配備しています。オープンスペース中心のサービスでは、Web会議のたびにフォンブースの空きを探すことになりますが、ZXYはその前提が違います。
料金は完全従量課金で、入会金・月額料金・解約金・最低利用金額のいずれも不要です。461拠点の内訳(直営353/提携108)を公表している透明性も、比較検討時には評価できる材料です。
会員企業は約4,700社、登録者は約58万人と公表されています。
向いているケース:Web会議の頻度が高く、オープンスペースでは業務が成立しない職種を抱える企業。機密性の高い情報を扱う部門。
ワークスタイリング(三井不動産)
プランの幅が特徴です。従量課金のSHARE、1拠点使い放題のBASE、専有スペースのFLEXという3系統があり、さらにSHAREの中には全席完全個室の「SOLO」ブランドの拠点も存在します。
このため、「全社には従量課金で薄く配り、特定部門には固定席を用意する」といった使い分けを一社の契約内で完結させられます。複数サービスを契約する代わりに、一社の中でプランを組み合わせるという選択肢が取れるのは、後述する管理負担の観点でも意味があります。
課金単位が10分と最も細かい点も実務上の利点です。
向いているケース:利用形態が部門によって大きく異なり、従量と固定の両方が必要な企業。契約先を増やしたくない企業。
SoloTime(東京電力ホールディングス)
郊外型のテレワークオフィスとして展開しています。直営は約50拠点と4社の中では最も少ないものの、H¹TおよびJR東日本の「STATION WORK」との提携により、利用可能な拠点は全国300拠点以上となります。
月額固定プランが中心で、フルタイム・平日・夜間休日という区分から選べます。都心のオフィスへ毎日通う必要がなくなった社員に、自宅近くの作業環境を継続的に提供する用途に適した設計です。
向いているケース:対象社員が明確に絞られており、その社員が高頻度で利用することが見込める企業。都心通勤の削減を目的とする企業。
自社に合うサービスはどう選べばいい?
拠点数から入らず、次の順序で絞り込むことをおすすめします。
ステップ1:利用形態を決める
まず「誰が・どのくらいの頻度で使うか」を決めます。ここが曖昧なまま料金表を見比べても結論は出ません。
- 全社員に薄く配る(月数回の立ち寄り)→ 完全従量課金型(ZXY・H¹T)
- 特定社員が高頻度で使う(週3日以上)→ 月額固定型(SoloTime)、または定額プラン(ワークスタイリングBASE)
- 部門により大きく異なる→ プランを組み合わせられるワークスタイリング
ステップ2:業務内容から必要な環境を決める
- Web会議が業務の中心 → 個室中心のZXY、またはワークスタイリングSOLO
- 資料作成や個人作業が中心 → オープンスペース中心でも成立する
ステップ3:実際の利用エリアを地図で確認する
全国カバー率ではなく、自社の社員が住んでいるエリア・訪問先のエリアに拠点があるかを各社の拠点一覧で確認します。ここで初めて拠点数が意味を持ちます。
ステップ4:短時間利用の頻度から課金単位を確認する
30分未満の利用が多いなら、10分単位のワークスタイリングが有利になる場面があります。
複数契約したときに何が起きるのか?
ステップ1で用途が分かれた企業は、結局2社以上と契約することになります。これ自体は合理的な判断ですが、契約後に管理負担が積み上がります。
サテライトオフィスサービスは法人契約が前提で、契約後は運営会社ごとに別々の管理画面・予約画面が提供されるのが一般的です。その結果、次の作業が契約社数に比例して増えます。
- 従業員登録と予約システムの操作を、サービスごとに覚える手間
- 契約先ごとに異なる料金体系の把握(従量課金・月額固定・登録管理料が混在する)
- 月次の請求書確認と、利用実績の突き合わせ作業
さらに、利用の事前承認が効いていないという問題も起きがちです。従量課金型は使った分だけ後から請求されるため、事後になって「想定より使われていた」と判明するケースがあります。どの部署が・誰が・どれだけ使ったかを月末に集計して初めて分かる状態では、統制が効いているとは言えません。
この負担を軽減するアプローチは、大きく2つあります。詳細はサテライトオフィスを複数契約する際の管理負担と解決策で整理しています。
承認と請求を一本化するという選択肢
1Approvalは、こうした「契約先が増えるほど管理が分散する」という構造そのものに対する打ち手です。
1Approval for MICEは、全国38,000箇所の貸会議室・ワークスペース、イベント会場、団体飲食の手配と事前承認を一本化します。kintone・Microsoft 365・Teamsなど既存の承認ワークフローに接続し、承認が降りた瞬間に手配が確定して、費用は法人一括請求へ集約されます。
サテライトオフィスの利用についても、同じ考え方が適用できます。
- 支出が発生する前に承認が効く:事後の請求書で利用実態を知るのではなく、申請の段階で統制できます
- 請求が集約される:契約先ごとにバラバラだった請求の突き合わせ作業がなくなります
- 既存の承認基盤をそのまま使える:新しいワークフロー製品を導入する必要はありません
サービス選定と並行して、「選んだ後にどう運用を回すか」まで設計しておくと、導入後の管理コストを抑えられます。
よくある質問(FAQ)
4サービスの中で最も拠点数が多いのはどれですか?
公表値ではワークスタイリング(約580〜600拠点)が最多ですが、H¹T・SoloTime・STATION WORKは相互に提携しており同じ拠点が重複して数えられているため、単純比較はできません。実際に使えるかどうかは、自社の利用エリアに拠点があるかで判断してください。
個人で契約できるサービスはありますか?
4サービスとも法人契約が前提です。ただしH¹Tには個人向けの「My書斎プラン」が、SoloTimeには個人向けサイトが別途用意されています。
固定費をかけずに始められるのはどれですか?
ZXYとH¹Tです。いずれも入会金・基本料金が不要な完全従量課金のため、利用がなければコストは発生しません。ワークスタイリングSHAREは初期費用不要ですが登録管理料がかかり、SoloTimeは月額固定プランが中心です。
Web会議が多い場合はどれを選ぶべきですか?
個室中心のZXY、またはワークスタイリングの個室特化ブランド「SOLO」が候補になります。オープンスペース中心のサービスでは、フォンブースの空き待ちが発生する可能性があります。
複数のサービスを併用しても問題ありませんか?
用途が分かれる場合は合理的な選択です。ただし管理画面・料金体系・請求書が契約社数に比例して増えるため、利用申請と請求をどう集約するかを事前に決めておくことをおすすめします。
記載されている料金や拠点数はいつ時点のものですか?
2026年9月時点で各社が公開している情報に基づいています。料金体系・拠点数は変更されることがあるため、最終的な検討時には各社の公式サイトで最新情報をご確認ください。
本記事はサービスそのものの比較に絞っています。複数のサービスを並行して契約した場合に、契約管理や請求処理がどれだけ増えるのかはサテライトオフィスを複数契約する際の管理負担と解決策で扱っています。料金体系の違い(従量課金か月額定額か)はフレキシブルオフィスの料金体系と相場【2026年版】を参照してください。
まとめ
H¹T・ZXY・ワークスタイリング・SoloTimeの4サービスは、いずれも法人向けのサテライトオフィスですが、設計思想が異なります。
- H¹T:全47都道府県カバー。固定費ゼロで全国どこでも使える状態を作る
- ZXY:個室中心。Web会議前提の働き方に合わせた設計
- ワークスタイリング:従量から専有までプランが揃い、一社で使い分けられる
- SoloTime:郊外型・月額固定。対象者を絞った継続利用向け
比較の入口を拠点数にすると、提携による重複と公表基準の違いで判断を誤ります。利用形態 → 必要な環境 → 実際の利用エリア → 課金単位の順で絞り込んでください。
そして、選定と同じくらい重要なのが、契約後の運用設計です。複数契約が前提になるなら、利用申請の承認と請求の集約をどう扱うかを、選定と同時に決めておくことをおすすめします。
主な参照先
監修
伏見 匡矩
株式会社エイチ 代表取締役社長
株式会社エイチ代表取締役社長。出張手配・会場手配の実務を起点に、申請・承認から購買実行までを一体で扱う1Approvalを立ち上げ、事業責任者としてプロダクト設計に携わる。スペースコンシェルジュ事業では、会議室・イベントスペースの会場手配を累計30,000件以上担当。手配側の実務から、会場選定・承認・請求の課題を扱っている。
経歴・運営者情報を見るこの記事のテーマ
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